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日系企業への税務アドバイス「グローバルファームの中で日本の役に立ちたい」

世界の4大会計事務所「Big4」のひとつ、EYと提携する「EY税理士法人」。国際税務部のマネージャーを務める根本さんと移転価格という特殊な税制を担当している部署の野々村さん。学生時代の話からぶつかった壁、そして何をしたいかという夢とEYで続けている理由について伺いました。

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税務コンサルティングは「インバウンド」と「アウトバウンド」

所属している部署の役割と、その中でどのような業務に携わっていますか。

根本

私は国際税務部という、クロスボーダー案件の税務コンサルティングをする部署に所属しています。私たちのプロジェクトは、大きく分けて2種類あって、それぞれインバウンドとアウトバウンドと呼んでいます。インバウンドは外資系企業のお客様に日本の税務アドバイスを提供する仕事になります。また、アウトバウンドは日系企業のお客様が海外企業の買収やグループ再編などを行った時の税務アドバイスを提供する仕事で、日本のお客様に日本の税務だけでなく海外税務の観点からのアドバイスを提供する仕事になります。私はどちらかというとアウトバウンドをメインにしています。

お客様は日系企業の大手企業が多いです。たまに海外に慣れていない企業もあります。弊社の海外事務所のタックスチームと連携して、現地のチームには、現地税制の観点からのアドバイスをもらいつつ、お客様に提供するといった仕事をしています。

時折笑顔を見せる根本さん

野々村

私の部署は、移転価格という、国際税務の中でもちょっと特殊の税制の移転価格税制を主に担当する部門になります。例えば日本でモノをつくってアメリカで売っているような会社があったとします。その商品が全体で100の利益を出しているときに、その100の利益を日本で計上するのか、アメリカで計上するのかで問題が発生します。この2つの国の間で、利益をどちらにどれだけ計上するべきかを分析して、お客様に提案するアドバイザリー業務が、移転価格の役割です。

お客様ごとにプロジェクトチームを組んで、それぞれのプロジェクトに参加していくことになるので、私は大体今10社ちょっとくらいのお客様を担当させてもらっています。

インターンから数えると、入社して1年8か月が経ちました。ちなみにインバウンドかアウトバウンドかという話では私はアウトバウンドですね。

移転価格税制という特殊な税制を担当する野々村さん

ロンドンの大学で1年目はとことん遊んで、2年目、3年目はとことん勉強

社会人何年目にあたりますか。学生時代は何をされていましたか。

根本

ロンドンの大学に行っていました。大学は3年制で、1年目はとことん遊んで、2年目、3年目はとことん勉強していました。幼いころから父親の仕事の都合で、転々としていました。そして中学卒業してからイギリス転勤になりました。高校卒業したら日本に帰国を考えましたが、現地で大学に行ったという感じです。

引っ越した当時は、中学3年間の英語を授業で受けている程度で、「This is a pen」とか、そういう感じでした(笑) 現地で最初に通った高校は ちょうど春休みで先生が個別にレッスンしてくれました。1学年1クラスで、20、30人くらいのアットホームな学校でした。そのおかげで英語にも慣れ、大学では経済学部を専攻し、国際経済、貿易、ゲームセオリーなどを勉強しました。経済学部を選んだ理由は一番潰しが効くからです(笑) 将来のビジョンが全然なくて、ただ数学が好きでしたが、数学選択するまでに至らなくて。大学の経済学部は理系に近い経済学部で、理系に近くて一番ジェネラルで、潰しの効きそうなのが経済だと思ったので経済にしちゃいました(笑)。

EYは大学2年と3年の間の夏休みに1か月間くらい、インターンさせていただく機会がありました。そこで、「じゃあ卒業したら是非」とジョブオファーいただけたので、そのまま入りました。決め手はチームの雰囲気がすごく良かったので、この人たちと働けるんだったら是非入りたいと思って、入社を決めました。

野々村

大学と大学院と併せて8年間通っていました。でも、まじめに勉強したのは大学院の2年間ぐらいなんですけどね(笑)。大学院で、ある先生が教えていた国際税務の授業が面白くて、「あ、これで飯食っていこう」って思いました。

