2017年07月12日(水) 更新

退職時も安心!有給消化の基本ルールを徹底解説【ケース別】

退職時の有給消化は悩みがつきもの

6ヶ月以上働いたのなら有給消化!

会社を辞めるときは、有給を使い切ってから! 退職時には、貰えるものを貰ってから辞めたい。そう思うのは自然なことです。ただ実際のところ、退職時の有給消化は意外とトラブルに発展しやすいもの。会社の慣習によっては良い顔をされないこともしばしば…。 でも「半年働いたら例外なく年次有給休暇を取得できる」という大前提がありますから、極力有休を取得したいですよね。

労基は意外と腰が重い?

会社との間でトラブルがあった場合、「労基(労働基準監督署)に相談する」という選択肢が出てきますが、これが意外と難しい。相談自体はそれほど難しくないのですが、労基に相談してもなかなか動いてもらえないことが多いんです。 動いてくれた時には会社にダメージも与えてくれますが、「早く辞めて次の職場に行きたい!」という人には長いこと待ってる時間なんてありませんよね。

職場と慎重に相談しよう

公的な機関に相談するのもいいですが、自力で解決できるならそれがベストです。今回はケース別に基本ルールを確認していきますが、いずれの場合でも「円満退職を目指す」という心構えを持っておきましょう。

ケース①:日数不明

【悩み】
せっかく有給の権利があるのなら、全部使い切ってから退職したいのですが、どれくらいの日数を貰えるのでしょうか?これまで一回も取得したことがないので、よく分かりません。

法律で決められた日数を下回るのはNG

基本的に、有給の残日数は給与明細に記載されているケースが多いです。直近の給与明細で確認してみましょう。もし記載がない場合でも、これまでの取得日数と法定日数を照らし合わせて、自分で確認することができます。

なお、労働基準法第1条第2項では、以下のように規定されています。

この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければなりません。
法律で決められているのはあくまでも最低限のライン。 要するに、会社ごとに日数を変更してもいいけれども、減らすことはNGということです。入社してから半年であれば10日、1年半なら11日…と、継続勤務年数に応じて増えていきます。

雇用形態が切り替わった時は通算日数に

雇用形態がパートやアルバイトから正社員に切り替わった時、勤続年数はリセットされません。実質的に労働関係が継続している限り勤務期間は通算されます。また休職していた人が復職した場合も、休職期間は継続勤務としてカウントされ、在籍期間はトータルで算出されます。ですので、入社してから現在に至るまでの総日数で有給残日数を考えるのが一般的ということです。 ただし、取得可能になった時点から2年が経過すると、有給は消滅することになっています。2年以上前の昔の有給は請求できませんので、注意してください。

ケース②:いつ誰に伝えるべき?

【悩み】
有給消化してそのまま退職するとき、何の相談もしないでいいのでしょうか?一応上司には相談するつもりですが、あんまり早く言うと気まずくなりそうで…。ギリギリ直前に相談したら怒られますかね?

就業規則に従うのが基本ルール

結論から言うと、いつまでに申請しなくてはいけないか、という点は会社ごとに異なります。就業規則で確認する必要があるのです。 伝える相手については、上司と人事の両方に相談しておけば基本的には問題ありません。社内で申請のルールがあれば、それに従ってください。

「2週間前までに」という会社も

気を付けておきたいのは、会社によっては就業規則で「2週間前までに申告しなければならない」と規定している場合もあるということ。有給消化できるのが10日間だとすると、申請から退職まで約1ヶ月かかります。普段風邪で休んだ時に、翌日有給扱いにできるからと言って、油断しないようにしましょう。

ケース③:正社員じゃない

【悩み】
アルバイトとして1年勤めた会社を、あと2ヶ月で辞めることになりました。正社員の人たちは退職間際に”有給消化”をしているみたいですが、これってアルバイトの私でもできるのでしょうか?

非正規社員にも例外なく有給はある

雇用形態は、”継続勤務”の要件に含まれていません。そのため、労働日数が少ないパートやアルバイトの場合も、正社員と同じように有給休暇が付与されます。

ただし、日数は状況ごとに少し異なります。上の表を見て確認してください。

ケース④:引継ぎが間に合わない

【悩み】
無事に転職先も決まって退職を決意したのですが、引継ぎが多くて悩んでいます。退職日ギリギリまでかかるかもしれませんが、できれば有給消化してリフレッシュしてから次の職場へ行きたいです。

円満退職するには引き継ぎはマスト

この会社とはもう関わらないから…といって喧嘩別れをしてしまうと、後々思わぬ形でしっぺ返しにあいます。やっぱり円満退職しておくのがベスト。そのためには、引継ぎは欠かせません。 そうはいっても、引継ぎに3ヶ月もかかるとなると、それは一般的ではありません。通例では、引継ぎ期間を考慮しても1ヶ月間くらいが妥当といわれているようです。引き継ぐ相手の予定にも配慮し、1ヶ月で上手に引継ぎを済ませてください。

とはいえ時季変更権は退職時には無効

労働基準法第39条5項では、下記のように”時季変更権”が定められています。

使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。

これは、労働者が必ずしも希望する日程で有給を取得できるわけではないということ。しかし、それは退職時には適用されません。なぜなら、社員が他の時季に年次有給休暇を取得できることを前提としているからです。 退職が決まっている人は『有給を変更させる先』が存在しないので、時季変更権を理由に権利を奪われることは本来ありません。

ケース⑤:拒否された

【悩み】
会社辞めるんで、残っている有給16日分をまとめて申請したら「もう会社を辞めるんだから、こんなに有給取るなんて非常識だろ」と拒否されました。前の上司は、最後の1週間一度も会社に来なかったのに…。どっちが正しいんでしょうか?

