2017年07月06日(木) 更新

懲戒解雇とは?成立する条件と対処法

懲戒解雇とは

懲戒処分においてもっとも重い処分が「懲戒解雇」です。公務員の場合は「懲戒免職」という言い方をします。懲戒処分が下されると、退職金が支給されない可能性があるだけでなく、再就職が非常に困難になります。

「制裁」として行われる解雇を意味する

懲戒解雇とは、ある行為に対する「制裁」として行われる解雇です。雇用保険においても給付制限が課せられます。通常の解雇とは異なり、解雇予告の必要はなく、即日解雇しても問題はありません。懲戒解雇になった労働者には、退職金を支給しない企業が多いです。懲戒解雇は法律上、企業の都合で簡単に下せる処分ではなく、就業規則で懲戒解雇に関する規定がなければ成立しません。実際に、懲戒解雇が無効になった判例は過去にいくつもあります。

普通解雇とは成績不良などで雇用契約を終了させること

普通解雇とは、成績不良や仕事への適性に著しく欠けている、信頼関係の喪失などを理由に雇用契約を終了されるという意味です。病気やけがによって勤務が不可能である場合も普通解雇が成立します。懲戒解雇とは違い、1か月前の告知や解雇予告手当があり、退職金も通常通り支給されます。

懲戒解雇が成立する条件

処罰の重さから、労働者が懲戒解雇になるケースはあまりありません。どのようなケース、条件が揃うと懲戒解雇になるのでしょうか?

犯罪行為や会社の風紀を乱した場合に認められる

「社風に合わない」
「やる気が感じられない」
「成績が悪い」
「仕事が遅い」

これらの理由では懲戒解雇は認められません。懲戒解雇が成立するのは、労働者が窃盗や横領など刑法犯に該当する行為をしたり、会社の風紀を乱して周囲へ悪影響を及ぼした場合です。再三の処分や注意をしても改善が見込めなければ、遅刻や無断欠勤でも懲戒解雇になる可能性があります。

就業規則に規定が定められているのが条件

上述の理由に該当すれば懲戒解雇できる、とは限りません。企業が労働者を懲戒解雇するには、就業規則に懲戒解雇に関する規定がなければなりません。就業規則に懲戒解雇に関する規定が設けてなければ、懲戒解雇は成立しないのです。就業規則で規定を設けるだけでなく、周知されていることも条件です。

懲戒解雇になるケース

懲戒解雇になるケースをまとめました。上述した通り、懲戒解雇が成立する条件は就業規則で規定が設けられている、さらに犯罪行為や会社の風紀を乱した場合です。ほとんどの企業では、就業規則に懲戒解雇に関する規定が設けられています。以下のような行為は懲戒解雇になりますので、絶対にやめてください。

ケース①:重要な経歴詐称

些細な経歴の齟齬が与える企業への影響はごくわずかであり、懲戒解雇の処分は重すぎると考えられています。経歴詐称で懲戒解雇となるのは、「重要な経歴」を詐称していた場合です。重要な経歴とは、学歴や職歴、犯罪歴、病歴を指します。

学歴の詐称:最終学歴を高く、または低く詐称した場合が該当する
職歴の詐称:例えば大学入学の事実がないのに「大学中退」、1年勤務を8年勤務と偽ると重要な経歴詐称に該当
犯罪歴の詐称:確定した有罪判決は申告するが、刑が消滅した前科の告知義務はない
病歴の詐称:勤務に影響する持病を申告しなければ懲戒解雇になる

ケース②:刑法犯に該当するセクハラ

セクハラで懲戒解雇されるかどうかは、セクハラの度合いによっても異なります。刑法犯に該当するような行為、セクハラをすると懲戒解雇が成立します。企業の風紀、秩序を著しく乱していると考えられるので、懲戒解雇は正当とみなされるのです。
民法上の不法行為にあたるセクハラ(服の上から体を触るなど)をした場合は懲戒解雇は該当せず、普通解雇も難しいとされています。職場での性的な言動やしつこく食事などに誘う行為も同様であり、懲戒処分はあり得ますが、懲戒解雇にはなりません。

