TBM(ティー・ビー・エム)

山﨑敦義(現CEO)が100年後も挑戦し続ける事業、組織をつくりたいという想いから2011年にTimes Bridge Managementが社名の由来であるTBMを設立し、自社開発した新素材LIMEX(ライメックス)の開発・製造、販売を開始。「過去を活かして未来を創る。100年後でも持続可能な循環型イノベーション」をビジョンに掲げ、環境配慮型の素材開発及び製品の製造、販売と資源循環を促進する事業の柱として、サステナビリティ領域のトッププレイヤーを目指している。日中欧米を含む40ヵ国以上で、200件以上の特許を権利化し、会社設立以降の資金調達額は236億円を超える。経済産業省「J-Startup Impact」認定企業。世界経済フォーラム(ダボス会議)のユニコーン・コミュニティに参画。2023年の日本経済新聞「NEXTユニコーン調査」で第7位(推計企業価値1344億円)にランクインし、日本の数少ないユニコーン企業の1社として注目されている
 
企業詳細:コーポレートサイト

サステナビリティ革命の実現に向けて挑戦し続ける会社

TBMは、環境配慮型の素材開発・製造、販売や資源循環モデルの確立によってサステナビリティ領域のトッププレイヤーを目指す集団です。「サステナビリティ革命」の実現を標榜し、人口増加や気候変動、資源枯渇、水資源の危機等の地球の未来にかかわる課題の解決に事業を通じて貢献することを目指しています。この挑戦を成功させるためには先人達が築き上げてきた素晴らしい「技術」「仕組み」「価値観」と、新しい「技術」「仕組み」「価値観」を組み合わせて圧倒的な規模とスピードで事業を推進していく必要があります。「技術」に関しては、石灰石を主原料とした新素材でプラスチックや紙の代替素材となるLIMEXを開発・製造、販売しており関連特許を世界40カ国以上で取得しています。LIMEXは石油由来のプラスチックと比較して原材料調達から処理までのライフサイクル全体で比較して、CO2などのGHG排出量を大幅に削減でき、また紙と比較して製造段階の水資源の使用量を大幅に削減でき、森林資源は一切使いません。「仕組み」に関しては、使用済みLIMEXや廃プラスチックなどを回収し再生する資源循環モデルの構築を進めており、国内最大級のリサイクルプラントの運営にも力を入れています。「価値観」については、価値観を共有できる仲間の輪を広げることを重視しています。「自社開発や自社リソースだけにこだわらず、オープンイノベーションを推進しています」と説明してくれたのはピープル&カルチャー本部カルチャー・アーキテクトの島津凱さん。既存の業界との連携も重視し、製造に関してはパートナー企業を国内外で拡充し、資源循環についてもすでに回収ルートを持っている物流会社や資源回収業者との連携の強化にも取り組んでいるとのことです。

編集部が注目する3つの数字

編集部は今回、TBMに関する3つの数字に注目してみました。

①資金調達額236億円

TBM設立からこれまでに、同社が事業展開の拡大のために得た資金調達額が236億円を超えました。2021年には国内スタートアップ資金調達ランキングで1位にランクされてもいます。会社設立から10年で、日本を代表する事業会社や韓国の大手財閥であるSKグループ、経済産業省などから巨額の資金調達を可能にしたことは、TBMの事業に対する社会的意義の大きさや期待の高さを表しています。

②導入企業・自治体は10,000超

LIMEXを利用した製品は企画印刷物(冊子、パッケージ等)、産業資材(シール・ラベル・袋等)、日用品(アメニティ、レジ袋)、生活雑貨(ボトル、トレー、ハンガー、化粧品容器)、食品容器・飲料カップまで多岐にわたり、今後も自動車や物流、建設/住宅などのさまざまな用途で拡大が見込まれています。LIMEX製品は現在、10,000以上の企業や自治体で採用されています

