2018年08月17日(金) 更新

【エンジニア×人事対談企画・番外編】株式会社VASILY 今村雅幸様 × 株式会社ペロリ 水島壮太様

(写真左から:水島壮太様、今村雅幸様) 日本最大級にまで成長したファッションアプリ、『iQON(アイコン)』を運営する株式会社VASILY。女性たちにトレンド情報を提供するキュレーションプラットフォーム、『MERY』の発展が著しい株式会社ペロリ。今回はそれぞれ二社のトップ技術者の対談イベントをレポートします。二名とも大手IT企業からベンチャー企業に転職したという、チャレンジ精神あふれる経歴の持ち主。今回は「大手とベンチャー、どちらが不安定なのか?」、「ベンチャーに入社する前に知っておきたいことは?」など、エンジニアなら誰もが気になる疑問に迫ります。 『エンジニア×人事』企画、Career Park Tech番外編。 ファシリテーターはポート株式会社の技術開発室室長である、大月英照が務めます。 ▼Career Park Techの連載はコチラ▼ 第1弾:株式会社アトラエ(前編) 第1弾:株式会社アトラエ(後編) 第2弾:株式会社マネーフォワード 第4弾:Pythonユーザーカンファレンス「PyCon JP 2016」イベントレポート 第5弾:株式会社DeNAトラベル

大手からベンチャーへ!急成長企業のトップ技術者2名が対談

大月:本日は新進気鋭のベンチャーである株式会社ペロリと株式会社VASILYの2社から、代表の技術者2名にお話をうかがいたいと思います。それでは改めて自己紹介からお願いします。

今村:はじめまして、VASILYのCTOの今村雅幸と申します。僕はもともと文系だったのですが、プログラミングが好きでずっとプログラミングの勉強をしていました。大学も、文系だったのにもかかわらず第二言語がC言語という謎の学部でしたね(笑)そして、大学卒業後は国内の大手IT企業に入社しました。ファッションに関するプロジェクトに2つほど関わっていたのですが、3年ほど勤めたのち、そこで出会ったVASILYの代表である金山と起業したという流れです。CTOという立場ではありますが、サーバーサイド開発にも関わっていますので、色々と聞いていただければと思います。

大月:第二言語がC言語というのはおもしろいですね(笑)ちなみに大学の専攻はなんだったんですか?

今村:僕は経済学の統計ですね。C言語は趣味の領域だったので、いつもテストで満点が取れました(笑)

大月:そんな学生さんあんまりいないですよね。(笑) ありがとうございます。それでは水島さんお願いします。

水島:よろしくお願いします。株式会社ペロリの水島壮太と申します。僕は大学時代にプログラミングにハマりまして、Javaに親しみつつ、ベンチャー企業でiアプリの受諾開発を行っていました。

というのも、生協の前で“iアプリを作りませんか?”という話があったんです。そのときガラケーの上でJavaアプリを動かすというのが流行っていて、当時とあるベンチャーの取締役だった方に声をかけて頂いたのがきっかけでした。当時は月額課金で会員も2~3万人いて結構楽しかったのですが、競合の出現とともに開発費の高騰を感じたのでiアプリはやめて、普通に新卒採用を受けました。

そのあと、外資系大手ITベンダーに入社しました。最初の会社ではJavaがすごく書ける新卒がいるぞと言われていたので、ベンダーフレームワークを作っているチームに入ってOSSに似たライブラリーをたくさん作っていましたね。ですが、時代はAjaxとかWeb2.0に移っていたので、“JSPを触っているのはナンセンスだ”とか“Single Page Applicationを作りたい”とか思うようになって、そこを拡張してAjaxのフレームワークにして、今のAngularJSの崩れたようなものを自分で勝手に作ってプロジェクトに提供して、エンタープライズの古い価値観の世界にフルAjaxのアプリを持ち込んだりしていました。色々怒られましたね(笑)「Javaスクリプトのファンクションポイントは何ポイント?」って聞かれて「知りません」って答えたり(笑)

それからiPhoneが登場してiアプリの頃のモバイルアプリ熱が再燃したので、日本から海外を制覇できるモバイル・インターネットの企業を探して、DeNAに入社しました。ゲームのディベロッパーのお手伝いや海外のプラットフォーム作りなどを経験したのち、MERYというキュレーションプラットフォームの開発のために、出向というかたちでペロリに来ています。メディアもECもはじめて経験するものなのですが、そこでのマネジメントやサービス運営にトライしているという状態です。