ケース③:職場での暴行・暴言

職場での暴行や暴言は懲戒解雇が成立するケースと、しないケースがあります。懲戒解雇が該当するかどうかは、暴行や暴言の内容、動機、他の従業員への影響の有無などから総合的に判断されます。企業の風紀、秩序を乱す行為と判断されると、懲戒解雇の処分もあり得ます。同僚同士のケンカ程度の事案であれば、著しく悪質でない限り懲戒処分が妥当です。懲戒解雇まではいかないでしょう。

ケース④:横領

過去の判例を見ても、金額の大きさに関係なく、労働者による横領が発覚した場合は懲戒解雇が成立する傾向にあります。横領または着服行為が実際に行われ、実行した本人にもその認識があったと客観的に判断されると、懲戒解雇という厳しい処分が下されます。
どの企業でも、金銭にまつわる不当な行為は厳しく処罰する傾向がありますが、横領または着服が客観的に認められなければ、懲戒解雇には該当しません。実際、客観的に横領の事実が認められないとして、懲戒解雇が無効になった判例もあります。

ケース⑤:情報漏えい

重大な情報漏えいをしたと判断されると懲戒解雇は正当とみなされます。労働者は企業と労働契約を結んだ時点で、企業の情報や秘密を守らなければならないという義務が課せられます。情報漏えいはそれに反する行為であり、企業が重大な損害を被った時は懲戒解雇が正当とされます。
ただし、弁護士に相談する場合に企業の情報を提示する行為は、弁護士が守秘義務を負っているという点から「企業の重要な情報、秘密を第三者に開示した」とは言えず、懲戒解雇の処分が下されたとしても無効になると考えられています。

懲戒解雇にならないケース

次は懲戒解雇にならないケースをまとめて紹介します。意外にも、不倫や飲酒運転、痴漢行為、兼業行為は懲戒解雇にならない傾向があるのです。なぜでしょうか?

ケース①:不倫・飲酒運転・痴漢行為

不倫や飲酒運転、痴漢行為はプライベートで行われる非行であり、プライベートでの非行では懲戒解雇とはなりません。ただし、社内の風紀を乱したり、会社に甚大な損害を与えた場合は懲戒処分や懲戒解雇もありえます。特に不倫はプライベートの範囲であり、よほどのことがない限り普通解雇にもなりません。処罰するとしたら、不倫の当事者の一方を転属させる程度でしょう。取引先関係者との不倫の場合も、自社だけでなく取引先の風紀まで乱したと考えられますが、普通解雇に留まると考えられます。
プライベートで飲酒運転をしたとしても懲戒解雇、処分はないでしょう。ですが、飲酒運転によって甚大な事故を起こし、会社に大きな損害を与えた場合は普通解雇や懲戒解雇、処罰される可能性が高くなります。痴漢行為も同様ですが、実際は懲戒処分が下されるケースが多いです。

ケース②:兼業行為

多くの企業で兼業は禁止されていますが、兼業行為が発覚したからといって懲戒解雇になるわけではありません。勤務時間以外の時間は労働者のプライベートであり、兼業をしていたとしても、プライベートの時間をどう使うかは労働者の自由であるためです。ただし、無制限に兼業をしてもいいというわけではありません。本業に支障をきたす場合は制限や何らかの処分を受ける可能性が大きいのです。
さらに兼業先で本業として勤務する企業のノウハウや情報を漏えいすると、損害を被る恐れがあり、企業の風紀や秩序を乱したとも考えられます。そのため、本業として勤める企業から兼業の制限を受けたり、懲戒処分が下されることもあります。

懲戒解雇されたらどうすべき?

