2020年07月01日(水) 更新

【IR情報の見方】企業研究をする上で知っておきたい情報源

IR情報とは?

Investor Relationsの略

IRとは、InvestorRelationsの略であり、日本語では投資家向け広報活動と訳せます。企業がIR情報を掲載するのは、投資家を集めるためです。

自社に資金を投資してくれる投資家を多く集めることで、それだけ余裕を持った企業経営のための資金運用が出来るようになることを企業経営者は期待しています。

そのため、企業は、投資額を少しでも増やすための手段を講じます。IR情報を掲載するのも、自社の経営状況の数字を詳細にすることで、投資に見合った企業であることを投資家に示すためです。

そしてこのIR情報は、今ではインターネットを利用することで、最新の情報が企業ごとのホームページに掲載されています。いつでも誰でも閲覧できる情報であるため、就活生でも見ることが出来る情報です。

企業の財務・経営状況などを正確に知るための情報

IR情報とは、簡単にいえば投資家向けに作成された「企業の財務・経営状況を正確に分かりやすく伝えるための情報」です。

このIR情報は、投資家のためだけでなく、就活生が企業研究をする際にも非常に役に立ちます。

業界に詳しくなくても理解できるように記載されている

投資家は、安定した基盤を持っているか、今後の成長が見込める業界や企業に対して投資を行います。そのため、あらゆる分野に精通している存在です。

しかし、全ての分野を専門にしている訳ではないため、業界の情報や知識を完全に理解しているという訳でもありません。

そのため、企業は、IR情報を専門にしていない投資家でも理解出来るような記載の仕方をします。言い換えれば、業界の専門知識を持っていない就活生でも理解できるように書かれているのが、IR情報です。

IR情報として掲載されている数字や言葉自体は、業界問わず共通するものなので、IRに関する知識を押さえることで、業界研究や企業研究の大きな助けになります。

業界を絞り切れない時には、IR情報を読み解き、成長分野の業界に絞るという選択肢を持つことが出来ます。

IR資料の見方を詳しく確認しよう

IR資料とは株主や投資家に向けて作られる、その企業の状況を説明するための資料です。

「IR資料の企業研究」を使って企業研究をしている就活生は少ないため、その志望する企業の強みや課題、今後の戦略まで見渡せるこの方法を身につければまわりの就活生をつけることができます。無料でダウンロードし、企業研究に役立てましょう。

IR情報からは客観的な数字が得られる

就活生向けのホームページに掲載されている情報や、説明会で話しをされる情報は、学生向けに用意された情報です。多くの就活生にいい印象を持ってもらうために、良くも悪くも加工された情報と言えます。

しかし、IR情報では、企業経営の中で起きたことを、そのまま掲載している場合が多いです。投資家は、企業経営の数字を読み解くプロなので、わざわざ企業が読み手が理解しやすくなるような加工を行う必要がありません。

そのため、IR情報の数字には、客観性があります。この客観性は、就活生向けに掲載されている情報以上の価値があります。IR情報に掲載されている客観的な数字を自分なりに解釈し、面接などでぶつけることが出来れば、採用担当者から好印象を得られる可能性が高まります。

企業研究には客観的な視点が必要

就活を攻略するためには企業研究が必須であり、上手に進めるためにはIR情報の見方を知っておくことが大切です。

企業研究の方法としてはインターンや説明会に参加したり、企業のホームページをチェックするなどの方法がありますが、企業研究には客観的な視点が必要です。

企業情報を得るために企業のホームページなどを閲覧している人は多いですが、これは企業の広報媒体なので、企業にとって都合の悪い情報はないのが基本になります。

しかしIR情報には企業側の視点を排した客観的数字が記載されているため、より企業の実態を見抜きやすいです。客観的な視点を持って企業研究を進めることで企業への理解もさらに深まりますので、IR情報を活用して就活の成功を目指しましょう。

客観的な数字は企業の実態を見抜きやすい

世の中に完璧な人間など存在しません。それと同じように、企業にも完璧な企業は存在しません。どのような企業でも、何らかの問題や課題を抱えています。

これ自体は当たり前のことですが、人間も企業も弱い部分は、なるべく隠したいと考えます。特に、就活生は、企業経営については分からないことも多いと考えられているため、説明会ではその企業が持ついい所だけしか話してもらえないこともあります。

