2018年08月17日(金) 更新

【エンジニア×人事対談企画②】株式会社マネーフォワード エンジニア 谷口徹様・細谷直樹様×採用リーダー 小川昌之様

(写真左から:小川昌之様、谷口徹様、細谷直樹様) 自動家計簿・資産管理サービス‘マネーフォワード’やビジネス向けクラウドサービス‘MF(エムエフ)クラウドシリーズ’などのサービスで、Fintech企業として活躍している、株式会社マネーフォワード。2580以上の金融関連サービスとの連携でお金の管理を簡単にするアプリや、会計・確定申告・請求書・給与・マイナンバー・経費精算など法人向けのバックオフィスを効率化するクラウドソフトなど、扱いが難しいとされるお金×ITのサービス界隈で高い人気を誇っている。今回は、自動家計簿サービス開発部門の副部長でエンジニアの細谷直樹さん、MFクラウド会計のプロダクトオーナー谷口徹さんと、採用グループリーダーの小川昌之さんに対談して頂き、人気サービスの開発の裏側について語っていただいた。 ※Fintech=Finance(ファイナンス)とTechnology(テクノロジー)を組み合わせた造語であり、金融サービスのあり方を、テクノロジーの力で利用者志向の効率的な仕組みへと変えていく取組。 『エンジニア×人事』企画、Career Park Tech第二弾。 ファシリテーターはポート株式会社の技術開発室室長、大月英照が務めます。 ▼Career Park Techの連載はコチラ▼ 第1弾:株式会社アトラエ(前編) 第1弾:株式会社アトラエ(後編) 第3弾:株式会社VASILY × 株式会社ペロリ 第4弾:Pythonユーザーカンファレンス「PyCon JP 2016」イベントレポート 第5弾:株式会社DeNAトラベル

大きな事業は家計簿アプリとクラウド会計ソフトの2つ

大月:まずは皆さまの自己紹介からお願い致します。

細谷:僕は新卒で入社した金融系の会社でSIerとして5,6年働いたのちに、マネーフォワードに入社しました。もともと、創業メンバーで現在CISOでもある市川と知り合いだったので、その紹介です。現在は、マネーフォワードでサービス開発部の副部長を務めておりまして、エンジニア業務以外にもマネジメントや企画まで担当しています。

谷口:僕はMFクラウド本部の会計サービス部門で、プロダクトオーナーを務めています。大学時代に公認会計士の筆記試験に合格したのですが、やりたいことが見つからなかったので、就職はしなかったんです。その後、漠然とWeb業界に憧れていたところに、飲み会で出会ったとあるベンチャー企業のCTOに誘われて、エンジニアになりました。そして求人サイトを作る仕事をしたのち、マネーフォワードに入社して、そこから半年後くらいにMFクラウドシリーズの立ち上げをやり始めたという流れです。

小川:私は新卒で入社した広告代理店で人事のキャリアをスタートし、営業に異動して企業のブランドプロモーションに数年従事した後、ソーシャルゲーム、人材といった業界でヒトの採用に関わる業務、教育研修の業務を経験したのち、マネーフォワードに入社しました。入社してからは主に採用を担当していて、入社当時の社員数が70人程度で今が190人程度なので、約120人程度の採用に携わっていることになります。

大月:今回はそんな、会社の採用に大きく貢献している小川さんとの対談をお願い致します。小川さんは社内のサービスについて大体のことをご存知かもしれないですけど、今だからこそ聞ける技術的な部分についてお話しして頂きたいと思います。

小川:はい。それでは谷口さんと細谷さんに聞いていきたいのですが、マネーフォワードは、大きく分けると2つの事業がありますよね。個人向けである自動家計簿サービスと、ビジネス向けであるクラウドサービス。今回はそれぞれの事業にマネージャーとして携わっているお二人に、改めてサービスのコンセプトやその技術について伺ってもいいですか?