僕らが大手を飛び出してベンチャーを選んだ理由

大月:ありがとうございます。それでは質問に移っていきたいと思います。最初の質問は「大手とベンチャー、本当に不安定なのはどっち?」ですね。ベンチャーにいる人はよく聞かれる質問だと思いますが、大手とベンチャーの両方を経験されている方に聞けるのは珍しいことだと思うので、ぜひ聞いてみたいと思います。それでは、今村さんからお願いします。

今村:はい。まず何を以て“不安定”とするかですが、エンジニアにとっての不安定というのは“自分のスキルが身に付かないこと”だと思います。

大月:スキルが身に付かないというと、世の中のテクノロジーの進化に対して、自分の進化があまり追いついていないことで、そこに不安定を感じるということでしょうか?

今村:そうですね。それしかないかなと思います。大手にいた時に感じたのですが、大手には偉大な先人が作った素晴らしいパフォーマンスを発揮するフレームワークがあって、それを使いこなしていれば日々の業務はこなせるようになるんですね。ですが、じゃあこの会社を出たときに自分はエンジニアとして何ができるんだろうと考えたとき、不安を感じたんです。

「オープンソースを使ったらもっとうまいやり方ができるのでは?」とか、「世の中にはもっと良いミドルウェアが出ているのに」とかを考えるようになって、このままだとエンジニアとして成長できなくなると感じたので、自分がエンジニアとして成長できる環境を求めるようになりました。仕事が多くて毎日ピンチだとか、変な仕事を無茶振りされるだとか、そういう環境で働くほうが技術も身に付いて、技術者としての市場価値が高まり、安定につながるのでないかなと思ったんです。

もちろん、両方に良い面があります。資本の差でいうと当然大手のほうが安定ですよね(笑)ただ、一人の技術者として考えたときに、どれだけ挑戦できる環境を与えてくれる会社なのかが、安定を考えるうえでは大事なのかなと思います。

「エンジニアにとって本当の安定は技術者として成長し続けること」

大月:エンジニアさんのインタビューとかを読んでいると、よく「エンジニアはスポーツ選手みたいなものだ」と書かれていることがあって、今村さんのお話もそれと同じなのかなと思いました。「同じことをやってできるようになっているけど、実は停滞していた」ということがよくあって、「他の人は勉強しているから置いていかれる」、そして「置いてかれることにすら気付けなくなることが一番怖い」と、皆さんよく仰ってます。

今村:本当にそうだと思います。VASILYのエンジニアマニフェストにもあるのですが、新卒たちにも、「仕事のなかに、新しい技術的チャレンジを一つ入れるように」という話をしていますね。風土的にもそういう文化にしています。ピンチや苦労を多く経験する方がエンジニアとして成長できると思いますし、それができるのはベンチャーなのかなと思います。

大月:なるほど。ありがとうございます。それでは水島さん、いかがですか?

水島:僕の経験上でいうと、前職が外資系の大手だったのですが、大手だからといって必ずしも安定していないなと感じました。リーマンショックが起きて昇給がストップという話があったり、福利厚生が充実していて社宅制度があったのですが、「業績悪化で廃止になったので一ヵ月以内に出ていってください」と言われたこともあったようでして。これは安定とは言えないですよね。なので、大手だからといって必ずしも安定ではないということを肌で感じました。

逆に、ベンチャーだから不安定というわけでもなくて、僕が学生だった時に起業された会社さんも、どんどん大きくなって上場されて、もう20年目になっている企業もあります。サンプルが少ないので何とも言えないですが、会社が潰れるかそうでないかの観点でいうと、全く差はないかなと考えていますね。

そのなかでベンチャーは活躍しやすいという利点もあります。軌道に乗り始めたベンチャーであれば人もどんどん増えていくし、活躍の機会もあって、活躍さえすれば給料も上がっていく。技術も磨ける。成長途中なので、自分の享受できる価値やアピールポイントも、多くあるのはベンチャーなのかなと思います。

大手の場合だと、制約があってなかなかチャレンジができないこともあります。それに、チャレンジが終わっても社会主義的な部分もあって自画自賛で終わってしまうこともあったんですね。そういうネガティブな要素が、僕にとって転職のきっかけになった理由の一つでもありました。

大月:DeNAからペロリに出向ということで、またさらに違ったかたちのベンチャーの環境を味わえているのかなと思うのですが、何か違いはあったりしますか?

