2017年12月27日(水) 更新

AIの進化と税理士法人の今後の展望

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「AI」をはじめとするコンピュータの技術革新が急速に進む中で、様々な仕事がロボットなどの機械に代替されようとしている。2014年にオックスフォード大学のオズボーン准教授が発表した、『雇用の未来—コンピュータ化によって仕事は失われるのか』の論文の中では、米国労働省が定めた702の職業のうち47%が10~20年後には機械によって代替される可能性が高いとされている。そんな中、検索エンジンで「税理士 AI」等で検索すると、「税理士の仕事が無くなる」というような記事が多数ヒットする。本当に税理士の仕事はなくなってしまうのか?今後、税理士法人を取り巻く環境はどのように推移するのか?BIG4の一角であるEY税理士法人で働くビジネスマン2人に、当初、税理士法人を就職先として選択した理由と、今後の税理士法人の展望についてインタビューを実施した。

【インタビューイープロフィール】
風間様
所属:EY税理士法人 TTTチーム マネージャー
経歴:大学卒業⇒某税理士法人⇒EY税理士法人
※TTT:タックステクノロジーアンドトランスフォーメーション

山口様
所属:EY税理士法人 TTTチーム マネージャー 税理士
経歴:大学卒業⇒EY税理士法人⇒日系の事業会社⇒コンサルティングファーム⇒EY税理士法人

就職先は急成長できる環境に飛び込め

――風間さんは当初、別の税理士法人に勤めていらっしゃいましたが、なぜEYに転職されたのか教えてください。
風間:はい。その話をする前に、私という人間について少しお話させてください。私は、昔から変わり者で、小学生時代、「朝食に何を食べているのか」という学内アンケート調査で、大体、皆さんごはんとみそ汁とか、パンとサラダとか。そんな回答だったんですね。そこで、学年全体の調査が終わった時に気付いたんです。タラコパスタとみそ汁の朝食を食べているのは私だけということに(笑)

――朝からタラコパスタ(笑)
風間:はい(笑)。それから、私って他人と違うんだなとなんとなく気づきました。高校時代、周りの人たちは良い大学に入る為にどうすれば良いかということを考えると思いますが、私はどの大学に入るかということよりも、将来どんなスキルが必要かということを考えていました。その時考えていたのが、英語とIT、会計・税務、ファイナンス・経済の知識がコアになると考え、まず手始めに英語をマスターする為、アメリカの短大に進学をすることに決めました。アメリカの短大を卒業した後は、奨学金ももらえるし、単位も移行できるということで、日本に分校があるテンプル大学という大学に通っていました。

そんな折、某税理士法人がアルバイトを募集していたので、そのアルバイトを始めたんですが、いつのまにか、私がITに強いということがバレて、アルバイトであるにも関わらず、Eラーニングのシステムを作らされたり、アルバイトのタイムシートのシステムを作らされたりということをやっていました。就職についてはそのまま税理士法人からオファーを受け、採用されたのですが、EYに転職するきっかけとなったのは、当時、某税理士法人で一緒に働いていたメンバーから「一緒にEYへ転職しよう」というお話があったんですね。私はそのメンバーに説得され、某税理士法人を辞め、EYへ転職したのですが、私がEYへ入社したタイミングで、EYへ誘ってくれたメンバーに連絡を取ってみると「私やっぱりEYへ行かない」って言われて、結果転職したのは私だけで、今現在に至っています(笑)

――なかなか出会えないような強烈なエピソードをお持ちですね(笑)
ところで、風間さんは税務という業界に興味をお持ちになったのはどのような理由からでしょうか?
風間:実は税務ってものすごく広いフィールドで、人が動くとき、物が動くとき、お金が動くときは必ず何かしら課税関連の処理が動くんですよ。ただ、この部分はテクノロジー化が進んでいないフィールドだったことから、テクノロジーと税務、この二つを合わせた領域はものすごい速さで発達していくというのが想像つきました。

元々、私がアメリカ留学中にメンターから言われたのが、「就職先は急成長できる環境に飛び込め」ということでした。給与や待遇とか色々あるけれども、自分がいかに若いうちに成長できるかによって将来的に稼げる金額は変わってくることから、成長できる環境が一番大事であると。税務とITを考えたときにこれから大きく変わっていく業界であり、急成長できる環境であると確信しました。

――実際に入社後は急成長ができたと感じましたか?
風間:はい。EY入社直後はすぐにインドへ視察に行かされて、インドの人たちがどういう仕事をしていて、実際の能力はどうなのか等々、調べてこいと。元々、インドのアウトソーシングは使っていたんですが、確立されたプロセスがなかった為、活用頻度は多くありませんでした。そのプロセスを確立したことで、その年インドに出した仕事の量が230%増えたんですよ。1年目でここまで裁量を持たせてくれる会社はほとんどないと思います。

