2019年11月26日(火) 更新

残業代込みの月給は違法なのか|給与の表示方法とその仕組みを知って納得した企業選びをしよう

就活生は残業代を含む給料事情について把握している?

キャリアパーク会員の就活生を対象に「応募企業の初任給が残業代込みかどうか把握していますか?」というアンケートを実施しました。まずは回答の一部をご覧ください。

就活生の回答

  • 把握していない
  • はい
  • している
  • 把握はしているがあまり気にしていない
  • してません

■調査方法:キャリアパーク会員へのダイレクトメール
■調査日時:2017年3月7日
■調査元:ポート株式会社
■調査対象者:キャリアパーク会員の就活生
■質問内容:「応募企業の初任給が残業代込みかどうか把握していますか?」

志望している企業の初任給に、残業代が含まれていることを把握している就活生は約半々だということが分かりました。
中には「把握はしているがあまり気にしていない」という就活生もいますが、やはり「把握していない」と答える人も半数近くいるのが現状のようです。

企業を選ぶ際に気になる月給

月給とは基本給に毎月固定で支払われる諸手当を足したもの

就活生が応募企業を決める際に、決め手となるポイントに月給の提示額があります。月給とは、支払われる金額がひと月単位で定められた給料のことで、基本給に毎月固定で支払われる諸手当を足したものです。この諸手当には役職手当や住宅手当などがあり、残業手当などの月によって金額が変動するものや、臨時で発生する手当等は含まれません。
実際に現金で支払われたり口座に振り込まれる金額は手取りと呼ばれ、月給から社会保険料や所得税・住民税や年金などを引いたものになります。

提示額が多いと固定残業代が入っていることも

企業選択の際に、貰える月給がいくらかなのかが気になるところです。貰える月給は多いほうがよいでしょう。しかし、提示されている月給の金額だけを見ていてはいけません。それだけ多くの給料をもらえると思いがちですが、そうでない場合もあるのです。
上記の月給(基本給+月固定の諸手当)であれば、提示されている金額にその月に発生する残業代等の諸手当がプラスされて支給されるのですが、提示額が他の企業と比べ少なく見える場合があります。そして、月給の提示額が多い企業の中には、基本給プラス固定残業代で提示されている場合があるのです。

月給にプラスされる固定残業代は想定して提示される

月給の提示額が基本給プラス固定残業代で提示されるのはどのようなケースなのでしょうか。それは、企業があらかじめ一定時間の残業を想定して、基本給にその残業代を固定で記載し、残業時間を計算せずとも固定分の残業代が支払われるというケースです。一般的には「みなし残業」とも言われています。

企業が基本給に残業代を含める訳

企業が「みなし残業」を採用するのはなぜなのでしょうか。企業側からすると、「みなし残業」として決められた時間内で労働者の残業が済めば、残業代の算出をする必要がないというメリットがあります。
反対に労働者側からみれば、残業時間が少なくても一定の残業代がもらえることになります。仕事を時間内にこなせた人より、こなせなかった人の給料が多くなる不公平さが解消されるのです。

月給に残業代を含めるのは違法なのか

違法ではない

「月給に残業代を含めるのは違法ではないのか」という疑問が浮かんでくる人もいるでしょう。しかし、月給に残業代を含めて支給すること自体は違法ではありません。重要なのは、含めて支給する場合でも、基本給と残業代が明確になっているかどうかです。
ただ、月給に残業代を含めているだけでは、残業代を支払っているとはいえません。所定労働時間と残業時間の賃金を明確にしなければならないのです。

残業代込みであることを明記する必要がある

「みなし残業」が違法としないためには、求人時に給与が残業代込みの金額であることは明記する必要があります。そして、給与の内訳を所定労働時間に対する賃金と、残業時間(時間外労働)に対する賃金を明確に区分して支給しなければなりません。例えば「月給25万円(20時間分の固定残業代2万円を含む)」というような形で表示する必要があるのです。また、これが口約束とならないように、企業側は必ず就業規則や雇用契約書に定めます。

残業時間が少なくても固定残業代は支払われる

「みなし残業」制の場合、残業代が事前に給与に含まれて支給される仕組みはわかりました。では、残業した場合、残業代は出ないのでしょうか。結論からいうと、「みなし残業」の場合であっても残業代は出ます。
実際の残業時間が固定残業時間より少ない場合、固定残業代が支払われます。固定残業代として定められた金額が全額支払われるのです。

残業時間が多い場合は超過分の残業代まで支払う

みなし残業時間よりも実労働時間が多い場合、残業代はどうなるのでしょうか。その場合、企業側は固定残業代の他に、みなし残業時間を超えた時間分の残業代を別途支払う義務があります。例えば、固定残業時間が10時間で、実際の残業時間が15時間であった場合、10時間分の固定残業代に加えて、残りの5時間分の残業代が別途算出され支給されるのです。

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残業代込みで月給を支払う企業を選ぶ際の注意点

残業した分よりも少ない残業代しか支払われない場合がある

みなし残業制度を導入している企業は、月給に残業代を含めて表示している場合が多いです。しかし、この制度は正しく運用されているケースは少なく、誤った運用方法で使われているケースが目立ちます。「みなし残業」を悪用し、固定残業以上の残業をしても残業代を払わない企業があるのです。
このような場合は、自分の想像していた額よりも少なくなるか、想像以上の激務に追われてしまうかもしれません。そのため、月給に残業代を含めている企業に応募する際には注意しましょう。

日常的に残業するケースが多い

日常的に残業するケースが多いと、「残業をしないと通常は終わらないような業務量」であれば、残業代も支払われるでしょう。その場合、月給に残業代も含めて表示するケースが多いです。また、そういった企業は日常的に残業をしているケースが多い傾向にあります。月給の高さのみに食いつくのは、辞めたほうがいいかもしれません。

ブラックな企業が多い傾向になるので企業研究は怠らない

残業代込みで月給を表示している企業は、いわゆるブラックな企業が多い傾向にあります。もちろん、すべての企業がそうだとはいいません。しかし、ひとつの指標になるのは確かでしょう。仮に月給のいいところに就職をする際は、事前に残業代込みなのかどうか確認することをおすすめします。
例えば、希望する企業のインターンシップに参加してみて、実際どのような仕事現場なのかを体験するのもよいでしょう。可能であればOB訪問で質問してみるのもひとつの手です。面接時には聞きにくいことでも、OB訪問などでは聞きやすいということもあるので、実際はどうなのか確かめてみるとよいでしょう。

残業代込みの月給は違法ではないが提示金額はしっかり確認して企業を選ぼう

残業代込みの月給は、一定時間の残業を想定し、その残業代をあらかじめ月給に含めたものです。「みなし残業」は違法ではなく、企業側はみなし残業時間を超えた分、別途残業代を支払う義務があるので、残業代は出るのです。しかし、この「みなし残業」の制度は正しく運用されているケースが少なく、採用している企業には日常的に残業が多かったり、ブラックな企業が多い傾向があります。このような企業を希望する際は、就職してから後悔しないように、企業研究をしっかりおこないましょう。

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