水島:そうですね。規模の面でいえばずっと小さくて、何も揃っていない環境でもあるので、自分たちで作り上げていく面白味はDeNA以上に感じています。そのぶん、困るときは本当に困りますね。ほんとに苦しい時は DeNAに助けを求めたりだとか(笑)でも、やっぱり自分は小さい組織が合っているなと思いますし、会社を作っていく楽しさは本当に味わえています。

あと、スキルの面でいうと普遍的な技術を学び続けることが、本当の安定だと考えています。どこにいっても通用するスキルは絶対に失いたくない。それは学生の頃から思っていました。

例えば、ブラウザに付随するHTTP とかJavaScript は簡単になくならないだろうとか(笑)、SMTPも枯れていますが一応知った方がいいけど、それならサブミッションポートの存在もわかっといた方がいいよねとか。流行りには一応乗って、その中でこれからも使われるだろう普遍的な技術を、自分にシフトさせていくことがエンジニアにとっての安定なのかなと思います。

ベンチャーへの入社を考えている人に伝えたいのは「勘違いしないこと」

大月:ありがとうございます。小規模の会社の方が向いているというお話もあったのですが、実際にベンチャーで働いてみたいと考えている人に向けて、次の質問にお答えいただければとも思います。

次の質問は“ベンチャーで働きたい、と思った時に考えておいて欲しいことって?”です。ご自身がベンチャーに転職する際に考えておけばよかったなと思うことがあれば、お答えいただきたいのですが、水島さん、いかがですか?

水島:さっき少しお話ししましたが、ベンチャー企業は自分で環境を作っていくというマインドが必要になります。

アメリカ人だと「雇われる」という個人の感覚が強いので、職場環境を重視することが多いんですね。インセンティブで働く人も多いので、人の入れ替わりが激しい。海外だとそれでいいと思うのですが、日本のベンチャーだと環境を自分で作っていくマインドがないと結構辛いと思います。

最近だと渋谷界隈のベンチャーも、福利厚生が整っていて、オフィスもシリコンバレーのスタートアップ並に綺麗という企業が増えていますが、そういう見た目のインセンティブ以上に、自分が「こういう開発組織にしていきたい」、「こういう会社にしていきたい」という意識をもって取り組めるかどうか、それを楽しめるかどうかが大切ですね。

大学のサークルのようなものです。コミュニティを立ち上げて、代々継承されていって、下の代が「先代を越えてやる」と意気込んで変えていく。

せっかく大手ではなく不安定かもしれないベンチャーにいるのだから、自分が納得のできる組織に作り変えることが大切だと思います。「いい仲間と出会えたな」と思えるように、環境を変えていくということですね。

大月:ベンチャーだと人数が少ないから尚更かもしれませんね。これからベンチャーを志望される方も、社内の人とできるだけ多く会ってから入社するといいかもしれません。BtoCのアプリ開発をしているベンチャーってどこも同じように見えてしまいがちですけど、中に入ってみたら社風が全然違ったりしますから。

あとは、組織に入ってからも、社風の中でトラブルや出来ないことを見つけて、それを一つずつ解決していく楽しさを感じていけるといいですよね。今村さんはどうですか?

今村:そうですね。会場にいる皆さんに聞きたいんですけど、ベンチャーってどんな風に映っていますか?なんかメディアとかでよく流れるじゃないですか。「○○社が何億円調達した」だとか、「ユーザー数が○○○万人突破しました」だとか(笑)ある意味すごくキラキラして見えるかもしれませんが、中にいる人間からするともう地獄絵図です(笑)

ベンチャー企業って、僕は某有名マンガでいう“精神と時の部屋”みたいなものだと思っているんですね。精神と時の部屋は時間が凝縮されていて、その中で修業をするという場所なんですけど、ベンチャー企業も周りに優秀なエンジニアが集まっていて、その中に自分の身を置いて、自分のスキルを半強制的に成長させる場所という感じです。