勉強している中で、いまはBig4のアメリカ事務所にいる大学院の先輩が「EYが国際税務のポジションを募集してるみたいだから受けてみたら」って言ってくれて、そのまま応募して、インターンに行ったのがはじまりです。

大学の1年目は、自分でビジネスを立ち上げたい人たちが集まっている学生団体の活動をしていました。その後は、その活動で縁のあった方に、今度独立するから手伝ってみないかっていわれて、その人の会社の立ち上げ時期、まだ登記とかもする前の段階から6カ月くらい手伝わせてもらったことがありました。その人の事業に対する姿勢や、考え方はとても勉強になったのですが、一方で、ベンチャーは人の事業を手伝うものでなくて、自分でやるものだなとも…(笑)。

就活のときは、外資系コンサルティング会社等を中心に受け、インターンにも行きましたが、一方でこのまま働くのも嫌だなって思ったんです。

そしてアメリカで半年くらい語学留学でもしてこようって思って、アメリカに行きました。そこで大学院の入試準備とかも同時に進めて、そのまま大学院に行って、そこで初めて今の先生に出会って真面目に勉強するようになりました。

時間的制約と完全を求める自分 どこで折り合いをつけるか

キャリアのスタートと最初にぶつかった壁を教えてください

根本

最初ロンドン事務所で入ったチームは、今の国際税務部ではなく、いわゆる法人税の申告書を作成する部署でした。英国法人税のコンプライアンスの部署にいたので、会社の申告書の作成や会社の監査時のタックスの数字を監査チームと一緒に監査に行く仕事がメインでした。たまに国内がらみの税務関係の質問の対処をしますが、主に申告書作成をしていました。

英国は日本と異なり、入社してから資格を取ります。そのため、会社に入ってからの3年間のトレーニングプログラムで、専門学校に行って、試験も受けさせてもらえました。お給料も出て、日本とは全然違う恵まれた環境にいました。

いわゆる直属の上司はいなくて、案件ごとにそれぞれのランクから1人パートナー、マネージャー、スタッフみたいにチームを組むので、色々な人と働けることがメリットなんですけど、中には合う人合わない人いて(笑)、やりやすい人、やりにくい人もいたりして、やりにくい人と当たったときはどうしようと思っていました。

コンプライアンス部でマネージャーになって、下の人に仕事をやってもらうときにどういったら伝わるのかが一番大変でした。自分でやった方が早いんじゃないかって思いながら、でも、やってもらった方が、結果、自分も楽になります。皆忙しそうだし、人に仕事をお願いする伝え方が最初難しかったですね。

野々村

業務をはじめて最初に気付いたことは、お客様に文書を提出する際の言葉の使い方の独特さでした。この業界で文章を書く際の用語や書き方は少し独特で、最初は先輩にかなり添削して頂きました。専門的な事柄であっても、お客様にとってわかりやすい文章を仕上げなければいけないので、数字をもとにしたデータの解析だけでなく、意外と文章力が重要なスキルなんだなと思いました。

最初にぶつかった壁は、あるお客様に提案する際に、完璧な資料を作ろうとするあまり、内部での期限を若干超過してしまった際のことです。僕は、割と細かいことが気になって、抜け漏れがないものを作りたがる癖があるんですが、結果として時間がかかってしまうことがあり、その時もそのような状況でした。この時に、上の方から言われたこととして、「期限を超えた100点の資料よりも、期限内の80点の資料」というのが非常に印象に残っています。期限を超えた資料には全く価値がなく、職業的専門家であるならば、期限内に合格点を超える資料を作らなければならないということなのですが、この点、まだこの壁は乗り越えられていないかもしれません(笑)。いい成果物をどこまで効率的に完成させていくかが自分の課題です。

和気あいあいとしたチームでメリハリのある仕事を

モチベーションの根幹を教えてください。

根本

英国事務所に6年間くらいいたときに、「はぁー、この申告書やるのも6年目か」と正直モチベーションが落ちていました。

ルーティン作業のように毎年毎年やらなければいけないことは決まっているので、最後の方は飽きてしまっていました。 もちろん自分の工夫ややる気次第ではコンプライアンスから他のアドバイス業務に積極的につなげたりといったこともできたでしょうし、 実際にそうやって活躍している人もたくさんいましたが。

