確定申告の医療費控除を計算・申請できる完全マニュアル

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確定申告の医療費控除とは?

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毎年2月から3月中旬まで話題になる確定申告
面倒な手続きだと思われがちですが、やって得する人も多くいます。その一部である医療費の確定申告は、勤め先が年末調整してくれる会社員にとっては無縁なイメージ。しかし、きちんと知っとかないと損をしてしまいますよ!

今回は確定申告における医療費の控除について紹介します。控除とは平たく言うと「お金が戻ってくる」という意味です。

医療費の一部を所得税から減らせる制度

確定申告には税金を納めるための申告と、払い過ぎた税金を返してもらうため還付申告の2種類あります。医療費控除は還付申告の1つです。還付申告は原則として申告の義務はありません。

そのため、確定申告を面倒に感じて、そのまま放置している人がたくさんいるのが現状です。確定申告の医療費控除に該当する方は、ぜひ確定申告を行いましょう。まずは医療費控除ができる3つの条件を見ていきましょう。

条件①医療費が10万円を超えた場合

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医療費控除は医療費全額が対象となるわけでありません。その条件とは、1年間に支払った医療費が10万円超えている場合、医療費控除の確定申告を行うと一部税金が戻ってきます。

また医療費控除は、過去5年前までさかのぼって申告できます。ただし、医療費は保険などで補てんされる金額を差し引きます。つまり、確定申告の提出を忘れたとしても、必要な書類さえそろっていれば、申告可能なのです。そして会社員の確定申告の中でも、この医療費控除が一番多いといわれています。

条件②家族までが対象

医療費控除は申告者本人の医療費だけではなく、家族の分を含めることが可能です。つまり、家族全員の1年間の医療費が10万円を超えていた場合は、医療費控除の確定申告の対象となります。家族とは「生計を一にしている」という考え方で、所得者本人の収入により生活をしている意味です。そのため、同居していなくても仕送りで生活している家族も含まれます。

医療費控除は、家族の誰が申告しても問題ありません。しかし、家族の中でいちばん収入がある人が確定申告をするのがいいのでしょう。なぜなら、「所得が高いイコール税金を多く納めている」という方式になるかです。

例えば、共働きの夫婦で夫が年収300万円で妻が年収450万円の場合に、医療費は各々払っていたとしても、妻の名前で申告をしたほうが還付金は多く戻ってきます。

条件③1年間医療費を払っている

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医療費控除を受けられる条件の3つ目は、医療費を支払った期間です。
確定申告とは、前年の1月1日から12月31日までの税額を申告することであり、医療費もその期間中に払ったものである必要があります。そして、控除の対象となる医療費を支払っていることです。

以下の項目で医療費控除の対象になるものの、ならないもを紹介します。

医療費控除の対象とそれ以外を把握

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つぎに医療費として認定される項目をみていきましょう。医療費控除の対象になるものは多岐わたります。しっかりと把握していきましょう。

医療費と判定するポイントは4つ

医療費は治療目的のものは認められます。ただし、予防や美容、健康促進に関するものは認められません。
判定するポイントは以下の4つです。
○治療のための費用はOK
○医師の指示によるものはOK

×美容や健康増進のための費用は不可
×予防のための費用は不可

治療費・交通費に関する医療費

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まずは、医療費控除の基本ともいえる治療費と、病院へ行くための交通費からです。この2つは下記の条件を満たしていれば控除の対象になります。領収書やレシートをきちんと保管しておきましょう。

治療費・交通費に関する医療費

【治療費】
○医師に支払った診療費、治療費

×予防接種の費用、健康診断・人間ドックの費用

【交通費】
○通院のための電車やバスの交通費
○必要性が認められる場合のタクシー代
※領収書が発行されない電車代などは詳細をメモして保管しておいてください。

×通常通院のタクシー代
×通院のガソリン代、駐車料金
×付添人の交通費(1人で通院が困難な場合はOK)



薬代・鍼灸に関する医療費

薬代や鍼灸の条件も知っておきましょう。治療のための医薬品代は含まれるものの、市販のビタミン剤などは対象外です。鍼灸も健康目的は除外されるので注意しましょう。

薬代・鍼灸に関する医療費

【薬代】
○治療のための医薬品代
○医師の処方による漢方薬

×健康増進のための漢方薬
×ビタミン剤や健康ドリンク

【鍼灸】
○治療のためのあんま、マッサージ、はり、灸
○柔道整復師の資格を持った人の施術

×健康や疲労回復のためのあんま、マッサージ、はり、灸
×柔道整復師の資格を持たない人の施術



③妊娠・出産費用

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妊娠・出産という重要な状況の場合、そのほとんどが控除の対象となります。いざという時に慌てないためにも、しっかりと把握しておきましょうね。

