2017年07月10日(月) 更新

損害賠償を請求される?誓約書を提出したあとの入社辞退

入社誓約書とは

入社誓約書とは、企業と就活生との間で取り交わされる入社を誓約すると証明する書類です。企業の入社試験では採用する人材に対して内定が出されますが、誓約書は内定が出された事に対して、就活生が入社する意思を示し証明する書類になります。内定は企業側から一方的に示される採用の意志ですが、誓約書は就活生から示される入社の意思に当たります。

入社誓約書は片務契約

誓約書は契約書の一種に当たりますが、当事者双方の合意のもとで作成されるのではなく、一方の意思のみを示して作成される特殊な契約書です。このように一方の当事者にだけ拘束力が発生する契約を「片務契約」といい、入社誓約書の場合は就活生にのみ拘束力が発生し、採用する企業側には拘束力は発生しません。

誓約書の効力について

誓約書は契約書の一種ですが、当事者双方の合意が必要となる一般的な契約書とは性質が異なります。就活生にのみ一方的な拘束力が発生する書類なので、その内容は一般常識に照らして問題の無いもののみに限られています。入社の意思を確認する意味での「誓約書提出後は他の会社への就職活動はしない」という条項は一般常識に照らし合わせて問題が無いため効力が認められますが、非常識な内容の入社誓約書は、たとえ署名捺印があったとしても認められません。

入社誓約書の損害賠償は無制限に認められるわけではない

誓約書に損害賠償の条項が盛り込まれている場合がありますが、記載があるからといって無制限に損害賠償が認められるわけではありません。労働基準法などの法律に違反する損害賠償は当然認められませんし、会社に重大な損害を与えた場合は損害賠償を請求する、と書かれていたとしても会社側の要求通りの金額がそのまま損害賠償として認められるわけではありません。あくまでも一般常識に照らして判断が下されます

入社誓約書提出後の採用辞退

一般的には入社誓約書提出の時点で入社の意思が確認されたことになりますから、採用を辞退するのはマナー違反です。ただし、法律的にはまだ雇用契約が成立していないため、会社側が就活生の採用辞退を拒否するのは困難です。誓約書はあくまでも入社の意思確認のための書類ですから、提出後に採用を辞退するのは可能です。

採用辞退に対する損害賠償

誓約書提出後に採用を辞退した場合は損害賠償を請求する、という条項を誓約書に盛り込んでいるケースがありますが、具体的な損害が発生していない以上、会社側が損害賠償を就活生に請求することはできません。中には就活生に対する脅し文句として利用している企業もありますが、社会常識に照らし合わせて、正しいと認められる内容ではありません。採用辞退を理由に損害賠償を請求すると脅されたとしても、支払う義務はありませんのできっぱりと拒否してください。

入社誓約書に書かれていても損害賠償を支払う可能性は低いが提出は慎重に!

入社誓約書は入社の意思を示す重要な書類ですが、非常識な損害賠償請求の裏付けにはなりません。嫌がらせのような損害賠償請求はきっぱり断りましょう。法的な性質はともかくとして、入社誓約書は社会通念として入社の意思を最終確認するための書類として扱われています。軽々しく取り消すことはできませんから、よく考えてから提出してください。

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