そのタイミングで国際税務部という割とルーティン作業ではなく、プロジェクトベースの部に移れたので、すごく刺激的でしたし、仕事内容は本当に楽しかったです。

日系の案件は似たような論点が出てくるんですけど、やはり案件ごとに違うのでやりがいがあります。やっぱり人ですね。本当に誰と仕事するかにすごく左右されてしまうので。

本当にここのチームメンバーが良いので、そういう意味ではモチベーションと言うか、楽しく仕事できています。本当につらい案件やお客様もいましたけど、チームメンバーで苦労したってことはあまりないです。

国際税務部はあまり殺伐した感じではなく、気持ちよく働ける環境ですね。国際税務部は部署的な特徴もあって、割とみんな自由にのびのびとしていますね。

野々村

移転価格部は2か月に1回くらい「ハッピーアワー」というのがあって、金曜の夜に来れる人だけ参加する、会社が企画してくれるイベントがあります。基本的に仕事やっているときはお客様の大事な情報とかを扱ったりするので、カッチリとやっていますが、ディスカッションするときとか、ハッピーアワーみたいなときは、割と砕けた感じの雰囲気が特徴です。

日本企業にバリューを与えていく

EY税理士法人が社会に与えている価値を教えてください。

根本

アウトバウンドは日系企業のお客様がメインなので、グローバルファームといいつつやっぱり日本人なので、日本の役に立ちたいなっていうのはあります。そういった意味では、ちょっとした繋がりでも日系企業さんの役に立てて、海外進出のお手伝いとかもできるのかなと。事業目的がある中での税務ってどうなのっていうところなので。「税務上これが一番いいんです!」って言っても、「事業上全然意味がないんです。」っていうものをやってしまいがちなので。事業目的を達成する上で、税務がその妨げにならなく、かつ、その枠組みの中で一番効率の良いやり方とかアドバイスをしていくことで、事業目的をより達成しやすくしていくことだと思います。

野々村

例えば、日本とアメリカってだいたい企業が稼いだお金の40%くらいが税金にあたります。ところが、例えばある米国IT企業が税引前当期純利益で一兆円上げたとき、実効税率は20%だったとします。一方で、日本企業ってそういうプラニングはあまり好まれないので、実効税率はそのままというケースが多いと思います。そうなると、日本企業が一兆円くらい利益を上げた時は手元に6,000億円くらい残るけど、米国IT企業が一兆円利益上げたら8,000億円手元に残って、2,000億円くらいの差がつく計算になる。毎年2,000億円のキャッシュを持っている会社と持っていない会社を比べたら全然勝負にならないと思いませんか。

もちろん税理士法人ってそういう方面の仕事ばかりではなくて、むしろ、ほとんどは、企業の税務面でのコンプライアンスをお手伝いする仕事だと思います。ただ、少しでもそういった、企業の競争条件の不平等を解決することを通じて、日本企業にバリューを与えることができたらなと思っています。

他にも、OECDが多国間の新しい税務のルールを導入するときとか、財務省が日本に新しい税制を導入するときには、学者の方とか実務家の方から、意見を聞くセッションがあるんですが、弊社のパートナーも意見を求められることがあって、その時に出す意見を通じて、実業界の意見を税制改正に反映させていくみたいな貢献をしている方もいます。また、経産省や金融庁に出向している人もいて、日本全体のこと、日本企業全体のことを考えて携わっている方もいるのかなと思います。

いろいろなことをやっている中で、ひとつしっくりくるものが見つかる

学生・転職を考えている人にメッセージをお願いします。

根本

ネットとかのリサーチだけじゃ、わからない部分もあると思うので、チームの雰囲気とかがわかるインターンシップをおすすめします。

就活する学生って21、22歳くらいですよね。私はそのころの将来のビジョンってよくわかっていなかったです。わかっていないからこそ、安心なところを選ぶのもひとつの手かなと思います。