実際に会社から懲戒解雇を言い渡されたらどうすべきでしょうか?会社から懲戒解雇を言い渡されたとしても、ただちに従う必要はありません。懲戒解雇が不当であると証明できれば、無効になる可能性があります。実際に懲戒解雇が無効とされた判例は数多くあるのです。

弁護士に相談して懲戒解雇が不当でないか調査する

懲戒解雇を言い渡されたら、まず弁護士に相談してください。懲戒解雇になると再就職はかなり厳しくなります。弁護士の力を借りて最善策を見つけましょう。次に会社に解雇通知書、解雇理由証明書を請求し、その解雇が法律や就業規則上成立するのか照らし合わせます。退職金の請求や有給消化は退職を前提とした行動とみなされるため、就労を続ける考えがあるなら避けるべきです。就労の意思をはっきりさせることが大切です。
下された懲戒解雇の処分について、まずは企業との交渉から始まります。企業が交渉に応じない、交渉が上手く進まない場合は法的措置として訴訟に向けた手続きを始めることになります。

懲戒解雇されたら再就職は難しい?

懲戒解雇によって職を失ったら、再就職活動をしなければなりません。懲戒解雇は就職活動にどう影響を及ぼすのでしょうか?

再就職はかなり厳しくなる!

懲戒解雇されてからの再就職はかなり厳しくなると覚悟してください。懲戒解雇はもっとも重い処罰であり、よほどの事情がなければ懲戒解雇にはなりません。そのため、懲戒解雇された人材を採用したいと考える企業はほとんどないのです。懲戒解雇された人材を採用して、また懲戒解雇に該当するようなトラブルを起こされるのは避けたい、と企業が考えるのは当然ですよね。

履歴書には「懲戒解雇」と書かなければならない

履歴書には懲戒解雇された経歴を偽りなく書く必要があるため、だいたいは書類選考の時点で不採用になります。懲戒解雇の事実を履歴書に記載、申告せず採用されたとしても、後でバレた時に重大な経歴詐称として再び懲戒解雇になる可能性が大きいのです。 懲戒解雇された事実は正直に履歴書に記載し、申告すべきです。不当に重い処分を受けて解雇されてしまった人もいるでしょう。不当であったとしても、正当な理由で懲戒解雇されたとしても、謙虚な気持ちになり、誠実な態度で再就職活動をすべきです。その上で、キャリアやスキルをその会社でどう活かせるかを具体的にアピールしていきましょう。

懲戒解雇でも退職金はもらえる?

懲戒解雇された時に気になるのは「退職金は支給されるのか」ですよね。懲戒解雇された労働者には退職金は支給されないのでしょうか?

就業規則で退職金の不支給や減額について確認する

懲戒解雇で退社する場合の退職金の扱いについては、就業規則を確認しましょう。就業規則が定める退職金に関する規定で、懲戒解雇の際に退職金は支給されるのか、減額されるのかが書かれているかが重要です。

労働者の不信行為がなければならない

退職金には賃金の後払い的要素があります。いくら懲戒解雇とはいえ、退職金の不支給は賃金の不払いともとらえられるのです。長年真面目に勤めてきた人が懲戒解雇となった場合、懲戒解雇という理由のみで退職金の不支給や減額を認めるべきではない、という認識が一般的です。そのため、長年の勤労の功労を消すほどの不信行為がある場合にのみ、懲戒解雇による退職金の不支給や減額が行われます。

不支給・減額された場合は不信行為がなかったと証明する

懲戒解雇された際、不当に退職金が不支給、減額されたとします。このケースで退職金を得るには、退職金が不支給または減額されるほどの不信行為はなかったと証明するしか方法はありません。 就業規則で退職金の不支給や減額が正当な処分か、退職金に関する規定ではどう定められているかを確認します。その結果、正当な処罰ではないと客観的にも判断できれば、退職金を得られる可能性が大きくなります。勤続した功績が失われるほどの不信行為はなかったと判断されれば、その旨を主張しましょう。

懲戒解雇は「ある行為への制裁」としての解雇!処罰されたら弁護士に相談を

懲戒解雇とは何か、懲戒解雇が成立する条件や対処法について説明しました。懲戒解雇の処分はよっぽどの事情がない限り下されません。会社から懲戒解雇を言い渡されても、不当であるとして無効となった判例も多くあるのが現状です。その反面、正当な理由で懲戒解雇された場合は、後の再就職に大きく影響します。不当だと思ったら、弁護士への相談をオススメします。

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