2021年10月20日(水) 更新
海外の就活事情と日本との違いについて【新卒の扱いと就職に対する考え方】
この記事の監修者
キャリアアドバイザー
赤塩 勇太大学を卒業後、新卒で採用コンサルティング会社に入社。キャリアアドバイザーとして、1,000名以上の就活生に対してキャリアセミナー、面談を実施。その後、採用コンサルタントとしてクライアントの採用課題の解決に従事。法人・求職者双方の目線から、適切なアドバイスを提供している。
海外で就活したいと考える就活生は32%
国内勤務がまだまだ人気
キャリアパークでは、twitterを使用して学生にアンケートを実施しました。
■調査方法:twitterを使用して学生にアンケート
■調査実施日:2017/1/20
■投票数:155
海外で就職を希望するかどうかアンケートをとったところ、「思う!」と答えた学生が全体のおよそ3割という結果となりました。グローバル化により海外を目指す人が増えてきてはいるものの、まだ国内勤務が根強い人気であることに変わりはないようです。
海外勤務に興味を持つ就活生もいる
国内勤務がまだまだ根強く人気である中で、海外勤務に興味を持つ就活生がいることも事実です。これは、世界的なグローバル化の流れを察知し、海外での事業に興味を持つ就活生が増えていることを推測することが出来ます。
日本は日本語という言語的な壁を持っており、海外へ人が流れにくいという特徴を持っています。また、第二次世界大戦後の長い間、経済的に安定していたため、特別な理由がない限り、海外勤務を希望する必要性がありませんでした。しかし、GDPがマイナスに向かっているなど、日本内での経済的な停滞は否めません。経済面に加えて、インターネットの発達によるグローバル化の流れが合わさったことで、海外に目を向ける就活生も増えるという背景があります。
海外の就活事情
海外の就活事情は、日本とは異なります。いざ、海外の企業で働くことを希望しようとしても、海外の就活事情を知らないことには、満足に就活を行うことすら出来ません。
海外勤務するためにも、海外の企業が、就活生にどういったことを期待しているのかを確認しておきましょう。日本の企業に就職する気分で、海外で就活を行っても間違いなく就職できません。海外で就活するかどうかは置いておいても、調べることは誰にでも出来ます。今後のことを考えた上で、海外の就活事情を知ることから始めましょう。
即戦力を欲している
海外での就職活動の事情は、新卒採用や中途採用を問いません。とにかく即戦力を欲しています。日本では、新卒採用と中途採用で明確に採用の枠が違います。新卒採用であれば、ある程度じっくり時間を掛けて、育成するための準備を企業はしています。しかし、海外では、こういったじっくり時間をかけて育成する枠を用意していません。そのため、必要な枠が出来た時に、必要な能力を持っている人材を確保しようとします。能力を持っている人材は、新卒採用であろうと中途採用であろうと考慮していません。とにかく即戦力として、活躍できるかどうかに焦点があります。
海外の企業での勤務を希望する場合は、自分が即戦力として通用する能力を持ち合わせているかどうかを確認しましょう。企業が必要とする枠で、活躍できる能力さえ持っていれば、海外で就職する道が開けるでしょう。
研修制度が整っている海外企業は少ない
即戦力を欲している海外企業なので、当然ながら研修制度が整っていることも少ないです。海外企業では、働くために必要な情報を共有した後に、すぐに仕事を始めることを求められるでしょう。
そもそも、研修制度は、企業にとってリスクを伴う制度です。研究終了後も長い時間、自社のために働いてくれる可能性の高い人材を採用している日本だからこそ成り立つ制度であると言えます。必要な枠を、必要に応じて埋めればいいと考える海外企業にとって、わざわざリスクを負って研修を行う必要がありません。
1つ注意しなければいけないのは、この考え方は、あくまで一般論であるということです。研究制度が整っている海外企業も存在します。反対に、日本でも満足な研修制度のない企業もあります。自分の興味のある分野ごとに傾向を調べておき、研修制度が整っている海外企業を志望するのも1つの手段です。
大学で何を学び仕事ですぐ使えるかを企業は見ている
即戦力の人材を求めている海外企業が、面接などを始めとした選考で見ていることは、大学で何を学び仕事ですぐに使えるかです。日本の就活では、大学で学んだことと就職先の仕事内容が一致しないことは珍しいことではありません。日本では就職後に、改めて仕事のことを学び始めればいいという考え方があるためです。しかし、海外では大学で学んだことをそのまま活かせるような職業に就くのが一般的です。そのため、就職活動においても、大学で何を専攻していたのかは、重要な意味を持ちます。海外で働く際には、専攻していた学問を活かせるような仕事の募集を探す必要があることを覚えておきましょう。
仮に、大学で学んだことや研究をしてきたことを話せないようだと、海外の就活では、門前払いになってしまう可能性すらあります。日本の就職活動では、大学で学んだことや成績を聞かれないこともあるので、大きな違いの1つです。
ヨーロッパの考え方:職種を変えずに同じ業務を続ける