セキュリティに対する当たり前のレベルが高い

谷口:僕が携わっているのは、「MFクラウドシリーズ」というビジネス向けのクラウドサービスです。会社のバックオフィスの業務である会計業務や、請求書作成などの作業を自動で解決するというものです。その中でも、会計業務にフォーカスした「MFクラウド会計」を担当しています。 会計とは、そもそも商売のお金の流れを記録することなんです。何月何日にいくらで何が売れたというお金の動きを記録しなければいけない、そして記録したものをさらに集計しなければならない。それを人々はずっと紙に書いて記録していたんですけど、ある時イノベーションが起きて、会計システムというものが生まれました。 会計は大きく分けて入力と出力の2つになりますが、そのうち出力する部分が自動になったのが会計システムであり、最初のイノベーションなんです。そして、MFクラウドはその次の段階のイノベーションだと思っていて、出力部分だけではなく「入力部分の自動化」を実現しようとしているサービスです。 そして、それがどうやって行われているかというと、自動家計簿の「マネーフォワード」にも使われているアカウントアグリゲーションという技術です。これは、銀行の明細やカードの明細といった、会計処理に必要なデータを自動で集約させています。「MFクラウドシリーズ」ではその技術を利用して、データを自動で収集・入力させるので、入力から出力まですべての会計業務を自動化させるという試みを行えているわけです。 日本というのは中小企業の割合が90%以上※なんです。その中小企業のビジネスを支援することによって、経営が加速して、日本全体が豊かになって、国民総生産の向上にもつながり、給与の改善にもつながり、お金の悩みを解決するという流れに繋がっているわけです。 「MFクラウドシリーズ」には、そういった入力と出力という双方の自動化によって、バックオフィス業務を効率化して、経営を加速させるというのが目的のひとつです。 ※▼参考▼ 中小企業庁「中小企業白書について」
小川:そういったプロダクトのビジョンを実現するにあたり、技術的な面で他社と違う部分は、どんなところがありますか? 谷口:技術的な面でいうと、プログラミングは割と一般的なものを書いていて、あえて言うとすると技術よりもデータに強みがあると思っています。「MFクラウドシリーズ」には会計処理の膨大なデータが集まっているんです。これらのデータがあるからこそ、この明細の取引は(帳簿上の会計項目などを)こう変換されるべきだという処理の予測精度を、格段に上げることが可能なんです。 小川:プログラミング言語は何を主に使われているんですか? 谷口:アカウントアグリゲーションの部分だとJava、WebサービスだとRuby on Railsで書かれています。データを解析する基盤の部分は結構いろいろ使っていて、データベースは基本はMySQLを使っていて、BigQuery使ったりだとか、Pythonでデータを解析したりだとかやっています。 小川:なるほど。それぞれの言語が選ばれた理由って何かありますか? 谷口:それは、CTOの浅野がJavaが得意だったから、というのが一因としてあります。あとはアカウントアグリゲーションだと安定稼働が求められるので、Rubyみたいな動的型付言語よりも、静的に型が決まっているJavaの方が使いやすいというのがあります。
ただ、早いサイクルで改善がし易いという意味で、Webサービスの部分はやっぱりRuby を使って開発しているところが多いです。 大月:Ruby on Railsって今でこそ人気の言語ですけど、商用で使われるようになったのって割とここ5,6年ですよね。その中でもマネーフォワードさんは比較的早い段階で取り入れられていたように思います。 しかも、マネーフォワードさんは金融という取り扱いの難しいものを扱っていますよね。それってすごいことだと思うんですよね…。 細谷:中にいるとそんなに感じないです。たしかにお金に関するデータを取り扱ってはいるんですが、自分たちは至って普通のサービスを作っているという感覚です。もちろん意識が低いというわけではなく。 セキュリティという部分では別のレイヤーでしっかりとしていて、それこそ僕がこの会社に入るきっかけになったCISOの市川も金融系のシステム面で責任者だった者ですし、そういう人間が立ち上げの当初に設計をしていたので、安全性という面ではきちんと保障しています。ですので、Webやアプリの人間はしっかりと自分たちの仕事をやり、変に意識しすぎることはなく、作れているというところです。 谷口:あとはRubyってWebのテクノロジーの進化に合わせてバージョンアップのサイクルが早いのですが、それにスムーズに追従するためにはテストコードの網羅率が大事になってくるんです。そういう、テストコードを書くことの重要性に、経営陣がきちんと理解を示してくれているのは大きいと思います。そこも続けられている大きなところです。セキュリティの意識はどちらかというとインフラとかDBとかそういう方で見ていて、Webの部分も外部のセキュリティ診断テストを定期的に入れているので、そこで守ることができています。もしかしたらマネーフォワードは、セキュリティに対する当たり前のレベルが高いというのはあるかもしれません。 細谷:それこそ僕は前職で金融系のSIerでしたが、保守的な考えが強く、バージョンアップをする選択が取れないこともありました。そういう文化とWeb業界の文化がバランスよく混ざったのが、マネーフォワードだと思います。Web業界から「Fintech」というキーワードで当社に興味を持ってくださった方と話すと、かたい開発をしている会社と思う方もいらっしゃいますが、実際はとてもいいバランスで開発できているという実感です。