会社は拒否できない

原則として、会社が有給消化を拒否することは許されません。使用者(会社側)の承諾によって発生するものではなく、法律上当然に生じるものだからです。

計画的付与の場合も基本ルールは同じ

労働基準法第39条第6項で、次のような”計画的付与”が規定されています。

使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、その定めにより有給休暇を与えることができる。

つまり、労使協定を結んだ場合は、「有給の時期を変更できない」ということです。しかし、その有給付与日は労働日であることを前提としています。つまり、退職後に有給を付与する、というのはダメということ。 たとえ労使協定締結後に退職が決まった場合であっても、退職する人は計画有給の対象から除外されます。

ケース⑥:消化中に次の職場で働きたい

【悩み】
うちの会社は有給消化に対しては寛容で、二つ返事でOKもらえました。でも、実は退職する前に新しい職場へお手伝いしに行くことは言えてなくて。バレなければ問題ないですかね?

申請すれば許されるかも(法的にはOK)

トラブル回避のために、双方に相談しておくことを強くオススメします。副業禁止を禁止している会社もあるので、もしもばれたら辞める会社で最後の最後に(転職先では最初に)トラブルになってしまうかも。 逆に、申請すればOKとしてくれる職場は多いみたいですから、言っておいた方がリスクは圧倒的に少ないと思います。法的には、二重就労は特に問題ありませんから、会社との関係にだけ気を付けてください。

雇用保険は二重加入できないので注意

とはいえ、何も問題がないかと言えばそうでもありません。たとえば雇用保険の問題が挙げられます。 要件さえ満たせば厚生年金保険や健康保険は二重加入できる、とされていますが、雇用保険は二重加入できません。結局手続きで面倒な思いをするのは自分です。 要するに、正式に退職するまでは、転職先での仕事は”お手伝い”として行いうのがベストということ。「給料がもらえないなら働きたくない」と感じる人は、何かしらの理由を伝えて、正式に退職するまではお手伝いも諦めましょう。

ケース⑦:欠勤扱い

【悩み】
有給というシステムこそありますが、欠勤扱いになりそうで心配です。というのも、前に先輩が有給を取ったら、給料が天引きされていたからです。

賃金不払いは違法

退職時に限らず、有給取得の際に最も腹が立つ欠勤扱い。口頭で申請する職場だと証拠も残りづらく、特にトラブルに発展しやすいようです。 ただ、有給取得を拒否するのと同様、賃金不払いは違法です。労働基準監督署、労働組合といったキーワードを出して、権利を主張してしまってまったく問題ありません。

退職後には取り戻せる可能性が低い

在職中の有給トラブルであれば、話し合い・相談の場を設けやすいでしょう。ところが現実的には、会社を辞めた後だと有給分の賃金を取り戻すのが難しくなるようです。それは、多くの人は辞めた会社に対して労力を割けないからというのが最大の理由です。 やはり時間さえ許せば、退職日までに消化しきってしまうのが無難です。

ケース⑧:買取りたい

【悩み】
有給を取れるかどうか見通しが立たないし、取ってもダラダラして終わりそうで心配です。そこで、有給休暇を買い取って貰った方がいい気がしてきたのですが、これって可能なんですかね?

買取に応じる会社は実在する

従業員想いの会社では、取得しきれない有給休暇を買い取ってくれる場合があります。ただし、あくまでも会社の判断によります。 買取が出来ないからといって、会社が罰せられることもないでしょう。日々の勤務態度が良かった方がいいのはもちろん、ある程度の交渉力が求められます。

ただし法的効力はない

有給は元々「従業員の疲労回復のために付与する休暇」ですので、買取をするとその目的は叶わなくなってしまいます。買取りを認めてしまうと、「法定日数を付与しない会社が続出する」というリスクも考えられますね。過去には買取(買上げ)を禁止した判例も出ています。(昭30.11.30 基収4718号) 実際には、特別規程を設けていない会社なら、買取は極めて難しいと考えてください。

ケース⑨:休職→有給休暇→退職?

【悩み】
いま、わけあって会社を3ヶ月くらい休職しています。ちょっと職場に戻れる自信もないので、このまま退職しようと思っているのですが……。実は有給がかなり余っているんです。最後に使い切ってから辞めることはできるのでしょうか?