外の世界でゆるやかに成長していく環境を選ぶのか、色んなことを経験して加速度的に成長できる環境を選ぶのかという感じですね。

その分、すべてがうまくいくわけではないですし、出した機能が数時間後にいきなりなくなるなんてことも全然あります(笑)それでも苦楽を共にできる仲間と一緒に、失敗も経験にしてやっていく覚悟が必要ということですね。すべてが上手くいく環境ではないということです。

大月:最近、様々なメディアさんがベンチャー企業の活躍をフューチャーしてくださるので、なんとなく問題がなく進んでいるように見えるんですけど、そんなことはないということですよね。

今村:そんなことはないですよ、というのは言っておきたいです。楽しいんですけどね(笑)ただ結局、誰のせいにもできないので自分が頑張るしかないんです。その分、成果も大きく返ってくるので、嬉しいときはすごく嬉しいというのも、ベンチャーの醍醐味の一つです。

“今”以上を常に求める人と働きたい

大月:それでは最後の質問になりますが、“ベンチャー企業に向いているのはどんな人か?”です。こういう人材を求めている、こういうことを考えている人がベンチャーに向いていますよ、というイメージがあれば、教えていただきたいと思います。

今村:例えば弊社の話になるのですが、VASILYでは求める人物像として7つの英単語の頭文字を組み合わせた”HIPSTER”というものを掲げています。これは弊社のホームページにも載っているのでぜひ見て頂きたいのですが、そのなかでも特に大事だと思うのが、最初のHである“Hungry”です。日々仕事をするなかで、少しでも限界を突破して成果を出したいだとか、一度死にかけた経験があって人生を大事に考えられている人だとか、そういうハングリー精神を持っている人が、ベンチャーに向いているのかなと思います。

ベンチャーって苦しいこともたくさんあるので、その時にきちんと乗り越えようと思える人だと活躍できるでしょうし、現状に満足しない人と働きたいですね。

水島:僕の場合、ペロリにジョインしたとき思ったのが、“ものづくりが好きな人が多いな”という印象がありましたね。「ビジネスで成功してやる」だとか、「MERYのPVを2倍にしてやる」とか、そういうことを考えている人ってエンジニアやデザイナーにはあまりいなくて、“どうやったらいいものが作れるだろう”という目線で考えられている人が多いです。

ビジネスサイドだと、事業計画があって「どう数字を伸ばしていこう」というのが主軸にあるのですが、エンジニアにはそういったことをあまり意識させないようなマネジメントを心掛けています。

常にユーザー目線を持って、最高のプロダクトをユーザーに届ける、そのために愚直に頑張る、数字は結果、そういうマインドを持った人と働きたいです。

あとはコミュニケーションですね。そこはコントロールし辛いところなので、ビジネスサイドときちんとコミュニケーションが取れて、本質を見極め、作り手としての立場でディスカッションできる人がスタートアップには求められるのかなと思います。

大月:たしかに、スタートアップにジョインして、そこから会社が成長してもずっとコミットしているエンジニアさんって、「なにか変わりましたか?」と聞いてもほとんどが「何も変わっていない」と答えるんですよね。

「売上ももちろん大切だけど、ミッションが大事」だとか、社会貢献のためだったり、意義があるから開発するんだという、信念を持っているエンジニアさんが、スタートアップには向いているのかなという印象です。

水島:そうですね。攻めていくマインドを忘れてはいけないなと思っています。無駄に守りに入って、細かいチューニングばかりをするような組織にはしたくないですね。

大月:ありがとうございます。質問は以上になります。大手を経験しているお二人だからこそ、ベンチャー企業で働くことの意義や、大手との違いという面が見えたのではないでしょうか。また、エンジニアにとって“本当の安定とは何か?”というお話も、大変興味深かったと思います。改めまして、本日は貴重なお話をありがとうございました。

Career Park Tech番外編、いかがでしたでしょうか。
今回は趣向を変えて、成長を続けるベンチャー企業の技術者トップ2名に対談をして頂いて、人事経験のある大月がファシリテーターを務めるという構成でお伝え致しました。

引き続き、キャリアパークをよろしくお願い致します。

▼キャリアパークTechの連載はコチラ▼ 第1弾:株式会社アトラエ(前編) 第1弾:株式会社アトラエ(後編) 第2弾:株式会社マネーフォワード (文:藤井翔太)

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