2016年11月29日(火) 更新

教育と指導を混同しないために知っておきたい違い

「教育」とは:相手の能力を伸ばすこと

教育は、その対象者に知識を与えながらその人の能力を伸ばすことです。社員教育、防災教育などという教育があります。教育は指導と違い、指導も含めつつ社員がこれから、会社のために力を発揮してくれる、あるいは独り立ちしていく上で必要な能力を吸収していってくれることを期待して行うものです。教育の中でその人は自ら考え行動するようになっていきます。

教育で自発的成長を促すことができる

社員教育の場合の目的は、社員に「自発的成長」というものを期待して行うものです。その中では、いろいろな会社の仕組みやシステム、ルールなどを説明します。最近ではワークショップやロールプレイングなどの手法を取り入れながら、社員がこれから経験するであろう場面を実際に体験させ、自ら考えさせることも実践されています。こういった点に教育のよさが見えます。

「指導」とは:相手を教え導くこと

教育に対して指導は、教え導くことです。教え導くとは、「これはこうするんだよ」「こんなときはこうする」というように一方的に与えるものなのです。ですから、指導ばかりを続けると、その内容については理解するものの、そこから先はどうするのかということがわからないということになり、いわゆる「指示待ち」のような状況に陥ってしまいます。ここは、教育と指導の大きな違いと言えます。

指導には上司の意図的な部分がある

指導は、上司が意図的に社員の成長を促すものといえます。極端な場合は、上司の思うように動いてくれる部下を育てることになります。これは、教育との大きな違いです。部下は上司に言われなければ行動できない「指示待ち」状態になり、そうなってしまうと成長は期待できません。ただ、社員がしっかりしていれば、上司の指導を受けて自分なりに成長していく場合はあります。

教育には政策的・戦略的な要素がある

民間企業の教育に携わる部門をみると、指導とは違い、企業内の意志としては上位にあり、政策的、戦略的な要素をもっています。また、教育は「自ら考えて行動できるようにする」という自発的な成長を期待するものですので、すぐには結果として出ないものです。時間が必要で、時には指導も取り入れながら進めていきますので、中長期的なものといえるのも指導との違いでしょう。

指導は上司の戦術的な要素がある

指導は教育と違い企業内では、現場などの下位に位置づけられるのが一般的です。指導には、上司の戦術的な要素があり、意図的に成長を促します。つまり指導する立場の上司等に、教えるという明確な意図がありますので、時間はかかりません。よって、教育と違い、短期的なものを含んでいるものなのです。上司が部下の成長を考えず、自分の戦術として利用するものと言えるのが教育との違いになるでしょう。

教育と指導の絶対的な違いは「伸ばす」か「導くか」という人の育て方にある

教育と指導を混同させ、指導中心にしていると、人(社員)は育ちにくいことがお分かりいただけたでしょうか。その違いも明らかだと思います。教育という器の広いものでこそ人は育ちます。ただ、教育は待たなければその成果は見えてきません。教育と違い、即効性を求めすぎる上司がする指導なのです。人を「育てる」ためにもその違いを明確に持って臨んでください。

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