そこで、IR情報の客観的な数字を活用することで、企業の実態を見抜きましょう。IRとして掲載される情報は、包み隠さずに企業の経営状況が掲載されています。

そのため、企業が置かれている実態が詳らかになります。実際に入社してみたら、説明会での話と違ったというトラブルに巻き込まれないためにも、就活生が客観的な視点を持って、企業研究を行うしかありません。

IR情報に使用される用語

就職活動を通して、企業のことを理解するためにも、企業の経営状況を知ることは避けては通れません。

さらに、就活の段階から企業経営について学んでおくことで、働き始めた後にも多くの場面で役立てることが出来ます。IR情報に使用されている用語から押さえて、企業経営を理解しましょう。

売上高

企業は、何らかの商品やサービスを顧客に提供しています。そして、商品やサービスを提供する対価として代金を受け取っています。この代金が企業にとっての売上であり、売上の総額のことを売上高と表現します。

企業は、売上高を基にして企業経営を行うことが基本なので、売上高を確認しないことには、経営状況の判断も出来ません。会計の基本となる損益計算書でも、売上高からあらゆる企業の資金を計算して、利益を算出します。

注意として、売上と利益という言葉は明確に別の言葉であると覚えておきましょう。会計の知識が全くないと売上と利益を同一と勘違いしてしまい、IR情報を見ても理解し辛くなってしまいます。

IR情報を見るための第一歩として、売上と利益が持つ意味が違うことを念頭に置くことから始めてみましょう。

営業収益

企業が収益を得る方法は、いくつかあります。その中でも、商品やサービスを売るという営業活動によって収益を得ることを営業収益と呼びます。

この営業収益が企業運営を支える根幹になっているのが一般的なので、IR情報を確認する時にも収益の分野では特に確認しましょう。もし、営業収益とその他の収益である営業外収益や特別利益に年度による動きが見られる時は、企業運営に何らかの動きがあったと推測しましょう。

順調な企業運営を行うことが出来ている企業であれば、営業収益の数字は伸び続けるはずです。しかし、営業収益が数年通してマイナスになり、営業外収益や特別収益の数字が増えている場合は、注意が必要です。そういった数字の兆候がある企業は、企業経営に問題が生じている可能性があります。

営業利益

企業は、サービスや商品を売った代金をそのまま懐に納めている訳ではありません。扱っているサービスや商品を売るためのコストが必ず発生しています。

学生でもアルバイトなどで賃金を貰っていれば、これは分かりやすいはずです。お店の売上から自分の給料が払われていることをイメージしてみることで、営業利益への理解は出来るはずです。

このイメージを企業経営の用語で説明すると、売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引いた利益のことを営業利益と表現します。利益もいくつかに分類される中で、この営業利益の数字がいいほど評価が高い会社と見ることが出来ます。

IR情報に関しては、学生にとってイメージが難しい数字です。しかし、身近なことに置き換えることで理解が深まることもあるので、試してみてください。

純利益

企業は、売上高という数字から掛かった費用を差し引いて利益とします。しかし、複雑なことにこれがそのまま利益になるわけではありません。

企業も、人間と同じように税金のような社会的コストを支払う必要があります。この税金を支払った後の金額が、企業にとっての最終的な利益に該当し、これを純利益と呼びます。当期純利益は、当期に得られる最終的な利益のことです。企業は、四半期ごとの期間をサイクルにしているので、当期純利益という用語も押さえておきましょう。

いくつかの用語を説明したように、当期純利益だけを見れば、企業の収益性などを始めとした経営情報の数字を読み取れる訳ではありません。IR情報として羅列した数字の関連性を見出すことで、企業の情報性を読み解けるようになりましょう。

IR情報「有価証券報告書」の見方は?

有価証券報告書とは企業の現状を外部へ開示する資料

有価証券報告書は、企業の現状を外部へ開示する資料のことであり、上場している株式会社などには提出義務が課せられています。 報告書に記載されている内容は様々であり、「事業の内容」「研究開発活動」「財政状態」「設備の概要」「経理の状況」など、平均150ページ程度で作られています。すべてに目を通すのは難しいので、ポイント絞ってみることをおすすめします。

企業の課題と解決策に注目する

有価証券報告書を読み解く際は、特に企業の「課題」と「解決策」に注目しましょう。会社が今後どういった経営戦略で成長していくのかを知ることができます。

また、課題と解決策は、面接対策にも役立ちますし、自分の考えを述べやすでしょう。面接で、課題に対する新たな解決策を提案しても良いですし、述べられている解決策に対する自分の考えを伝えても良いでしょう。

それらは、結局は自分が企業に貢献できることに繋がりますので、採用担当者に印象を与えやすいです。

IR情報「企業の利益」の見方は?