③特許取得国数・件数40カ国200件以上

世界中に豊富に存在し、資源の少ない日本でも100%自給可能な鉱物資源である石灰石を主原料とし、プラスチックや紙の代替素材として使用可能なLIMEXは、独自の技術開発によって生まれた環境配慮型の新素材。世界40カ国以上で特許を取得しており、TBMの技術力の高さを証明しています

事業内容

Q.事業概要を教えてください

環境配慮型の新素材事業と資源循環事業を2本柱として事業展開しています。まずこの2つについて説明します。

環境配慮型の素材事業では、石灰石を主原料とした新素材LIMEXや使用済みのプラスチックやLIMEXなどを原料とした再生素材を開発・製造し、他社向けに素材として提供するだけではなく、自社で素材を活用した製品の企画・製造・販売まで手掛けている点が特徴です。LIMEXの生産拠点は2015年に宮城県白石市の国内第1パイロットプラントが完成。2021年には宮城県多賀城市に国内第2量産プラントも完成し生産を開始しています。また東京荒川区には技術革新を支えるテクノロジーセンターもあります。さらにLIMEXの生産に関しては自社工場だけでなく、ファブレスのビジネスモデルで国内外にパートナー企業を拡充し、初期投資を抑えながらスピード感を持って世の中にどんどんどん普及させるような展開も進めています。次に、資源循環事業を説明します。資源循環事業の一つとして注力しているのCirculeX(サーキュレックス)です。CirculeXは使用済みプラスチックやLIMEXなど、回収した再生原料を50%以上含む素材です。日本ではプラスチックリサイクルの主流は、燃やした熱を発電や給湯に利用するサーマルリサイクル(エネルギー回収)で、単純焼却とサーマルリサイクルを合わせると70%に達します。つまり廃プラスチックのほとんどが燃やされているのが実態です。しかしTBMが目指すのは廃プラスチックを燃やすのではなく、素材として再資源化して活かし循環させていく、いわゆるマテリアルリサイクルで、その仕組みの鍵を握るのがCirculeXといえます。他には、一般家庭などからから排出される廃プラスチックなどを集め、素材を自動選別し原料化する「リサイクルプラント」の運営にも力を入れています。2022年には神奈川県の横須賀市にリサイクルプラントを完成させました。プラスチックのリサイクルプラントとしては国内最大級。「ゼロカーボンシティ」を宣言している横須賀市と連携し、マテリアルリサイクルの実証実験を進めています。環境配慮型の素材事業と資源循環事業以外にも、サステナビリティを経営の核に据え、そこに貢献できるのであればさまざまな事業にチャレンジする姿勢の弊社では、新規事業として複数の事業を展開しています。たとえばB2CのEC事業として環境に配慮した製品を取り扱うオンラインセレクトショップ「ZAIMA」の運営や温室効果ガス排出量を可視化する「SopeX」というクラウドサービス展開しています。

Q.B2Bの事業展開が多い中で、B2Cのサービスを手掛けられている理由は何ですか?

TBMは環境に配慮された新素材の開発・製造、販売を通じて、よりサステナブルな社会を実現するためB2Bビジネスを展開してきました。ですが取引先企業のサステナビリティへの関心を一段と高めるためにも、その先にいる消費者の生活や行動を変えていかねばならないと感じるようになりました。そこで、安さや便利さだけを商品の選択基準にするのではなく、「環境配慮」という新たな価値変容による消費行動を促すためにサステナブルな商品を取り扱うB2CのECサイト「ZAIMA」をスタートしたわけです

Q.LIMEXは素材としてどのように優れているのでしょうか?