休職発令中は有給を取得できない

これから休む必要がある、という場合は、有給をあてて休めることがほとんどです。しかし、休職している人が退職前に有休をとってそのまま辞める、というのは原則無理です。休職中の人は”働けない状態”にあるからです。

有給取得要件は「労働義務があること」

本来、有給は「賃金の減収を伴うことなく労働義務の免除を受けるもの」と決まっています。そのため、休職中の従業員は有給を取得できません。そもそも労働義務がなくなっているからです。 また傷病手当金をもらっている場合は、「仕事に就くことができないこと」が要件として定められていますから、うっかり申請しないように注意してください。

有給消化率はどれくらい?

日本平均は取得率47.6%

有給取得率(消化率)は、以下の計算式で算出されます。 【有給取得率の計算式】 取得率 =(取得資格のある労働者の取得日数 / 付与日数)×100 厚生労働省の発表によると、平成26年の有給取得率は平均47.6%、取得日数は8.8日であったことが分かりました。ともに前年を下回っていて、取得率は50%に達していません。 企業規模別にみると、1,000人以上で52.2%、300~999人で47.1%、100~299人で44.9%、30~99人で43.2%という結果に。規模が大きい会社ほど、比較的有給を取りやすい傾向にあるようです。

世界の有給取得率ランキング

有給休暇国際比較調査2015』によると、ブラジル、フランス、スペイン、オーストラリア、香港が消化率100%で1位となっています。こちらのアンケート調査では、日本の有給消化率は60%となっていますが、それでも調査対象26カ国の中でワースト2位です。 この調査結果の中で驚きなのは、日本人の半数以上が「自分の有給日数を知らない」と答えていること。今すぐ休むつもりがなくても、有給について事前に確認しておきたいものですね。

国内企業のランキング

こちらは『東洋経済オンラインの調査結果』です。先ほどの平均有給取得率で触れたように、やはり大企業の数字は高水準が目立つ結果に。とりわけホンダやトヨタといった自動車関連企業の取得率が高く、上位を独占しています。300位あたりの企業も、直近3年の平均取得率がおよそ60%となっています。 転職難易度はかなり高いですが、今後仕事探しをする際、有給消化率を一つの基準として考えてみるのも面白いかもしれませんね。

「有給取得義務化」の動き

年5日が「企業側の義務」になる見込み

2016年4月から年間5日分の有給休暇を取得させる義務を企業に課す方針で、労働基準法改正法案の調整が進められました。労働基準法改正案は継続審議となり、成立は見送られることとなりましたが、有給休暇に対する関心が高まった人も多いでしょう。 有給休暇の義務化が決まれば、労働環境の改善や社員の健康向上など、労働者にとってのメリットも多分にあります。

自由に選べないデメリットも

年5日の一斉年休を導入している企業では、どんな反応が出ているのでしょうか?これまで休みを取れなかった人からは「嬉しい、助かった」と喜びの声も出ているようですが、なかには不満の声を漏らす人も。というのも「勝手に有給を消化されて、逆に損した気分」とのこと。 ひょっとしたら、せっかく有給を取得しても仕事のことが頭から離れず、羽を伸ばせない恐れもあるかもしれませんね。

有給消化中にやることがない時は

これまで有給を取ったことがない人は、急に休みができても上手く利用できないことがあります。これまでの疲れを癒すのが一番ですが、もし体力的な余裕があるのならば有効に活用したいものですよね。有給休暇を計画的に使いましょう。

平日にしかできないことをやる

平日に有給を取った場合は、普段できない手続きなどを済ませる良い機会です。土日にはできないことといえば、次のようなものが考えられますね。

有給時にやること

・役所の手続き
・銀行での口座開設・記帳など
・検診・治療

有給消化後の転職が決まっている人は、入社前のラストチャンスです。一日でまとめてやってしまえば、後々楽になりますよ。

自分の時間を満喫

せっかくの休みですから、普段出来ないことを思いっきりやってみましょう。皆が働いている間に好きなコトをすると、何だか優越感に浸れたり、時間がゆったり流れるなどの嬉しいメリットもあります。 普段出来ない勉強に時間を割くのもオススメ。社会人になると、学生の頃は興味を抱かなかった分野に惹かれることも多いと思います。ダラダラして終わらせず、自己投資することで初めて「有意義な有給」と言えるのではないでしょうか?

有給消化のルールや慣習は会社ごとに異なるので、慎重に相談を

最後まで読んでいただきありがとうございます。 年次有給休暇は法律上当然に発生する労働者の権利なので、原則として拒否されることはありません。しかし、辞める従業員にわざわざ有給なんて与えるか!という会社があるのも事実です。 話を聞いてもらえないからと言って、無断欠勤などしないように。円満退職にならないと、トラブルを後々まで引っ張らなければならないかも…。やっぱり確実なのは、出来る限り早めに相談しておくこと。引継ぎの問題もあると思うので、時間的に余裕を持ってアクションを起こしましょう。 今の会社を離れる方は、完璧に有給消化をして、新しい職場でいいスタートを切れるように応援しています!

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