その後は、アウトソーシングのプロジェクトをたくさん軌道に乗せたので、今度はIT化のプロジェクトを担当しました。従来は、課税申告書1枚の作成に、数時間かかっていたのですが、それを、1枚あたり従来の1/100の時間で終わらせる仕組みづくりに成功しました。それは既存の業務に改善の余地があって、自分の能力が最大限生かせるからそういうことができたんだと思いますね。

――100分の1に業務短縮することができたというのは、風間さんのお力もそうですが、まだまだIT化が成されていない業界であるということですね。その他、急成長できたということ以外にEY税理士法人の魅力があれば教えていただけますか。
風間:人ですね。入社当時、私は「スタッフ」レベルであるのに関わらず、目上の方が私のところにきて、「君の知恵を貸して欲しい」と、お願いされることもありました。そういう意味では非常にフラットな組織なんですよ。そもそも入社の決め手になったのが、某税理士法人のチームメンバーからの説得もあったんですが、面接のときに面接官だった役職者の方から組織を変えて欲しいと言われたことですね。私みたいな若造に組織を変えてくれと面接の場で頼む人なんていないと思うんですよね。この人がここまで言うのであれば、僕が入った時に色々できるかなと思ったんですよ。

専門性×コンサルティング=プロフェッショナルファーム

――人および組織の面で裁量が大きく、フラットな組織であることがEYの魅力の一つということですね。一方の山口さんは、なぜ新卒でEYにご入社されたのでしょうか?
山口:私は元々独立したいという思いがあり、税理士を目指していました。ただ最初のキャリアは、チャンスがあればトップファームで働いてみてもいいんじゃないかなと思っていました。というのも、「若いうちに大きな組織で経験を積むことは重要だ」と考えていたことと、後々、小さな組織から大きな組織に行くよりも、大きな組織から小さな組織の方が移りやすいということから、EYへの入社を決めました。

――なるほど。その後、EYを辞められたわけですが、その理由は何だったのでしょうか?
山口:当時は自分の成長に限界を感じていたからです。税務の基本的な業務は数年で一通りできるようになりますが、そこからさらに成長しようと考えた時に、1度外にでて、逆の立場で働いてみようと。クライアントの立場で働くことで見えてくることがあるんじゃないかと思い、事業会社の経理部門へ転職しました。

――その後、事業会社、コンサルティングファームとご経験されていますが、EY税理士法人と比べ、どのような違いがありましたか?
山口:事業会社で働いてみてわかったことは、同じような会計・税務というスキルセットが必要な仕事でも、立場が変われば全く違う仕事になるということです。また、働き方の感覚が全然違うので、慣れるまでなかなか大変でした。日々動いている事業があって、それをサポートする事業会社の管理部門では、ルーティンワークは重要です。一方、EYのようなファームはルーティンワークがなく、仕事が常にあることが保証されていないので、ここぞというときの踏ん張りや瞬発力が重要になります。結果的には、事業会社内部の目線で幅広く経験できたことがその後のキャリアに活きたという感覚です。

一方、コンサルティングファームは、戦略や経営にアプローチができるという華やかなイメージとは違う厳しい側面がありました。コンサルを経験して役立ったことは、考え方の部分です。“論理的に考える”と言うのは簡単ですが仕事の現場で実践していくのはなかなか難しいものです。コンサルに入る前まではできなかったような発想を持てたり、整理することができるようになったというのが大きかったと思います。

――山口様はコンサルタントとして実績を残されていたと思いますが、なぜ再度EYへ戻られたのでしょうか?
山口:お誘いを受けたことがきっかけです。コンサルタントの仕事にも馴染んできていたので、税理士業界に戻ろうという考えはありませんでした。しかし、久しぶりにEYの人に会ってみると、私が以前在籍していたときとはかなり変わっていました。以前のEYは、例えていうなら大学病院のように、税務の各分野の専門家が揃っているファームでした。もちろん今も専門性が高いことは変わりませんが、今はそれに加えて提案力も必要とされるようになりました。昔は、クライアントからの質問に答える、アドバイスするということが多かったんですけど、今はクライアントにこちらから提案するようなファームになっています。クライアントのニーズを捉えて提案していくことができている。それってコンサルがやっていることとニアリーな感じになってきていると思います。

――なるほど。EYを離れている間にEYで働く人も考え方も大きく変化していたということですね。そんなEYに戻ってこられてから今現在はどんな業務を担当していらっしゃるのでしょうか?
山口:サービス開発と提案活動をメインで行っています。サービス開発については、クライアントのニーズを捉える為にマーケットをリサーチし、どういうサービスだったらうまくいくだろうかということを考えています。提案活動の内容も変わってきていて、これまでは、「税務申告書のアウトソースはうちが請け負います」という営業スタイルでした。わかり易いサービスだったが故に、むしろクライアントから声を掛けて頂くケースが多かったですが、今はクライアントの課題を一緒に解決していくような提案が増えています。