まずはプラスチック代替素材としてのLIMEXについて。石油由来プラスチックの使用量を大幅に削減でき、結果的に原材料の調達から処分までのライフサイクル全体でCO2等の温室効果ガス(GHG)排出量を減らせます。LIMEXは石灰石を原料とする炭酸カルシウムなど無機物を50%以上(重量ベース)含むからです。また汎用プラスチックと同様に多様な成形方法に対応できるため、既存の成形設備を活用可能で、サプライチェーンを国内外に広げやすい点も長所になります。次に紙代替としてのLIMEXについて。製造時に水をほぼ使う必要がありませんから、紙と比較してシート1トンあたり工場における水利用量を約97%削減。世界的に枯渇が危惧されている水資源の保全に貢献できます。また紙と比較して耐久性・耐水性に優れているため、紙の代わりだけではなく、合成紙やラミネート加工された紙の代替としてもご評価いただくケースが増えています。

そしてプラスチック代替と紙代替の両方に共通する長所として、主原料の石灰石が安価かつ豊富に存在する資源である為、供給安定性に優れており価格変動性が少ないので、安定した価格での調達ができることも強みです「環境に良いものなのだから高くても仕方ない」という考え方では、サステナビリティが浸透することは非現実的だと思います。TBMとしては、エコノミーとエコロジーの両立を本気で実現したいと考えています。

Q.資源循環事業としては具体的にどのような取り組みをしていますか?

企業や自治体と連携し、プラスチックの資源循環に数多く取り組んでいます。たとえばセブン&アイ・フードシステムズなどと連携し、使用後のメニューを回収し店舗で使用するトレーにアップサイクルするスキームを構築しています。具体的にはセブン&アイ・フードシステムズの「デニーズ」で使用したLIMEX製メニューを回収し、ドリンクバー用のトレーに再製品化して再びデニーズ店舗で使用しています。Jリーグ・ベガルタ仙台と連携し、スタジアムで使用したLIMEX製カップを回収・再資源化し、宮城県産木材を混ぜ合わせた人工木材製のベンチを作り、「ベガルタ仙台 平和の森運動場」へ寄贈しました。自治体との連携では、神戸市とCirculeXを利用した実証試験をおこないました。市が市民からペットボトルキャップ等のプラスチックごみを集め、これを再生したCirculeXで指定ごみ袋を作り販売する内容で、神戸市の「Urban Innovation KOBE」の一環としての取り組みとなりました。

競合・強み

Q.競合他社はどの企業になるのでしょうか?

いろいろな考え方があると思います。たとえば、LIMEX事業においては、LIMEXはTBMが独自に開発した新素材ですから、素材自体は、国内においてはユニークなポジションを確立していると言えます。一方で、LIMEXをより広く、早く世の中に普及していくには、既存のプラスチックや紙に負けない素材・製品開発が求められます。ただ私たちはサステナビリティ革命を起こすためにオープンイノベーションを重視しているので、これまでプラスチック製品や紙製品を手掛けていた企業を競合とするのではなく、皆さんと協力して事業展開を図っていく場面も増えていくと思います。またLIMEXを一緒に広めていくパートナー企業の開拓も必須ですね。また環境に配慮された素材の文脈では最近でもさまざまな素材が世の中に生まれているのを見ています。それらも競合と見なすことはできるかもしれないですが、弊社としては少し違った見方をしています。むしろもっと多くの環境に配慮された素材が世の中に出てくるべきで、そうすることで「環境に配慮された素材」の認知が企業、消費者の中で広まり、その中でLIMEXやCirculeXを選んでいただければ良いと考えておりますし、選ばれる自信もあります

Q.企業としての強みは何ですか?

