2020年06月29日(月) 更新

【就活】身元保証人がいない場合の方法|条件・資格・責任とは

身元保証人とは入社時に会社に対して身元を保証してくれる人

身元保証人とは、入社時に会社に対して自分の身元を保証してくれる人を指します。身元保証人から、「入社する〇〇さんは、貴社に損害を与えるような人ではありません」と、書面に残る形で、正式な証明をおこなてもらうのです。

会社にとっては、『入社させる』のは今まで面識のなかった人間を社内にいれ、運営に関わる機密情報に近づけることでもあります。そのために、新しく社内に入れた人間が損害を出す可能性を少しでも減らすために、身元保証を求めるのです。

両親が身元保証人になるケースが多い

身元保証人はいくつかの責任を伴いますので、入社する人の両親がなる場合がほとんどです。会社側からは、「ご両親に書いてもらってください」と説明することが多くあります。

しかし、身元保証人の条件・資格は会社によって基準が違うため、場合によっては両親が身元保証人になれないケースもあるため注意が必要です。

身元保証人の必要・不要は会社による

身元保証は、会社との雇用契約の一種であり、身元保証の契約を入社時に結ぶかどうかは、会社側に任されています。つまり、身元保証をしなければいけない、と決めるのは、会社です。だからこそ、身元保証契約の内容は、会社によって違っているのです。

企業側は損害に備えて契約を結ぶ

企業側は、身元保証契約を結ぶことにより、『素性のわかるきちんとした人が入社するかどうか』の確認をしていますが、ただ素性を確認するだけでなく、入社後その人が損害を起こしてしまう危険にも備えて、この契約を結ぶことをもちかけます。入社後、企業に対して損害を与えた場合、身元保証人が損害賠償責任を当事者と共に担保します。

もし当の社員が損賠賠償できないときや、する前にいなくなってしまったときなども、この身元保証があれば、会社としては身元保証人に賠償をしてもらえばよいので、安心してその人を採用できます。

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両親を身元保証人にできない場合がある

損害賠償責任が伴うため、多くの場合は入社する人の両親が身元保証人になるでしょう。しかし中には、両親も身元保証人になれない厳密な条件を定める場合があります。

例えば、『入社する本人とは別の世帯であること』の場合は、両親と同居していて家計を分けていない人の場合、両親は同世帯となるため、身元保証人にはできません。また、『収入があること』が条件の場合は、無職・専業主婦の両親は身元保証人になれません。

よくある身元保証人の条件・資格とNG例

  • 本人とは別の世帯であること→配偶者・同居している両親、兄弟姉妹等はNG
  • 一定の収入があること→無職・専業主婦等の人はNG
  • 二親等以内の親族を除くこと→配偶者・両親・祖父母・兄弟姉妹は2親等以内なのでNG

親戚にお願いすることも可能

身元保証人の条件・資格の指定がなければ、配偶者でも身元保証人になれるのです。ただ、同じ世帯で収入も分かち合っている配偶者を身元保証人にすると、もしもの時に家計がひとまとめであるため、損害賠償をカバーしてもらえない可能性があることは知っておいてください。

また、身元保証人の条件・資格が厳しい会社に入る場合、条件に合う親族に身元保証人をお願いする事もあるでしょう。先ほどの身元保証人の条件・資格の中にあった、『二親等以内の親族を除くこと』については、三親等の親族は条件内のため、叔父叔母(伯父伯母)や甥・姪にお願いすることは可能です。

親族の親等について

  • 一親等・・・本人の父母・配偶者の父母・子ども・配偶者の子・養子・養女
  • 二親等・・・本人の祖父母・配偶者の祖父母・本人の兄弟姉妹・本人の兄弟姉妹の配偶者・配偶者の兄弟姉妹・孫・配偶者の孫

身元保証人は友人や知人でもOK

身元保証人は、友人や知人でも良いとされる場合が多く、指定されている条件・資格を満たしていれば、本人との続柄を問わないのです。したがって、もし他に頼める人がいないのであれば、友人や知人に身元保証人をお願いをしてみましょう。

信頼関係のある人に依頼してみる

ただ、親族以外の方に身元保証人をお願いする場合、『保証人』という言葉のイメージで、借金の『連帯保証人』を想像して断られる、という可能性があります。

その場合、身元保証人について正しい知識を説明し、認識を改めてもらいましょう。身元保証人も損害賠償責任はありますが、会社が社員に対して損害賠償を請求する例は多くありません。身元保証については『身元保証法』で、保証内容に制限が課せられています。始めから金銭的なトラブルのリスクが高い、借金の連帯保証人とは異なりますので、しっかり説明して依頼しましょう。

身元保証人が負担すべき責任は法律で制限されている

借金の連帯保証人などは、金銭に関する責任をおわされるリスクとその額などが最初からわかっていますが、身元保証人については、『将来、社員が会社に対しておこなうかもしれない損害の賠償』となるので、どんな責任を負わされるかわかりません。

では、どのような内容を保証するのでしょうか。そのため『身元保証法』があり、身元保証人が負担すべき責任の範囲が法律で限定されているのです。

①期間の制限

具体的には、まず期間の制限があります。身元保証の契約をする時には、期間を定めるのが望ましい、とされていて、身元保証人が責任を負うのは、その期間の間だけがよいといわれているのです。その期間は最長でも5年が限度です。