――営業スタイルがプロダクト型から、提案型へと徐々に変わっているということですね。そんなEYですが、今後EYはどのように変わっていき、どのような価値を提供していくことになっていくとお考えでしょうか?
山口:アウトソーシング業務を単純に請け負いますという業務は段々厳しくなってくると思います。価格競争も激しくなっていくと見込まれるので、もっと利益を生み出せる体質にしないといけないと考えています。ただし、アウトソーシング自体は減っていくというよりは増える方向になると考えています。クライアントはノンコア業務の切りだしという考え方を持ち始めているので、ルーティーンあるいは、それに準ずる業務はなるべくアウトソースしようという動きは増えてくると思うんですよね。逆にそこはチャンスでもあると思っています。

人間とロボットでは求められる業務が異なる

――一方、AIの登場・進化によって、税理士の仕事がなくなると言われていますが、どのように税務が変わっていくと考えていらっしゃいますか?
風間:将来的には税理士が現在行っているルーティーン業務の多くは無くなるとは思います。ただし、それがこれから5年~10年であるかというとそれはノーだと思います。例えば、一昔前は工場が大量に作られて、多くの業務が自動化されました。一方、これまで人間が行ってきた仕事が自動化されたことによって、新たな仕事が生まれたと思います。例えば、検査をする人だったり、自動化の機械を作る人だったり。税務においていうと、いくらAIやロボットを作ったとしても、それをチェックする人が必要ですし、AIにも教える人が必要です。税理士の仕事も残るけれども種別が変わっていくのがここから5年~10年だと思っています。

――消える仕事もあれば、増える仕事もあるということですね。一方、AIの登場による今後の可能性、展望についてはどのように考えていらっしゃいますか?
風間:AIを導入することにより、非効率な作業が無くなることは素晴らしいと思っています。例えば、申告時期になると仕事量が2倍、3倍になる為、その部分が効率化されることは非常に良いことだと思います。ただ、それによって何が起こるかというと、より考える時間が増えると思いますね。考える時間が増えると、クライアントの問題をより親身になって考えてあげられると思うんですよ。より提案型の業務寄りになり、クライアントの仕事をどう変えてあげられるのかというコア業務になっていくのだと思います。AIの登場で、徐々にそういった形に変わっていくと思っていますし、むしろそういう風になるべきだと思っています。

――オペレーティブな仕事はロボットやAIに任せて、クリエイティビティを発揮する業務は人間が行う流れに変わっていくということですね。今後、そういった業務に変わっていくことで、貴社で働く上で求められるスキルは変わってくると思いますが、どのような学生と一緒に働きたいとお考えでしょうか?
風間:自分で問題を提起することができて、それに対して、自分で解決策を考えて、実行に移せる人ですね。ITの知識も大事なんですけど、それが重要なのではなくて、問題を見つけてそれを解決していく力だと思うんですね。例え、ITの知識があったとしても、実行できなかったら何も意味がないんですよね。なので、実行していくときに、色々話し合いをして、その為のリソースを自分で集めてきて、自分で解決できるような人いいですね。そういう人とは一緒に仕事をしていて楽しいですね。なんかウキウキしてきます。

山口:コミュニケーション能力に尽きますね。意思疎通を図っていくことができる人。基本的なことだけどそれが難しいので。あとは、素直であることですね。自分の意見は持っているけど、素直であること。仕事は思い通りにいかないことも多いですが、一旦やってみて、それを受け止めて、改善していける力は大事だと思います。あとは、コツコツ地道に頑張るというだけではなく、ある程度アピールできる我の強さもあった方が良いですね。

――ありがとうございます。最後に就活生にメッセージがあればお願いします。
風間:海外と日本の学生とでギャップを感じることが多いです。アメリカでは、自分でプログラミングをやって、ビジネスを展開していきたいという人がたくさんいます。また、インドの学生は「私たちの国はこれから成長する」、「私たちには多くのチャンスがある」と目を輝かせています。一方の日本では社会人を前にして、目が輝いているような人を見ることが非常に少ないです。どんな夢でもいいんですけど、夢をもって、仕事をしていくことによって、これからの将来、日本、世界は変わっていくはずなんですよね。ワクワクしながら、就活もしてほしいですし、そういう人たちがもっともっと増えるといいなと思いますね。

山口:これからのTAXファームは面白いと思うんですよね。これまで数十年ビジネスモデルが変わってこなかったのですが、今変わろうとしている転換期にあって、これから何が起こるか未知数なんです。今、皆が模索している段階で、こういうステージで働けるのは非常に良い機会だと思います。様々なスキルを持った人が業界に入ってきて、どんどんビジネスを拡大して成長していく業界だと思いますし、そこにやりがいが感じられるのであれば非常に魅力的な業界だと思います。

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