お金に悩む人を少しでも減らして世の中をより豊かにしたい

小川:なるほど、ありがとうございます。続いて細谷さんが開発しているサービスについて伺っていいですか? 細谷:僕は自動家計簿・資産管理サービスの「マネーフォワード」を作っています。今は家計簿や資産管理のサービスと銘打ってはいるんですが、それよりも僕たちのチームは、PFM(「Personal Financial Management」の略)という“個人の金融資産を管理するサービス”を作っているという想いが強いです。 家計簿をつける時って、レシートを溜めて週末に少しずつ計算するというようなパターンが多いと思うんですけど、そこを企業の会計と同じく入力を自動化して、家計を自動的に見える化できるようにしています。それによって、過去に個人でどういうお金の流れがあって、現状どうなっているのかが把握できるようになっていているんです。 さらに目指すところとしては、今後ライフプランを考えていく上で、いまは何をしたらいいんだろうとか、将来に向けてどれだけ貯金しなければならなくて、どこを減らせばいいのかが、「マネーフォワード」を使うことですぐにわかるようなり、お金で悩む人を少しでも減らすことでより豊かになるというところです。
ビジネス向けのサービスである「MFクラウドシリーズ」と違って、個人が何を望んでいるのかを考えるのって難しいんです。家計簿をつけるというのは手段であってゴールじゃないと思うので。僕たちは人々の生活水準を少しでも上げてあげるようにしていきたいんです。家計簿と聞くと節約を思い浮かべてしまうと思うんですけど、僕たちは別に「マネーフォワード」を使って、節約だけをしてほしいわけではないんですね。 使えるお金は使った方が幸せだと思いますし、安いお弁当を買うよりもいいものを食べたい時だってあります。そうしたなかで、そのお金が「使っていいお金」なのか、それとも「使ったら危ないお金」なのか、というのをその人がきちんと判断できるようになって、お金を適切に使えるようになってほしいという想いがあります。そのために、過去や現在の情報というのが見えるようなったらいいはずだと思うので、そこを目指してやっています。 小川:あと、マネーフォワードは数字に対する意識が強いメンバーが多いですよね。それはなんでだと思いますか? 細谷:おそらく今の部署でいうと、エンジニアリングや、プログラミングは手段であって目的ではない、サービスが好きでサービスをもっと良くしたいという想いを持った人が多く集まっているかなとは思います。 小川:確かに、純粋に「自社のサービスが好き」というメンバーは多いですよね。 細谷:そうですね。雑談をしている時も、「お金をもっと便利にしよう」という話はよくしています。複数人でランチに行った時も、他社のPayサービスを利用して誰かが一括で払ったりしているんです。ランチって現金を使わざるを得ないんですけど、5人とかでごはん食べて、レジに全員並んで一人一人会計していくって、時間がもったいないじゃないですか。それをスマホのサービスを使ってお金の支払いを済ませるというのをやっています。そういうお金に関するサービスは貪欲に体験して、開発に取り入れています。 小川:「マネーフォワード」の技術的な取り組みとして、特徴的なところはありますか? 細谷:サーバーサイドは「MFクラウドシリーズ」と同じようにRubyを使っています。モバイルアプリはSwiftとかJavaを使っていて言語選択については特別なことはやっていないです。 ただ、今後はもっとマスのサービスになることを目指していて、どんな人にも使いやすいものにしていきたいので、実際のユーザーの方を呼んでテストして、インタビューするということもやっています。社内でのドッグフーディングも頻繁にやっており、色んな職種の人に体験してもらって、フィードバックをもらう期間を設けています。 谷口:技術的な観点では、RubyやRailsのコミッターが多く在籍しているので、レビューをしてもらったり、プロダクトごとに相談会を開いてもらってパフォーマンスの改善などで助けてもらっていたりします。

マネーフォワードの社員は他職種に対する尊敬の念が強い

大月:コミッターが多いというのはすごいですよね。コミッターの方を含めてエンジニアの方はどういった点に魅力を感じて入社されているのでしょうか?