もし、企業がそのことを知らずに、5年以上の身元保証契約をしてきたとしても、『身元保証法』の第2条で、5年以上前に結んだ保証契約は無効にできるのです。
また、もしこの保証の期間を定めていなかった場合は、有効期間は自動的に3年間だった、と扱われることになっています。

②解除権

『身元保証法』の第3条により、会社は、以下のようなことが起きた場合、身元保証人にそれを通知しなければいけないと決まっています。

・身元を保証されている社員に、業務上不適任または不誠実なところがあり、身元保証人の責任を問うおそれがあると思われるとき
・身元を保証されている社員の任務または任地を変更して、そのために身元保証人の責任が重くなった、または身元保証人が監督できないようになったとき

このような通知を受けた場合、身元保証人は身元保証契約を解除することができるのです。

③裁判時の情状酌量

身元保証に関して裁判などになった場合は、様々な事情(会社側の監督の過失や、身元保証人がそれを引き受けるに至った事情、社員の入社後の地位等の変化)を考慮して、身元保証人の責任の範囲を小さくできる、と『身元保証法』第5条で言及されています。
このように、身元保証人を守る制限は複数ありますので、もし友人、知人に身元保証人をお願いしたいと思った時は、この法律について説明するとよいでしょう。

身元保証人がいないあ場合の対処法

会社に入社するときは、必ず確保しておきたい身元保証人ですが、なってくれる人が思いつかなかった場合はどうなるのでしょうか。身内に身元保証人になれる人がいない場合は、友人や知人に依頼する方法があります。しかし、やはり友人や知人にも頼むことができないケースがあるかもしれません。その場合、どうしたらよいのでしょうか。

『保証人代行会社』のサービスの利用

『保証人代行会社』では、あなたの経歴を調査したうえで、一件数万円前後で、身元保証人を引き受けるというサービスを行っています。そう聞くと、怪しいサービスのように感じますが、就職時以外、例えば住宅を借りる時などに『保証会社』を利用する話を聞いたことはありませんか?賃貸物件のオーナーによっては、一般人である身元保証人よりも、企業である保証会社のほうが安心できるという考えで、入居者に『保証会社』の利用を義務付けるようなこともあります。

就職時の身元保証についても同じことです。保証人代行会社では、もし会社で身元保証による損害賠償が起きた時、他の利用者が身元保証のために支払ったお金をもとに、損害を賠償してくれます。

身元保証人の保証書は会社によってさまざま

就業時の身元保証人制度は、会社によって捉え方も書式もまちまちで、これが正解というものがありません。会社の出してきた身元保証人の条件が厳しく、あれこれ苦労して身元保証人になってくれる人を見つけたのに、あまり法的効力のない書類を書いて終わったり、逆に身元保証人の条件はあまり厳しくなかったのに、とても法的効力の高い書類を求められたりすることもあります。

多くの会社は、経営者や労務部がかつて決めたことを守っているだけですので、「どうしてこういうやり方になってるんだろう?」とあまり深く考え込まず、指示された通りに対応しましょう。

入社トラブルにならないようしっかり提出する

中には、印鑑証明の添付を求められ、そういった書類を提出して大丈夫か、悪用されないかと不安になる人もいるかもしれません。重要な雇用契約書類ですので、入社トラブルになることを避けたいのであれば、きちんと提出しましょう。

どうしても不安が残る場合は、印鑑証明については、『この証明書は〇月〇日に〇〇株式会社へ就業するため提出した身元保証書にのみ使用する』など、メモを書いて、それ以外の時に悪用されるのを防ぐことができます。

身元保証人が自分でサイン・押印する

「使う時は滅多にないだろうし、わからないだろう」と、就業する本人が勝手に両親や他人の名前を書き、印を押してしまわないようにしましょう。大体の場合、筆跡でバレてしまいます。

「正式な契約書類なのに入社前から態度が悪い」と、自身で社内の心証を下げている可能性がありますし、厳しい企業であれば追及と最悪の場合内定取り消しもあるかもしれません。書類の偽造は、絶対にやめましょう。

身内の場合は印鑑を分ける

身元保証人が両親や親族の場合、名字が同じなので、一つの印鑑を流用する人もまれにいますが、会社によっては同じ形の印鑑は受け付けない場合もあります。書類再提出を避けたい場合は、あらかじめ違う形の印を探しておきましょう。

自分用の(認印でない)印鑑を持っていない人は、社会人になると何かと必要になりますので、これを機に早めに親と違うものを作っておいた方がいいかもしれません。

身元保証人は世帯が別の身内に頼むケースが多い

企業は、入社する人の素性を確認するため、またもし将来会社へ損害を起こしたとき賠償責任を求めるため、身元保証人を求める場合があります。身元保証人を求められた場合は、会社の定めた条件・資格を良く確認し、頼める人を探しましょう。身内に頼めない場合は、身元保証人の責任や法律を良く理解した上で、友人や知人などにも頼んでみてください。それでも頼める人が見つからなかった場合は、保証人代行会社に依頼をしましょう。

入社する社員自身が身元保証人の代筆をすることは、入社前から心証を下げてしまいます。また、常識的に考えて書類の偽造ですので、やめましょう。

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