主に3点あると考えています。1つ目は、研究開発力です。
LIMEXや再生素材CirculeXの開発においては、樹脂開発、成形、無機材料研究などさまざまな分野の研究者、多様なバックグランドを持つスペシャリストが集い、当社のテクノロジーセンターや自社製造拠点にて、材料設計や製造条件の確立、物性評価などの品質管理を行っていますまた、現在のLIMEXのさらなる環境性能の向上や次世代の素材開発、再生素材の高付加価値化に向けた研究開発を推進しています。これまで、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)による「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」での採択や、知財活用を評価する「知財功労賞経済産業大臣表彰」の受賞、世界の革新的な技術を評価する中国のアワード「100 Best Industrial Innovations for International Technology Transfer」でのTOP20選出など、当社の研究開発について国内外から評価を得てきました。世界中で急速に高まる環境配慮素材へのニーズに応えるために、素材開発の短期化および高度化、製造品質の向上を実現することが不可欠です。今後弊社は、LIMEXや再生素材「CirculeX(サーキュレックス)」など環境に配慮した素材開発の飛躍的な効率化・高度化を目指し、先進技術であるMI(※1)の実用化を推進します。これらの取り組みを通じて、開発・製造に関する技術データ基盤を確立させ、新素材開発に取り組むスタートアップとして、グローバルでの事業拡大に向けた競争力を強化していきたいと考えています。2つ目は、企業としてのブランディング・発信力です。どれだけ優れた技術や製品を持っていても、世の中に認知され必要とされなくては普及することはありません。その点で、私たちは素材メーカーでありながら、全国の数百を超えるパートナーと連携して、ゴミ袋やメニュー表、POP など、LIMEXを使用したさまざまな製品を直接エンドユーザーへ提案する製品販売の営業活動にも取り組んでいますまた、営業活動にも寄与する認知向上のPR活動にも注力しています。テレビ東京『カンブリア宮殿』10周年500回記念番組に登場したほか、『ガイアの夜明け』『ワールドビジネスサテライト』などをはじめとするテレビメディアで数多く取り上げられていますし、「東日本大震災復興賞」「日米イノベーションアワード『イノベーション・ショーケース』」「日本オープンイノベーション大賞・経済産業大臣賞」や「EYアントレプレナー・オブ・ザ・イヤー2019ジャパン」「グッドデザイン・ベスト100」「知財功労賞・経済産業大臣表彰」など多くの賞を受賞しています。また2023年の大きなトピックとしては、ダボス会議で知られる世界経済フォーラムのユニコーン・コミュニティに参加し、9月には山﨑CEOがコミュニティの一員としてアジェンダペーパー(寄稿記事)を執筆しました。過去にはビル・ゲイツなど業界のトッププレイヤーが執筆した名誉あるアジェンダペーパーに名を連ねることができました。他にも経済産業省が運営するインパクトスタートアップ育成支援プログラム「J-Startup Impact」にロールモデルとなることが期待される30社の一つとして選定されました。インパクトスタートアップとは、社会的・環境的課題の解決や新たなビジョンの実現と、持続的な経済成長をともに目指す企業であり、岸田政権が掲げる「新しい資本主義」の考え方を体現する存在として注目されはじめています。こうした発信力や国からの後押しをいただけていることは、他のスタートアップと比べても大きな強みです。3つ目は、志が高く優秀で、スタートアップマインドを持った人材です。事業を拡大させていくなかで、国内は勿論、海外でも現地法人を設立し、国内外でメンバーが増えてきています。ご入社いただく方に共通しているのは、TBMの理念に強く共感していること、新卒/中途に関係なく、自身のスキルや経験を活かして地球規模の挑戦をしたいという高い視座を持っているという点ですだからこそ、弊社に参画いただく方々のバックグラウンドは多種多様で、スタートアップや大手広告代理店、商社、金融、ITなど、業界や年齢を問わずさまざまな人材が集い、組織として1つの目標に向かえていることが事業拡大の重要な推進力となっています。加えて、現在の世の中の流れも追い風になっていると感じます。ESG投資への関心が高まり、SDGsに注目が集まるなかでサステナビリティ領域には今後より一層の投資が見込まれる、つまりビジネスとしても大きなチャンスがある訳です。また、海外の人材のマーケットを見ると所謂優秀な人材がかつては外資系コンサルタントや投資銀行などに向かっていたところから、今ではサステナビリティ領域へと流れ始めていることから、日本においても今後こうした流れが出てくることも予想できます。これらの強みを更に磨きながら、日本発のサステナビリティ革命を必ず実現させたいと考えています。※1 MI(マテリアルズ・インフォマティクス)とは、統計分析などのインフォマティクスの手法により、材料開発を高効率化する取り組みです。これまで多大な時間と費用を要していた材料開発において、統計的な手法を用いて革新的な機能を有する新素材の開発や製造条件の探索を短期化する取り組みとして、世界各国で化学・素材メーカーが成果を上げ始めています。 日本国内では、文部科学省および経済産業省が、2020年7月に閣議決定された「統合イノベーション戦略 2020」において「マテリアル革新力強化戦略」を策定し、内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」や国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト」など、日本政府が主導するMIの普及拡大に向けたさまざまな取り組みがおこなわれています。近年では、国内の大手企業でも機械学習を活用して材料設計や物性値等に関するデータを分析し、新規材料探索を効率的におこなう事例が生まれてきています。