ヨーロッパでの就職活動の現状ですが、専攻を活かせる「職種」を選ぶ傾向にあるようです。企業に入社した後は、職種を変えずに同じ業務を続けるのがヨーロッパの文化になります。それは転職しても同じで、前職と同じ職種を選び働くのが一般的です。ヨーロッパには、日本では当たり前となっている新卒一括採用という概念がありません。それにより、大学卒業に内定先が決まっていないという就職浪人が存在しないのです。その点、日本の就活とは随分と違いがあるでしょう。
そういった背景から、新卒がメリットにならないヨーロッパ、特にイタリア、ギリシア、フランスあたりでは、卒業後のスキルのない若者に対して就職が非常に厳しくなっています。自国で就職ができなかった若者が、将来性を採用の判断基準としているイギリスなどの他国に流れるケースが多いようです。
アメリカの考え方:経験とスキルが重視される
アメリカの場合は「経験とスキル」が重要視されます。アメリカでは、就活を始めるタイミングで履歴書の作り方を覚えるのではありません。基本的には、学生時代にインターンシップに参加することで履歴書の作り方を習得します。アメリカでは、仕事をした経験がない学生が就職先の内定を得るのは難しいのです。
そのために、休暇になるとインターンシップをして履歴書のネタを仕入れます。またインターンシップの際、会社と学生の双方がお互いを気に入れば、そのまま就職というケースもよく見かけられる傾向がアメリカの就活です。
企業側としては、インターンシップで実際に業務を体験してもらうことで即戦力のある学生を採用できます。学生側としては、インターネットや本で集める情報とは違い、実際に業務や社員と触れ合うことで企業選択によい影響をもたらすのです。
また、インターンシップは卒業した後からでも申し込みが出来るというのも大きな特徴の一つでしょう。
あなたが受けない方がいい職業を確認してください
就活では、自分が適性のある職業を選ぶことが大切です。向いていない職業に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまいます。
そんな時は、「適職診断」を活用して、志望する職業と自分の相性をチェックしてみましょう。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、ぴったりの職業を診断できます。
適職診断で強み・弱みを理解し、自分がどんな職業に適性があるのか診断してみましょう。
海外では基本インターンシップを重視する
日本と違い、海外企業では研修制度も少なく、学生の時に学んでいたことが重視されます。しかし、これだけでは、本当に能力がある人材であるのか分からないのも事実です。そのため、海外企業では、インターンシップを重視する傾向にあります。
もちろん、インターンシップも海外企業では実務ありきです。日本のインターンシップと言えば、短期間で開催される企業紹介の意味合いが強いです。しかし、海外では、ある程度の期間を設けて、実際に業務の一端を任せるようなインターンシップを行い、本採用までの試用期間のような意味合いを持っています。
企業は業務をとして即戦力になりそうな就活生を探せる
インターンシップで学生を募集することは、企業にとって大きなメリットがあります。それは、業務を通して、即戦力になりそうな就活生を探すことが出来るということです。元々、インターンシップに参加する学生は、大学で学んだことを実践で活かすことを目的として、企業のインターンに参加します。そのため、インターンに参加している学生に、仕事を1から教えるような手間もありません。さらに、業務を通して十分な結果を残すことが出来ていれば、卒業後に本採用といった形で、即戦力の人材をスカウト出来ます。
本来であれば、企業にとって採用活動は時間も手間も掛かってしまいます。さらに、適切なタイミングで適切な人材を獲得することは、簡単なことではありません。しかし、インターンという形を取ることで、企業にとって時間や手間を抑えた採用活動が可能になっているのです。
就活生は実務体験で企業選びの材料を得られる
企業にとって、インターンで学生を集めることはメリットがあります。もちろん、インターンは、就活生にとってもメリットがあるからこそ成り立っている制度です。就活生にとってのメリットは、インターンを通した実務体験で、企業選びの材料を得られることになります。
当たり前のことですが、就活生はインターンに参加した企業へ必ず就職している訳ではありません。大学で学んでいることが、仕事として通用するのかを試すために、インターンシップに参加する目的が大きい理由を占めています。そのため、インターンでの実務経験を通じて、企業選ぶの材料としています。自分の能力は、どのような企業で活かすことが出来るのかの判断材料にしています。そして、インターンで実績を作ることで、本命の企業に売り込むための準備の意味も持っています。
あなたが受けない方がいい職業をチェックしよう
就活では、自分が適性のある業界を選ぶことが大切です。向いていない業界に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまいます。
そんな時は、「適職診断」を活用して、志望する業界と自分の相性をチェックしてみましょう。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、ぴったりの業界を診断できます。
適職診断で強み・弱みを理解し、自分がどんな業界に適性があるのか診断してみましょう。
海外と日本の就活事情の違いは?