妊娠・出産に関連する医療費

【妊娠・出産費】
○妊娠中の定期検診・検査費用
○分娩までに医師、看護師に支払う費用
○通院のための電車やバスの交通費
○やむを得ない場合のタクシー代
○助産師への報酬
○妊娠中の中絶の費用

×妊娠確認の検査費用、妊娠検査



④入院費用

緊急時の入院費用などは家計を圧迫する要因です。きちんと控除の対処を把握し、後から回収できるようにしておきたいですね。部屋代やベッド代などが対象となります。

入院に関連する医療費

【入院費】
○入院の部屋代
○治療に必要な差額ベッド代(医師の指示が必要)
○食事代(出前や外食は不可)

×衣服などの身の回りの物品費
×クリーニング代
×医師や看護師の謝礼



⑤歯の治療

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歯の場合は治療目的の場合は適用、美容目的や歯垢の除去などの場合は適用外です。

歯に関する医療費

【歯科】 ○虫歯の治療、金歯・入れ歯のハート
○治療としての歯列矯正

×美容のための歯列矯正
×歯垢除去、ホワイトニング費用



⑥目の治療

眼下にかかる場合はレーシックの費用や緑内障、白内障の治療様のメガネが対象になります。その他のメガネには適用されないため、用途を理解しておきたいところ。

眼科に関する医療費

【眼科】
○レーシック費用
○緑内障、白内障治療のためのメガネ代

×近視、乱視、遠視用のコンタクトレンズ、メガネ代



⑦その他

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上記で説明し大概の状況でも、当てはまるものは医療費控除の対象にできます。事前に把握しておくことで、いつか役に立てられる日もくるかもしれませんよ。

その他の医療費

【その他】
○人間ドック(重要な病気が見つかった場合)
○特定保健指導(高血圧症/脂質異常症/糖尿病など)
○家族がB型肝炎である予防接種(同居家族のみ) ○「医薬品の定義」に当てはまる市販薬
×介護施設の使用料(要確認)
×マッサージなど
×予防接種



医療費器具・物品購入に関連する医療費

治療に使っている医療費器具や購入したものも、必要と見なされれば控除の対象になります。

医療費器具・物品購入の医療費

【医療費器具】
○義手、義足、松葉づえ
○補聴器(治療に関わりのない物は不可)
○おむつ代(※医師による「おむつ使用証明書」がないと不可)
○ストマ用装具(※医師による「ストマ用装具使用証明書」がないと不可)

×体温計、血圧計購入費(予防・健康増進のため)
×マッサージ器購入費



還付金の計算

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医療費が 10万超えていると思った方は、医療費の領収書を確認しましょう。ただし、日ごろから取っておく習慣が必要となります。
さきほど説明した通り、医療費控除の確定申告は還付申告です。そこで気になるのは還付金額ではないでしょうか。つぎに還付金額の目安額の計算をみていきます。多少複雑な計算式ですが、覚えておきましょう。

還付金の目安額の計算

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還付金の目安額は「医療費控除の額」×「所得税の税率」です。
「医療費控除の額」は「1年間に支払った医療費の合計」-「保険などの医療費補助」―「10万円(総所得金額が200万以下の場合は総所得金額×5%)」

「所得税の税率」は課税所得金額で税率が決まります。
課税所得金額は源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」から「所得控除の額の合計金額」を差し引いた額です。

10万円を引いてゼロなら還付金はない

かかった医療費に対して出産育児一時金や民間保険会社からの保険金などを引き、結果的な額が10万円未満の場合はどうでしょうか?この場合は医療費控除額である10万円未満のためゼロ円となり、税金が戻ってくることもありません。

このように、きちんと計算した上で控除が可能かを判断しなければ、無駄な作業になってしまいますよ。

確定申告により住民税も安くなる

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医療費控除は所得税だけでなく住民税にも対応しています。住民税の税率は所得税とは違って一律10%のため、10%の控除額となるのです。
住民税の手続きは、確定申告をすればOKなので、住宅ローン控除などと並行して行うことでも、何らかの恩恵を受けられるかもしれませんよ。

必要書類はかんたんにダウンロード可能

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医療費の医療費控除の確定申告に必要な書類は確定申告書AまたB(第一表、第二表)、医療費の明細書。申告書に添付するものとして、医療費の領収書、給与所得の源泉徴収票です。