過去・現在・未来

Q.どのような経緯で会社は設立されたのですか?

創業者の山﨑は大阪の岸和田出身で、中学校を卒業して5年間は大工見習をしています。周りには将来に対しての夢や希望を語ってくれる人が少なく、でも自分は諦めたくなかったし、後輩達にも夢を見させてあげたいという思いが芽生えました。「今から大きな会社に入ることは難しいが、自分が大きな会社を作る可能性なら1%は残っているかもしれない」そう思った山﨑は20歳で中古車販売会社を立ち上げました。30歳になって知人に誘われ人生で初めてヨーロッパを訪問。何百年前の建物が残る街並みの中に現代の人々が行き交う姿を見て、その歴史的建造物や街並みが持つ歴史の重さに大きな衝撃を受けたと言います。同時に起業してからの10年を振り返り、この時間軸をあと3回、4回繰り返したら、「おじいちゃん」と言われるような年齢になる。それであれば、起業家として現役のうちに、「わかりやすく世の中に役に立つ」「グローバルに挑戦ができる」「兆を狙える事業をつくる」この3つをやり続けて、何百年と挑戦し続ける会社の土台を残そうと決意し、このヨーロッパの旅を終えたそうです何百年も挑戦し続け、時代の架け橋となるような会社をつくりたい、という思いからTime Bridge Managementの頭文字を取りTBMという社名で会社を設立しました。帰国後は、3つの条件を満たすビジネスの「種」探しを始めたそうです。そして2008年に出会ったのが台湾製のストーンペーパーでした。当時は環境省が「チーム・マイナス6%」や「マイ箸」、「いろはす」など”エコ”というワードが注目を浴び始めた時代。ストーンペーパーはその名の通り石から紙の代わりになる素材で、これは売れるかもしれない、さっそく日本の輸入・販売元になって大手企業などに営業を掛けたのですが、まるで売れない。理由は重くて高くて品質も不安定だったからです。一方で素材のコンセプトやポテンシャルへの評価は高く、山﨑は課題を解決できれば大きな可能性が広がると感じたそうです。台湾のメーカーに何度も渡航して技術改良を求めるが最後まで彼らは品質改善に応じることはありませんでした。それで彼らとの協業を断念し、2010年からストーンペーパーとは異なる技術による石灰石を主原料とする素材の開発に踏み切り、新素材LIMEXが生まれましたその過程でも山﨑は沢山の恩人と言える方々との出会いがあったと聞いていますが、特に大きかったのが2人。1人が現会長の角、元日本製紙の専務取締役を務めた方で一緒に素材開発をスタートしました。今でも一緒に特許や技術に挑戦してくださっています。もう1人が「日本のベンチャーのゴットファーザー」と言われ、弊社の最高顧問も務めてくださった野田一夫先生(故人)です。LIMEXの名付け親でもあります。そこから今に至るまで本当に沢山の波瀾万丈な物語がありますが、詳しくは長くなるので今日は控えます。また弊社のことを知ってもらう過程の中でご縁があった方々にはお話しさせてください。

Q.現在の課題は何でしょうか?