資格があったら、食い逸れることがないってのも一理あると思いますし、弊社みたいなところから事業会社のインハウスタックスチームやインハウスアカウントチームに転職する方も多いので、転職前提の就職をおすすめするわけではないんですけども、そういった意味ではそんな道もあるよという感じですかね。

グローバルファームならではの海外事務所と連携して働くやり方は、EYだからできたんじゃないかなって思います。そういった意味だと英語が得意で、いずれ海外に行ってみたい人とか、そういった機会があるかどうかもひとつの要素として選ぶのもありかもしれないですね。

やはり大企業から仕事の依頼は規模が大きく、面白いエキサイティングな案件に多く関われるというのもEYだからこそできているんだと思います。

あとは本当にすごい知識のある人と一緒に仕事ができます。移転価格や法人税などあらゆる分野で優れている人たちがいます。本当に複雑な国内の組織再編の税務の部分や関税、あらゆる分野の専門家が揃っているので、そういった意味では刺激的な環境だと思います。

ただ、夢を壊すようですけど、100%楽しい仕事ってないと思うんですよね。理想の仕事って。だから好きなものを見つけつつ、やっぱりそれでも楽しくない、やりたくない、つまらない部分って絶対にあると思うので。もし楽しい、面白いって思える要素が半分以上でもあったら、それは自分に向いている仕事じゃないかなって思っています。

野々村

僕自身がビジョナリーな人間ではないのは、お話ししていて、わかっていただけたとは思うんですけど(笑)、ビジョンというものではなく、「何でもいいから好きなことをやったらいいんじゃないのかな」ということです。

いろいろなことをやっている中で、そのうちひとつしっくりくるものがあると思うんですよ。僕の場合は大学院の先生がしっくりくるポイントになったので、そういうものが何か見つかるまでは、逆にフラフラしてもいいとは思っています。

興味がわいたものに全部手を出していき、好きだったものの中で、ひとつやっていきたいなと思えるものがあれば、それでいいんじゃないのかなと思います。それを許してもらえる環境があってこそ言えるのかもしれませんが。

人に重きを置いた社風が合っている

将来何をしたいかという夢とEYで続けている理由を教えてください。

根本

私は母が専業主婦だったので、何となく自分も専業主婦になるのかなくらいのイメージが昔からありました。幸い女性も活躍できる職場・職種ですし、今本当に国際税務部の仕事が楽しいのでたとえ産休に入っても復帰しないって考えは思い浮かびません。ただやっぱり、日本税務の知識がまだまだ足りていないと思うんで、そこを勉強で補いつつ、国際税務部で本当にワークライフバランス、家庭も仕事も両立しながら、将来働いていけたらいいなと思っています。

弊社は海外ネットワークが強いので、国際税務で現地タックスチームと仕事がしやすい環境にあります、、。ピープルカルチャーと弊社では言っているのですが、割と人に重きを置いた社風なのも、私には合っていると思いますね。ただ事業会社に行ってまた戻ってくる人もいて、そういった意味ではまた視点が広がっていいなと思うときもありますけれども、具体的には転職は考えていないですね。

野々村

税法学がやはり好きなので、国際税務は面白いと思っています。将来的には博士課程に行きたいと思います。大学とかでは最近、実務家の先生とかも増えていると思うのですが、実務と学問の両方を理解することのできる人になれればいいかなと思っています。

あとEYだからっていうところに関しては、さっき根本さんが仰っていた通りで、変な奴はたくさんいるけど、嫌な奴はいないってところで、逆に言うと変な人を受け入れてくれる環境があるところですね(笑)

割とそういう意味ではダイバーシティじゃないですけど、懐の深い文化が良いのかなって思っていて、この会社は今まだ僅かしか働いたところはないですけど、そういう感想をもっています。

ありがとうございました。

感想

企業の国際化が進む中、EY税理士法人が担う役割は大きくなります。 企業が海外進出する際に発生する様々な税の問題にアドバイスを続けるお二人の活躍がますます楽しみです。

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