2020年06月24日(水) 更新

百貨店業界の課題と展望|選考対策での費用情報を一挙公開

百貨店業界とは

小売業の販売形態のひとつ

百貨店業界はスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどと同様に、小売業の販売形態のひとつです。店舗内にテナントを組み込み、その売上で収益を得ています。

百貨店と同様にテナントを組み込むショッピングモールに比べ、商品が高級志向である点に違いがあるでしょう。「デパ地下」に代表される食料品のテナント街も、百貨店ならではの特徴です。

「三越伊勢丹」や「高島屋」などが有名

百貨店は、全国各地に店舗網を持つものやその地域に根ざした密着型の店舗など、さまざまです。日本初の百貨店で、売上高が業界第1位の「三越伊勢丹ホールディングス」や、単独経営ながら1兆円近い売上高を誇る「高島屋」などが有名といえます。都市部を中心に出店する百貨店と、各県で力を発揮している地方百貨店を、それぞれ紹介します。

都市部を中心に出店している百貨店

■三越伊勢丹ホールディングス
全国に店舗を持つ三越と多くのファンが多い伊勢丹の他、地方百貨店も傘下に持つ
■J.フロントリテイリング
大丸と松坂屋の合併で誕生した業界第2位の百貨店グループ。ファッションビルのパルコも傘下
■高島屋
単独経営でありながら業界第3位。関東・大阪など都市部の出店で収益を得ている
■エイチ・ツー・オーリテイリング
関西を代表する阪急百貨店と阪神百貨店が合併して誕生。総合スーパーのイズミヤも傘下
■そごう・西武
セブン&アイホールディングス傘下のため、グループ企業との連携を積極的におこなっている

地方都市に地盤を持つ百貨店

■藤崎
宮城県仙台市が拠点。ギフトショップの積極展開で東北一の売上高を誇る百貨店
■天満屋
中国・四国地方を拠点に店舗を展開。女子マラソン選手のスポンサー企業としても有名
■近鉄百貨店
近鉄グループの一員で、近畿地方に多くの店舗網を持つ。あべのハルカスに本店がある
■トキハ
大分県を拠点とする百貨店。百貨店としては珍しい郊外型ショッピングモールの店舗を持つ
■山形屋
鹿児島県・宮崎県に店舗を持つ百貨店。鹿児島本店にある食堂は老若男女を問わず人気

百貨店業界の現状と課題

売上高が36年ぶりに6兆円を下回る

上質で、高級志向な商品の販売に定評のある百貨店業界ですが、現状や課題はどうなっているのでしょうか。現在、百貨店業界は売上高の減少が続いています。日本百貨店協会の調査によると、2016年の百貨店業界における売上高が5兆9,780億円と、1980年以来36年ぶりに6兆円を下回りました。しかし、百貨店における売上高の減少は今に始まったことではありません。バブル経済が崩壊した1991年、約9兆7,130億円の売上高を記録したのをピークに20年以上続いているのです。2016年の売上高はピーク時の売上高と比べると40%以上の減少となっており、深刻な状況におちいっているといえます。

若者の百貨店離れ

ここ数十年で、日本にある百貨店は大きく変貌しました。バブル経済の時期は多くの人たちが百貨店でブランド品や高級な服やバッグなどを購入し、百貨店の売上高も年々伸び大きく成長していました。

しかし、日本経済が不況に入りデフレ経済になるにつれ、多くの国民が百貨店だけでなく、他の小売店や専門店でより安い物を買う傾向になり、物の値段も徐々に下がっていきました。また多くの日本人は、時間帯を選ばずにいつでも気軽に買い物ができるインターネットで買い物をするようになり、百貨店に足を運んでいた人もより便利なネットショッピングを利用するようになりました。

百貨店で買い物をする人が全体的に減りましたが、特に若い人が百貨店に入り買い物をする機会が少なくなっています。

外国人による買い物が増加

日本の若者は百貨店離れがありますが、百貨店利用者として増えているのが、外国人観光客です。日本製の質の高さやサービス精神の高さから、日本のクオリティの高さは外国人から評価され続けています。

観光だけでなく、買い物がメインで日本へ来る外国人の場合、百貨店を利用する人も多く、爆買い傾向にあるため、百貨店のメインターゲットになりつつあるのです。

百貨店業界の売上高&シェアランキング

ここでは、日本国内の百貨店業界の売上、シェアランキングを紹介します。ランキングを見ることで、百貨店業界のトップに君臨する主要企業を知れるだけでなく、企業の比較が数字でできます。

三越伊勢丹HD

三越伊勢丹ホールディングスは、平成20年4月は大手百貨店の三越と伊勢丹が経営統合して誕生し、国内で最大の百貨店として新たに生まれ変わりました。

総売上高が1兆2,872億円で業界NO.1、そして業界内のシェアが16.6%とこちらも1位となっています。2019年現在、日本国内で最大の百貨店グループで業界でも首位となっています。統合後の三越伊勢丹ホールディングスは、三越池袋店の不採算店舗を6店舗を閉鎖したり、平成21年10月には百貨店中堅の岩田屋を子会社化するなど、経営の徹底した効率化を図っています。

さらに経営破綻した北海道の百貨店の丸井今井を支援するなど、百貨店業界全体の再編に大きな役割も担っています。

.フロントリテイリング

J.フロントリテイリングは、首都圏を中心に店舗を展開している大手百貨店・松坂屋を傘下に持つ企業です。J.フロントリテイリングの総売上高は1兆1,635億円で業界2位で、百貨店業界内のシェアが15.0%とこちらも業界第2位となっています。平成29年4月には、銀座松坂屋の跡地に銀このエリア最大の商業施設『GINZA SIX』を開業し、話題を呼び新たなスタイルのショッピングスポットとして知られてるようになりました。

GINZA SIXは240以上ものブランドをビル内のテナントとして誘致し、今まで国際的な有名ブランド店が立ち並んでいた銀座の新たなスポットとしてとても注目されています。Jフロントリテイリングのコンセプトは「脱・百貨店」で、GINZA SIXのように今までの古いスタイルの百貨店にこだわらず、将来的にさらに新しい形態のショッピング店舗を展開・推進していく考えなのです。

高島屋

高島屋は、明治時代の半ばは貿易業を行っており、1919年(大正8年)に株式会社髙島屋呉服店として大阪府に店を構え小売業界に参入しました。その後、百貨店の高島屋を開業し全国展開しました。

高島屋の多くは大型店です。売上高が9,295億円で業界3位、百貨店業界内のシェアが12.0%で業界内で第3位となっています。高島屋の最大の特徴は、独立系百貨店であるということです。近年、百貨店業界ではJ.フロントリテイリングや三越伊勢丹ホールディングスなど百貨店企業の統合が相次ぎ再編が進む中で、独自の路線を歩んでいます。

百貨店業界は新たな顧客確保のめ戦略が必要

日本において長年多くの人から愛されて確固たる地位を占めていた百貨店ですが、ここ数十年は日本人の買い物の方法が変わり、高級志向だった人も経済の低迷によりリーズナブルな物にシフトするなど志向そのものも変化してきています。

このような時代において、百貨店業界はここ数年店舗数が減り、大手の百貨店は生き残りをかけて経営統合や合併をするなど試行錯誤の経営が続いています。今後の百貨店業界の課題は、いかに新規の顧客を確保していくかということでしょう。特に、インターネットショッピングやファストファッションの店舗に流れた若い世代を百貨店に取り込むための工夫や、戦略がキーとなってくると言えます。

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