売上高の総額は直近2~3年の数字の大きさを見る

まず、売上高の総額とは、ある期間に企業が商品やサービスを販売した総額です。実際に企業が手にしたお金ではありません。

この項目の見方としては、数字は大きければ大きいほど良いです。直近2〜3年で、どのように推移しているのか見ておきましょう。増加傾向であればほぼ問題ありませんが、下落傾向であれば経営が上手くいっていない可能性があります。

ですので、その理由をしっかり押さえておく必要があります。理由は上記で紹介した、「有価証券報告書」にも記載されているので、見ておきましょう。

当期純利益の高さで赤字か黒字かが分かる

次に注目すべきなのは、当期純利益です。当期純利益とは、総売上高から売上原価や製作コスト、税金などのすべてが引かれて、最終的に手元に残る金額です。簡単に言えば、企業が最終的に稼いだお金です。

当期純利益がプラスであれば黒字、マイナスであれば赤字であると読み取れるのです。赤字続きになっている企業は、事業撤退やリストラなどがおこなわれる可能性があるでしょう。企業研究でしっかりと確認しておいてください。

当期純利益だけでは企業の実態はわからない

志望する企業を決める際には企業の売上をチェックすることが大切ですが、当期純利益だけでは企業の実態はわかりません。

その事業年度だけの特殊要因である特別利益や特別損失を計上したのが当期純利益なので、これだけで判断するのは時期早尚だと言えます。その年度のみ高い利益を獲得している、あるいは損失を出しているという可能性もありますので、この数値だけで判断してしまうと企業選びに失敗する可能性が高いです。

純利益を見る場合は、当期の利益だけを見るのではなく、前期以前から遡って確認することが大切です。過去に遡って確認することで、これまでの利益や損失が明らかになりますし、純利益の推移なども知ることができます。当期だけを見て判断しないようにしましょう。

営業利益と経常利益もチェックする

IR情報で企業の利益を確認する場合は、売上高や純利益だけではなく、営業利益と経常利益もチェックしておくことが大切です。

営業利益は粗利ともいい「売上−原価」で表わされるものです。本業でどれだけ儲けているかをみることができますので、営業利益が高い=本業での売上が多いことを表します。

経常利益は、本業を含めた事業全体から会社が経常的に得た利益のことで、これが真の企業実態を表します。経常利益は企業全体の利益と損失を計上し、算出する利益であり、企業が上げた利益を見るのであれば経常利益を見ることが大切です。

本業でいかに利益を上げても、その他の事業で損失があればマイナスになりますし、反対に本業が悪く、その他の事業でカバーするケースもあります。企業実体を正しく知るためにも、経常利益に注目しましょう。

IR情報「セグメント」の見方

セグメントには事業別データが見れる

IR情報は、投資家向けの情報であることは何度も確認してきました。投資家は、IR情報などを投資先を決定するための1つの参考にします。そのため、詳細な数字を持って、企業を判断します。

そして、詳細な判断を行うためには、大雑把な利益や売上の数字では不十分だと考えられています。多くの企業は、事業を多角化する傾向にあり、事業別データとしてセグメントごとに情報を開示しています。

企業が、現在力を入れている事業はどういった内容なのか、将来的に発展させたい事業はどういった内容なのか、セグメント別の数字を読み解くことで企業の運営方針の答えを推測することが出来ます。就職活動を行っている学生にとっても、企業が注力している事業を知っておくことは大切です。

なぜなら、企業の事業ごとの動きを知っておくことで、携わる仕事内容も違ってくるためです。将来的にやりたいと思っている仕事があるならば、事業ごとのデータに注意し、本当にその仕事に携われる企業の選考に参加しましょう。

前期との差で好不調がわかる

企業研究のために、セグメント別の情報を活用する場合、IR情報の数字の見方も広がります。その中で、特に注目して確認しておきたい数字は、前期との数字の差を比較した時の好不調です。

企業を取り巻く周囲の環境はいつでも変化が起きる可能性があります。そのため、前期の数字と最新の情報を見比べるだけでも好不調の差が顕著の場合があります。数字の変化が大きいほど、企業内での事業に変化があることは明白です。

数字の変化に嘘偽りは通用しません。好調な数字の伸びを見せている時も、数字が不調を物語っていても、変化の理由を探りましょう。数字の変化を基にして、考える力を養っておくことは、選考の時に役立ちます。訓練の意味も含めて、数字を見比べる能力を磨きましょう。