確定申告書と医療費の明細書は国税庁のHPからダウンロード可能です。

確定申告に必要な書類の源泉徴収票

必要な書類は申告書・領収書・源泉徴収票

医療費の領収書は、通院した各医療機関、薬を購入した薬局などから入手できます。給与所得の源泉徴収は勤務している会社からもらえます。そのほか年金受給者は「公的年金などの源泉徴収票」を使用します。
源泉徴収票は確定申告書の添付書類台に貼り、領収書は封筒などにまとめて提出してください。

提出期限は2月16日から3月15日まで

医療費控除の確定申告書の提出期限2月16日から3月15日までです。この締め切りはほかの確定申告と同じです。
そのため、年末から年明けにかけて書店では「確定申告」に関連する本が目立つようになります。提出期限を守って、来年に持ち越しにならないようにしましょう。

提出方法は郵送またはインターネット

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確定申告書の提出方法は国税庁への郵送インターネットでの申請があります。郵送先は現時点で住んでいる住所を管轄している税務署です。どこの税務署が管轄しているかうやむやの方は事前に知っておきましょう。

インターネットによる申告書作成は可能です。ただし、電子証明書の取得などに費用と事前準備に手間がかかります。

医療費明細書の書き方

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病院の費用がすべて医療費になるとは限らないことはおわかりになりましたか。確定申告が再提出にならないように、医療費になるかどうかは判断できるようにしておきましょう。
つぎに医療費明細書の書き方をみていきます。

記入の流れは医療費の明細書作成→申告書A第一表→申告書A第一表です。医療費の明細書では1年間の医療費を記入して、医療費控除を計算します。

医療費明細書の記入項目

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①:申告する年号を記入します
②:申告する人の住所、氏名を記入する
③:医療を受けた家族別、治療を受けた医療起案別、治療内容別に医療費を記入して合計します。
④支払った医療費の合計を計算します。
⑤保険などで補てんされた金額の合計を計算します。

医療費控除の金額の計算方法

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⑥:支払った医療費の合計を転記します。
⑦:保険などで補てんされた金額の合計を転記します。
⑧:源泉徴収票「給与取得控除後の金額」を転記します。
⑨:差引額から10万を引いて医療控除額を計算します。
 最高200万円、マイナスの時は0円にします。

確定申告書A【第一表】の書き方

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医療費明細書の記入方法はおわかりになりましたか。事前に領収書を家族別にまとめておき、そのなかでも医療機関別に整理しておきましょう。
つづいて、確定申告書の記入です。確定申告書の第一表では医療費の明細書、源泉徴収票から必要な金額を記入します。

記入箇所は多いものの、医療費の明細書、源泉徴収票があれば、難しくはありません。落ち着いて計算しましょう。

医療費控除以外は源泉徴収票から転記

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確定申告書第一表の左下に医療費控除額を記入する部分があります。その金額は医療費の明細書から転記します。そのほかの太線の囲まれた部分は源泉徴収票から転記します。

税金の計算は9箇所

確定申告書第一表の右側は税金の計算となります。計算といっても申告書に計算方法が記載しています。復興特別所得税とは平成25年から開始された特別税です。所得税に一律2.1%を掛けた金額を上乗せして納める税金です。平成49年まで続く予定です。

確定申告書A【第二表】の書き方

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最後は確定申告書の第二表です。確定申告書の第二表には所得の内訳などを記入します。第二表に記入する項目は計算する必要はありません。源泉徴収票と医療費の明細書を転記するだけです。

所得の内訳は源泉徴収から転記

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【取得の内訳】
源泉徴収税額は復興特別所得税込みの金額を記入します。会社員で他の所得がなければ、源泉徴収票から転記すれば問題ありません。

所得から差し引かれる金額に関する事項】
年末調整時と同じ場合は記入する必要はありません。

医療費控除額は医療費の明細書から転記

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【医療費控除額】
支払医療費は医療費の明細書の支払った医療費の合計を転記します。
保険金などで補填される金額も医療費の明細書の補填された金額の合計を転記します。

医療費控除の確定申告のために日ごろから医療費の把握を

医療費控除の確定申告には医療費がわかる領収書が重要です。領収書を紛失した場合は、いつどこで誰がどれほどの支払いがあったか細かく申告しなければなりません。手間がかかるよりも領収書を一枚一枚大事に取っておきましょう。

医療費は家計にとって突然の負担となるため、普段から備えは必要です。そして後から還付金を受け取り、生活の足しにしていくとよいでしょう。健やかな衣生活のためにも、これらの知識を知っておいて損はありませんよ

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