2011年の会社設立から12年ほどで社員が328名(2023年10月時点)まで増えました。しかし私たちが目指すサステナビリティ革命を実現するには、もっと多くの仲間を集め国内外での事業成長を図っていかねばなりませんこれからは経営体制や事業組織の強化とともに優秀な人材をたくさん確保していく必要があります。2021年からは新卒採用を開始しましたが、中途採用者を含めても20代社員の割合はまだ全体の2割ほどです。一般的なスタートアップと比べて社員の年齢層が幅広く、40代、50代の経験豊富な年代層が目立ち、ベテラン層の豊富な経験や知見と若手がもたらす新たなエネルギーが今後の会社の更なる成長には不可欠になっています。その為新卒採用の強化は経営の重要テーマの一つでもあります。これからTBMを支え、将来に渡って受け継がれていくTBMらしいカルチャーを築いていくのは今後の新卒社員たちです。ここでどれだけ優秀で挑戦意欲がある人材を数多く集められるかが課題だと思います。

Q.会社として目指す今後の目標について説明してください。

TBMのミッションである「進みたい未来へ、橋を架ける」の実現に向けて野心的な目標である「TBM Pledge2030」を策定しました。ひとつは2030年までにカーボンネガティブを実現すること。自社のバリューチェーンで排出されるCO2などの温室効果ガス(GHG)よりも多くのGHG削減を目指します。この目標を実現するには自社の省エネルギー化等を進めるとともに、再生可能エネルギーを積極的に採用しTBMからのGHG排出をゼロにすること。そしてサプライヤーや顧客の再生可能エネルギーの利用も促し、バリューチェーン上のGHG排出量を2020年度比で半減させることが必要になります。もうひとつの目標は2030年までに100万トンのLIMEXとプラスチックを50カ国で資源循環させます。100万トンとは2019年度に日本国内でマテリアルリサイクルされたプラスチック量に匹敵する量です、これも野心的な目標です。

Q.今後集まってほしい人材について詳しく教えてください。

「TBM Pledge2030」で掲げたような野心的な目標を、そこから逆算して実現するための常識にとらわれない挑戦をしていこうというのがTBMの発想です。集まってほしいのも、そのような発想ができるスタートアップマインドに溢れた志高い人材です常識にとらわれてばかりで、積極的な挑戦ができないような人材が集まっていても「TBM Pledge2030」の目標は達成できないでしょう。ここ数年、採用に関わってきた立場として個人的に感じているのはスタートアップで挑戦してやろうという意欲を持った人材が、新卒、中途採用に関わらず減っているような気がします。世界に目を向ければ、例えばアメリカや中国、インドなどでは次々にユニコーンと評価される企業が生まれています。経済発展が著しい東南アジア諸国では、国が成長する光景しか見ていない希望や野心に溢れた若者がその国の人口の殆どを占めているわけです。かつて日本がそうだったように。日本にも国内に視野を閉じず、世界へ目を向けてグローバルで活躍しようという気概を持った優秀な人材がいるはずです。そういう熱い想いを持って自分の人生にオーナーシップを持てる人材に集まってほしいと考えていますし、そうなる為に引き続き社員一同力を合わせて努力し続けたいと思います。

島津凱さん(ピープル&カルチャー本部カルチャー・アーキテクト)島津凱さん(ピープル&カルチャー本部カルチャー・アーキテクト)
島津凱さん(ピープル&カルチャー本部カルチャー・アーキテクト)

Kai Shimazu・2018年に人材系企業に新卒入社し法人営業に従事し、新人賞受賞。採用チーム立上げのミッションで2019年7月にTBMに中途入社。中途採用、新卒採用、採用広報、組織開発等を担当。現在はLIMEX事業本部も兼務し、LIMEXの普及活動にも従事。大学ではスペイン語を専攻し、スペインで交換留学やインターンシップの経験も持つ