2020年06月30日(火) 更新
内定を辞退したときに損害賠償金を請求される可能性
目次
内定辞退でなぜ企業は損害賠償や違約金を請求するのか
内定辞退が原因で、損害賠償や違約金をペナルティとして請求された経験の人がいるようですが、よっぽどのことがないと、請求してくる企業は少ないと言えます。
それでは、なぜ損害賠償や違約金を請求されたのかを見ていきましょう。
内定辞退をギリギリに行なったため
考えられるのが、「ギリギリの内定辞退」です。
早めに内定辞退を伝えれば企業は採用人数を増やすなどの対策ができます。ギリギリというのは、3月の後半です。
一般的に、それまで入社を決めていたのに、3月の後半に内定辞退をすると契約解除まで2週間はかかってしまいます。
3月20日に内定辞退をして、4月1日入社の他の会社と契約が重なるという最悪な事態も考えられますので、内定辞退は早急に行いましょう。
ただし、これがペナルティとして損害賠償請求をする必要とは、繋がるわけではありません。
内定辞退に損害賠償はアリなのか?
ごく稀に、内定辞退を行う際に、怒って、ペナルティとして損害賠償を請求するぞとすごむ企業が存在します。
内定辞退者に期待していたからこその裏返しになるのですが、例えば10万払えと言われて払う必要があるかというと、通常の場合はありません。
そもそも損害賠償を請求する場合、内定辞退をした結果、「このような因果関係があって損害賠償が発生した」と証明する必要があるからです。
損害賠償金は支払う必要がない
更に、その因果関係も、「内定辞退したから、業務が回らなくなって10万円の損害が出た」という程度の因果関係では、損害賠償はとても認められません。
なお、厳密に言うと、根拠は無くても請求自体はできますから、正確に言うと違うのですが、少なくとも一般的な意味では損害賠償は支払う必要はありません。
内定辞退に違約金はどうなのか?
ですが、内定辞退のペナルティは損害賠償だけではありません。約束を破ったんだから支払えという違約金というペナルティも存在します。
とはいえ、違約金についても現実に内定辞退者から取り立てようと思うと、企業にとって簡単ではありません。違約金を取り立てる為には、まず「約束を破った時は○○円支払え」という約束を取り交わす必要があります。
更に相手がそのペナルティを「記憶に無い」などと言い出した時のために書面で交わす必要があります。
約束が無いのに違約金だと請求されても支払わなくて良い
このような、約束が無いにも関わらず、後付で違約金だと請求されても当然支払う必要性は皆無です。人材を求めるあまり、このようなペナルティを付ける企業だから人が集まらないのですが、あまり長期間関わって本当にペナルティを受けてしまってはたまりませんから、早々と縁を切ってしまう事が大切です。
書面を交わした損害賠償や違約金はどうなるのか?
では、面接を受ける前に書面で、「もし内定辞退したら○○円支払います」という違約金の支払いに同意した書面を交わした場合はどうでしょうか。
どのような契約であっても公序良俗や社会通念上不当なものでない限りは民法により契約自由となります。
書面で約束を交わしても支払う必要はない
その為、もし面接をする前にペナルティである違約金の支払いを約束する条件を交わした場合、通常は支払う義務が発生してしまうのです。
ところが、法律上内定というものは解除権付労働契約と解されている点が特徴です。少し難しい契約の名前になりますが、お互い事情によっては解除する事を約束した契約となっているのです。
また、近年の労働契約の力関係を考えても事前に違約金を約束する書面を交わしたからといって労働契約の性質が変わってしまうと解釈する事は難しいでしょうから、結果として違約金支払いの必要はないと言えます。
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内定辞退のペナルティとして損害賠償や違約金を支払う必要は一切ない
内定辞退のペナルティとして損害賠償や違約金を支払う必要性に関して説明してきました。
結論として内定辞退によるペナルティ(損害賠償・違約金)を請求されても支払う必要性はありません。内定を辞退したからペナルティを課すという企業側がナンセンスです。
ギリギリの内定辞退は、ペナルティとして損害賠償や違約金を請求される場合がありますが、この場合でも支払う必要はありません。内定辞退は正当な権利行使です。就職面接は人生の大事ですから、過度にペナルティを恐れず安心して就職先を選定する事が大切です。
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