新卒一括採用は日本の就活特有
日本では、大学を3月に卒業して4月から新入社員としてみんな一斉に働く「新卒一括採用」が一般的です。
しかしアメリカでは、就活に対しての考え方も、日本の就活とは違います。新卒一括採用という考え方は無く、通年採用になっています。新卒一括採用は、日本独自の就活といえます。
ヨーロッパなどの海外では新卒の概念はない
日本の就活とは違い、アメリカ・ヨーロッパなどの海外では日本のような新卒の概念はありません。その為に、日本と就職への考え方がまるっきり違う考え方です。
海外の考え方は、同じ職種で勤務し続けるのが向こうの文化で、転職しても前職と同じ職種に就くのが基本ですし、一般的な考え方です。
アメリカでは卒業後すぐに即戦力として働ける準備をする
アメリカの大学生の勉強量は多く、とても日本の就活生ほど時間をとれないようです。大学一番最後の学期か卒業後に自分のタイミングで学生が職を探し始めるのが一般的で、アメリカでは基本的に就活シーズンというのはなく、年中通して会社の職には応募できます。
また、企業が実施する長期インターンシップに参加する学生が多いです。大学生だけでなく、高校生から夏休みなどを利用して積極的に参加します。インターンシップに参加する学生は、学校で学んだことを活かして実際に企業で働くという経験を積みます。日本に比べて、入社後に即戦力として働けるスキルを携えておこうと考える学生が多いです。
雇用制度が海外と日本で大きく異なる
雇用制度そのものが大きく異なるのも、海外と日本の企業における違いです。日本の企業では、年功序列制度が根強く残っていますが、海外では成果主義の企業がほとんどです。成果主義とは、その人が持つ能力や、仕事で残した成果に応じた評価が変動する仕組みのことです。日本企業の年功序列では、成果と合わせて勤めてきた年数に応じて役職などが決まるのが一般的なので、個人の能力だけを評価しようとする成果主義は、日本人にとって馴染み辛い制度と言えます。
しかし、この成果主義は、日本から海外の企業へ就職を考える上では、理想の制度と捉えることが出来ます。その人の努力次第で、立場をいかように出来るのは、それだけチャンスも多いと考えることが出来ます。また、日本でも成果主義を導入しようとする企業も増えています。
日本と海外の違いを把握した上で就活を進めよう
日本の就活事情だけではなく、世界の就職活動の違いなども把握しておくと、新しい就活の形が見えてくるかもしれません。自身の就活において視野を広く持つ姿勢は非常に重要です。柔軟な考え方で、就活を乗り切りましょう。
キャリアアドバイザー|赤塩 勇太
海外勤務の意思がなくても情報を抑えておくことが大切
海外の就活事情について知っておくことは、海外勤務の意志がない場合においても重要です。理由は、実際に海外の事例を知ったうえで日本はどうなのかというマクロな視点を持つことで、面接におけるケース問題などに役立てることができるためです。面接における受け答えにおいて就活の「周辺情報」を抑えておくことで、他の就活生に差をつけられるケースもあるでしょう。
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