2020年06月22日(月) 更新
福祉業界の現状と今後|超高齢化社会が進む中での課題と将来性についてピックアップ
目次
福祉業界の実状とイメージのギャップを埋めて就活に挑もう
福祉業界は、日本の高齢社会での需要が高まっており、人材不足が問題となっています。仕事内容には厳しい面もありますが、やりがいのある職業で社会貢献をしたいと考えている就活生からは注目を集めている業界です。しかし、そのような就活生の中にも、仕事がハードであるとか給料が安く離職率が高いのではないかというマイナスなイメージも持っており、不安を感じている方もいるでしょう。
その中には、仕事内容をきちんと把握できていなためにイメ-ジだけで判断している場合もあります。福祉関係の仕事の中にはさまざまな職種や業務があり、勤務状況や仕事内容も異なります。福祉業界を志望する方は、現在の業界の状況や今後の変化などを研究し、内容を把握してから就活に挑んでください。
学生が思う福祉業界・介護のイメージは「ストレス」
■調査方法:twitterを使用して学生にアンケート
■調査実施日:2017/1/20
■投票数:144
福祉業界が携わる介護の仕事について学生にアンケートをとったところ、「ストレスがすごそう」という回答が最も多く、全体の62%となりました。テレビやインターネットの普及により、以前にも増して仕事現場をイメージしやすくなったためか、「大変な仕事だ」というイメージが強いのかもしれません。
福祉業界における主な職種
福祉業界での仕事内容は職種によってかなり違ってきます。高齢者ホ-ムや身体が不自由な方などの世話を現場でしている専門のスタッフは、利用者やその家族のサポートをするということが主な仕事となります。また施設などの事務系のスタッフや施設運営などの企業経営に携わる職員は、利用者とはそれほど直接的に関わることはありません。
福祉業界にも仕事内容の異なる職員が採用されますので、自分の適性があった仕事を選び就活してください。代表的な仕事のスタッフとしては、ホームヘルパーや介護職員、ケアマネジャーなどです。事前に仕事内容についてよく知ることで、理解も深まり働きたいという意欲にもつながります。職種を知ることから福祉業界への研究もしっかりとできるようになりますので、就活も進めやすくなります。
ヘルパー
ヘルパーの仕事としては、利用者である高齢者や身体が不自由な方の生活面をサポートすることが主な仕事内容です。福祉の業界での中心的な部分を担っている職種と言えます。利用者の食事や入浴、排せつなどに関する日常のさまざまな動作の支援や施設の掃除などが主な仕事となります。勤務をする会社や施設などにより業務内容は多少異なりますが、現在は無資格でも施設で働くことは可能です。
国家資格の介護福祉士やホームヘルパーなどの資格を持っていると訪問介護やより技術の高い介護をすることもできます。また以前は女性が主に勤務していましたが、男性のヘルパ-も体力的な面から必要になることもあり、増加しています。
ケアマネジャー
介護支援専門員であるケアマネジャーは、地域包括支援センターや老人福祉施設などで採用されている方たちです。ケアマネジャーとして勤務するためには、介護支援専門員証が必要となります。 仕事内容は、利用者やその家族たちと施設の事業者などの連絡調整や橋渡し的な役目を果たすことです。
福祉サービスを利用者が受けたいと希望してもサービス内容がわかりませんのでそれを伝え、受けられるような支援を行ないます。利用者たちからの希望を聞き出すことや連絡調整なども必要ですので、コミュニケーション能力は必須です。さらに変化するサービス内容を学ぼうとする向上心や情報の中から利用者に合った適切な内容を選びだすための判断力も求められます。
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福祉業界の現状
高齢者の増加に伴い需要が伸びてきている
福祉業界の主な仕事内容は、高齢者や障害を持つ方への介護福祉サービスです。そんな福祉業界の現状として、高齢者数の増加に伴う需要の急増が挙げられます。内閣府が公表した「平成28年度版 高齢社会白書」によると、日本の高齢者人口は2015年の段階で3,392万人と、全人口の約4分の1を超えました。また、介護保険が適用される要介護認定を受けている人は、2013年の段階で569万人に達しています。これは2003年の調査と比べ、約200万人も増加しているのです。このことから、福祉業界に対する需要は今後も伸び続けるとされています。
求人倍率は2.5倍(2017年6月時点)
厚生労働省が毎月実施している「一般職業紹介状況」の平成29年6月度分によると、社会福祉関連産業への求職者数約2万4千人に対し、人数は約6万1千人と福祉業界の売り手市場化が進んでいます。これは、求人倍率で表すと約2.5倍にもなるのです。時期によってはそれ以上の求人が求められていることもあり、福祉業界では人手が慢性的に不足しているといえます。
事業規模は2015年度で約9兆円
高齢者の増加に伴い、需要や求人倍率が伸びている福祉業界ですが、その事業規模は現状どれくらいなのでしょうか。厚生労働省が2015年に発表した「介護保険事業状況報告」によると、2015年度分の福祉業界の費用発生額(売上額)は9兆8,326億円でした。この費用発生額は、高齢者や要介護者の増加に伴って年々数%ずつ伸び続けており、市場規模が10兆円以上になるのも時間の問題です。
福祉業界における課題3つ
課題①人材の確保
福祉業界の課題について見ていきましょう。現在、福祉業界の抱えている一番の課題は、人材の確保です。「少子高齢化」が進む日本では、高齢者の増加に伴い、福祉サービスを担う人材が常に求められています。しかし、上記の求人数でも取り上げたように、需要に対して人手が追い付いていません。