谷口:技術的な背景というところではない気もしていて、マネーフォワードのサービスに惹かれただとか、会社の人と話して魅力を感じて入ったという人が多いので、技術的にとがった部分があるわけではないと思います。

細谷:文化はあると思います。エンジニアに対する尊敬ですとか、オープンソースという事に対して貢献をしていくという会社の姿勢は、大きく影響していると思います。例えば、Rubyコミッターをマネーフォワードの社員として採用しRubyの開発に専念してもらうという、プロダクトに対して直接コミットするわけでないところにもしっかり投資をしているんです。平たく言うと、エンジニアを大切にしているということです。

社長と話していても、エンジニアという職種に対する尊敬がすごく感じられるんです。逆にマネーフォワードのエンジニアも、他の職種に対する尊敬の念が強い人が多くいるように感じていて。デザイナーや営業だとかに対する尊敬があって、そういう他の領域に対して少しでも貢献できるように自分たちがやれることを増やしています。

小川:たしかにマネーフォワードのエンジニアって、他部署の仕事にすごく協力的ですよね。広報とかにも「これ、ネタになりますか?」って謙虚に聞いていますし、「メディアにこれをアプローチできますか?」と話していたり。人事として接していても日々感じます。 細谷:ユーザーに届かないと意味がないというのを、心の底から思っていますから。実際、テレビで取り上げられたときってものすごく数字が伸びたりするので、僕らが一ついいものを作るだけではなく、メディアに取り上げてもらうことも重要なことだよね、というのはみんな認識しています。そういう部分を一番増やしてくれるのが広報なので、協力できることがあるなら、なんでもしたいと思います。 小川:たしかにそうですね。マネーフォワードに入ってくる人たちの入社理由で一番多いのが、ビジョン共感なんです。そのビジョンというのが「お金の悩みを解決する」という一見途方もないビジョンなんですが、結構果てしないからこそ、それを目指して一歩ずつですけど進んでいる感覚が日々の中にないとモチベーションが保てないと思うんです。それを解決してくれる存在の一つが広報なんでしょうね。 毎日のように何かしらのプレスリリースがあるので、それが自分たちの目指す方向にちょっとずつ進んでいる実感になって、モチベーションにつながっていると思います。そしてそれがお互いの尊敬に繋がっているのかなとも感じています。 大月:文化的に他職種を尊敬することが実現できているのは大きいですよね。そこは大きな魅力だと思います。

ユーザーにとっての価値を見極めて、サービスを推進していきたい

小川:それでは今後技術的に目指していきたいところはありますか? 谷口:データを集めて分析するということをやりたいですね。現状でも既に、多くの個人の方の資産データや、中小企業の財務データを取り扱っているので、それを今後も貯め続けていって、分析し、さらに自動化を進めていきたいと思っています。そして、より多くのユーザーの生活がより良くなるようなソリューションを開発していくところに注力していきたいと思います。 細谷:技術的なところとは少しずれるかもしれませんが、とにかく世の中を変えていきたいです。 当社が推進している「Open Bank API」という取組があって、金融機関のAPIの開放を推進するものです。現状はまだ、取引明細の情報や資産の情報との参照に留まっているんですが、今後は、それにとどまらず送金、決済といったところにも、ゆくゆくは推し進めていけたらと思っています。ユーザーにとっての価値を見極めながら、技術の力で推進していきたいですね。 大月:ありがとうございます。当たり前の意識レベルが高くて、技術に関してそこまで特徴はないという話でしたが、コチラとしては技術的な部分にもしっかり強みがあったように感じられました。また、企業内の他職種を尊敬できているという点もマネーフォワードさんの大きな魅力だと思います。改めまして、本日は貴重なお話をありがとうございました。 Career Park Tech第二回いかがでしたでしょうか。

引き続き、キャリアパークをよろしくお願い致します。

▼キャリアパークTechの連載はコチラ▼ 第1弾:株式会社アトラエ(前編) 第1弾:株式会社アトラエ(後編) 第3弾:株式会社VASILY × 株式会社ペロリ (文:藤井翔太)

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