質問に答えるだけで志望動機を完成させよう

志望動機を作成する際、文章を考えるのが苦手な就活生も多いと思われます。「伝えたいことはたくさんあるけど、考えをまとめてわかりやすく伝えるのが難しい」という就活生は、「志望動機ジェネレーター」を活用しましょう。

志望動機ジェネレーターを使えば、用意された質問に答えるだけで理想的な流れの志望動機が完成します。面接での志望動機に関する質問にも対策が可能です。無料でダウンロードできるので、効率的に志望動機を完成させましょう。

IR情報で他にチェックすべき項目は?

中期経営方針(計画)

企業は、IR情報として掲載している数字を基にして、将来の中期的な経営方針を打ち出します。この中期経営方針は、3年~5年程度の期間を目安に作成されることが多いです。就活生にとって、大切な情報源になること間違いなしなので、欠かさずにチェックしておきましょう。

就活生にとって、中期経営方針が大切な理由は、企業が掲げる経営理念とも連動するような内容であるためです。説明会などにおいて、企業の経営理念を耳にする機会はあるでしょう。

しかし、漠然とした表現も多く、理解がしにくい内容もあるはずです。しかし、経営理念の理解なくして、入社を叶えるのも難しいです。このような時に、中期経営方針などを参考にすることで、具体的な経営方針から企業の経営理念の理解を進めるという方法もあります。

事業等のリスク

どのような企業が行うどのような事業においても、失敗の可能性はあります。今の段階で、どれほど儲かっている事業でも、事業を撤退せざるを得ないような危機的状況を想定しておくのが、企業としてのあるべき姿です。

特に、投資家向けのIR情報では、こういったリスクを開示しておくことで、投資家への信用に繋げています。

就活生もこのような企業が抱えるリスクには、気を付けておく必要があります。面接では、企業が持っているいい面ばかりに目を向けた上で、話すことをしがちです。

そのため、企業が持つマイナス面に目を向ける余裕を持てない就活生が多いです。いい面があれば、悪い面の可能性があることも理解し、どちらの可能性にも目を向けておきましょう。そうすることによって、他の就活生と一味違う着眼点を持つことが出来るはずです。

社債

企業のお金に関する理解のためには、社債の動向も押さえておく必要があります。事業でお金を稼ぐことや、株式の存在と合わせて、社債の存在にも目を配りましょう。

社債とは、資金獲得のために企業が行う借金の意味が強く、必ず金利が発生します。この金利の有無が、株式との違いであるということを理解しておきましょう。企業が社債を活用するのは、株式と違い、持ち主が経営に対する発言権がないというメリットからです。

株式には、返済の義務がない中で、社債は必ず返す必要があります。これが意味するところは、社債を発行している企業は、資金の返済が行える目途を持っているということです。就活生が社債に目を向けることで、企業の資金繰りを知ることが出来ます。

IR情報の見方を把握し企業研究に役立てよう

就活攻略のためには企業研究は欠かせないものであり、どこまで徹底して研究できたかによって合否も大きく変わってきます。

企業研究の方法はさまざまありますが、客観的な視点で企業研究をおこなうことが大切ですので、IR情報や新聞記事データベースの利用がおすすめです。

IR情報や新聞記事データベースで、企業研究をより深くおこなうことで他の就活生に差をつけることができますし、客観的な視点から情報を得ることができます。

企業のホームページなどでは、企業に有利になるように良く書かれていることも多いため、100%信用できるとは限りません。公平性のある情報を得ることが大切ですので、IR情報や新聞記事など企業の主観が入っていない情報で企業研究を進めていきましょう。

イマ就活生に大人気のサービス5選!!

国内最大級のキャリア情報プラットフォーム、キャリアパークの公式アプリが登場!

就活生必見のお役立ち情報が満載!

関連コラム

このコラムに近いイベント

おすすめの就活イベント

<WEB>【最短2週間で内定】卒業後の就活を内定まで徹底サポート!就活支援サービス<マイナビジョブ20’sアドバンス>

    【関東エリアの方はこちら】※就活相談日時につきましては、この後ご案内するURLよりご予約ください。

現在、内定辞退枠のご推薦が可能です

    日時はご自由にお選びいただけます(オンライン開催)

【24卒】人気企業の特別推薦ルートへご招待!キャリアパーク就職エージェント

    日時はご自由にお選びいただけます(オンライン開催)