厚生労働省が2015年に公表した「2025年に向けた介護人材にかかる需給推計(確定値)」によると、2025年の福祉業界における人材需要が253万人であるのに対し、人口推移などから予測される福祉業界従事者数は215万人と、約38万人分の人材不足が予測されているのです。需要はあるのに人手が足りない、「超人手不足」の状況が現在よりもさらに悪化すると考えられています。
課題②介護職員の待遇の悪さ
昨今の福祉業界のニーズの高まりから、介護職員が社会から必要とされる職業なのは間違いありません。しかし、ハードな仕事内容であるにもかかわらず待遇は悪く、割にあっているとはいえない状況が続いています。厚生労働省が公表した平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果によると、平成30年度における介護職員の平均給与額は、手当額を含めて30万970円でした。これは、看護職員と比べて約7万円のマイナスで、理学療法士や作業療法士と比べても約4万円マイナスになります。医療福祉に携わる職業の中で、介護職員の給与額の低さがきわめて突出しているといえるでしょう。
福祉業界の今後
人材確保のために外国人の介護福祉士が増えつつある
「大変」「労働負担が大きい」と福祉業界自体が敬遠されている日本の現状において、注目を集めているのが「外国人の介護福祉士」です。日本介護福祉士養成施設協会調査によると、平成26年度は要請施設数406で入学者数10,392人のうち外国人留学者数は15人でした。しかし30年度は、施設数386で入学者数6,856人のうち1,142人は外国人留学者という、5年で大きく外国人留学者数が増えているのです。
労働環境の改善と給与アップが進む
労働環境の改善と給与のアップも、重要なポイントです。福祉業界の待遇の悪さや離職率の高さを重く見た政府は、介護職の待遇改善に向けた動きを進める動きを見せています。2017年度から「介護職員処遇改善加算」として、約1万円の給与上乗せを実施しました。また、2018年度にも介護報酬の改善をおこない、給与への反映を目指しています。しかし、全国47都道府県の知事で構成される全国知事会がなど、より大胆な対策が必要だとの声も少なくありません。
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福祉業界に入るために参考にしたい志望動機例文
福祉業界の仕事として一番にイメ-ジするのは、介護でしょう。しかし福祉関係では、介護だけでなく医療事務や、ケアマネジャーなどの資格取得が必要な職種もあります。志望動機を書く前に必ず何の職種に採用されることを希望しているのかをはっきりとさせ、その福祉の仕事で求められているスキル、資格などを把握した上で志望動機を書くことが重要です。何よりも福祉の仕事に就こうと考えた動機が重要です。学校での介護の体験や家族との経験などから志望したなどの理由を具体的な事例を交えながら伝えましょう。そのようにできると説得力があります
例文①
例文①
- 福祉の仕事に興味を持ったのは、高校生の時に学校の近くの老人ホ-ムで介護の実習の経験をしたことからです。そこでお年寄りの方の食事の世話やさまざまな支援をした際に、孫にしてもらっているようだと喜んでもらえたことが心に残っています。また施設の方々の利用者や家族の方への接し方や仕事に対する意識の高さなどを知ることができ感動しました。職種としてもヘルパ-や介護福祉士の資格があることがわかりましたのでそれらの資格について理解を深めたいと考えています。そしてヘルパ-の資格を取り、専門的な知識をお年寄りのために活用したいと考えていますので、ぜひ採用をよろしくお願いいたします。
今までの経験などから福祉関係の仕事を目指している強い動機を感じることができ、雇用先の方にも説得力のある文章となっています。また目指す職種についても明確に述べられているので、採用後の対応についても相手側が想定しやすくなります。さらに人と接することや連絡調整などが必要となる職業ですので、コミュニケーション能力が求められます。志望動機には、人と接することが好きであるとかコミュニケーションをとることが得意であるという点を強調するのもポイントです。
例文②
例文②
- 大学時代の先輩が、介護付きの有料老人ホームでケアマネジャーをしています。その経験を聞く機会があり、ぜひコミュニケ-ション能力などを活かして仕事をしたいと考えるようになりました。学生時代には自分のサ-クルのリーダーとしてメンバーをまとめていました。その能力を活かせるではないかと考えています。またケアプランの作成などの計画作りにも興味を持っており、ゼミで活動計画を緻密に計画した経験も活かしたいと思っています。利用者やその家族の方との信頼関係を築き、介護スタッフなどとも連携をとって、老人のより良い生活の向上のために働きたいと願っています。
実体験をしている先輩から学んだことを、身の今後の仕事に取り組む姿勢に繋げ、具体的に活かそうとしている点が意欲的です。雇用される施設のために自分のコミュニケ-ション能力やケアプランの作成に必要な判断力などを活用して貢献したいという意欲を感じることができる内容となっています。採用先の面接官からは、さまざまな現場のスタッフと協力して利用者にベストなサポートができる人材ではないかという高評価につながるでしょう。
福祉業界は高齢化社会の進行で需要が伸びるが待遇の改善がポイント
日本の福祉業界は、高齢者数の増加に伴って年々業界規模が拡大し続けています。しかし、16時間勤務による労働や他の医療福祉職と比べて低い給料など、労働環境の悪化による人手不足が深刻化している状況です。このまま人手不足の状況が続き、福祉事業自体がパンクする可能性を回避させるために、外国人の介護福祉士を育成したり、給与額の上昇や労働環境改善などに取り組むことが求められています。
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