2019年01月30日(水) 更新
内定が決まった後の内定取り消しは違法?雇用に関する法律
目次
就職先からの「内定」とは?
就活において、企業の就職試験に合格したことを内定と呼びますが、そもそも内定というのは、どの程度の拘束力を示しているのでしょうか?内定取り消しに関する法律を確認する前に、就活における内定の定義を正しく理解しておきましょう。
内定とは「雇用契約の予約」
内定とは、「雇用契約の予約」をさします。新卒は、大学卒業後の4月1日を雇用開始日として、学生・企業双方が解約権を持つ雇用契約を交わすことを意味しています。新卒の場合は、企業が「来年から入社してください」と約束することで、転職の場合は、「あなたの雇用を約束します」という意味になります。
内定辞退ができるように内定取り消しも有り得る
双方に解約権(学生側は「内定辞退」、企業側は「内定取り消し」)があります。入社予定日の2週間以上前に企業に伝えておけば、新卒の学生の場合は民法上内定辞退が可能です。内定承諾書などの書類を企業に提出した後であっても、内定辞退をすることに問題はありません。
内定が決まったのに内定取り消しになるケースは?
内定が決まったのにも関わらず、企業から内定取り消しをされる場合があります。一体、内定が決まった後、内定取り消しになるのはどのようなケースが考えられるのでしょうか?主な4つの理由について確認していきましょう。
内定が決まった後に取り消しになる理由①学校を留年・退学
たとえ、内定が決まったとしても、学校を退学・留年してしまった場合は内定取り消しとなります。「内定が決まった」ということは、企業側は「学校を卒業した上で入社を認める」という意味です。よっぽどの事情がない限りは、内定取り消しになるでしょう。
ただし、採用内定者との合意がないにもかかわらず自由に内定を取り消しはできないので、一度企業に相談をしましょう。
内定が決まった後に取り消しになる理由②経歴詐称・偽装
内定が決まったのにも関わらず、内定取り消しを告げられた際に考えられるのは、選考時に提出した履歴書や職務経歴書に偽りを記載した場合です。たとえば、学歴を偽った、年齢を偽ったなどです。これは法律にも触れる行為なので、絶対に行ってはいけません。
内定が決まった後に取り消しになる理由③罪を犯した
内定が決まった!と、就活が終わって学生生活で羽目を外し過ぎて警察沙汰になるような事態を起こすと内定取り消しになります。罪を犯すことももちろん内定取り消しです。もし、それで入社をしたとしても、内定先の面子を潰してまいかねません。社会は厳しいです。学校では許されたとしても、通用しないケースは多いといえます。内定が決まったからといって羽目を外し過ぎるのは避けましょう。
内定が決まった後に取り消しになる理由④企業の倒産や業績不振
これまでの内定取り消しのケースは、採用者に問題がありました。これだけは企業側の問題です。内定が決まったのにも関わらず、内定先の業績不振や倒産が大きな問題となってくれば内定取り消しとなってしまいます。
なお、内定取り消しは解雇となるので、企業側は内定者に解雇予告手当等の支払いが必要となります。では、内定を取り消された事例にはどんなものがあるのでしょうか?
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新卒の事例:三越伊勢丹「内定者取り消し事件」
新卒で内定が取り消された事例はいくつかあります。ニュースなどでもたびたび放送されており、その内容は「有名大学生と偽って内定をもらった」「犯罪行為が発覚した」「公序良俗に違反する過去などが判明した」などです。近年で身近な事例といえば、2011年の三越伊勢丹「内定者取り消し事件」があります。
SNSへの投稿が原因で内定取り消しとなった
三越伊勢丹「内定者取り消し事件」は、内定をもらっていた大学生がSNSに「レイプした」などの発言をしていたことを発端に起きました。こういった発言をした大学生のアカウントにクレームが殺到し、怒りの矛先は内定先の三越伊勢丹にまで向いたのです。
このように内定取り消しの要件にあるような、犯罪に手を染めた行為が発覚すると内定が取り消されます。他にも会社の部長の悪口を書き込んだ、採用試験の内容を漏らしたなどで内定が取り消されたケースもあります。情報を発信する以上、相手がいることを忘れてはいけません。
内定が決まった後の内定取り消しは違法なのか?
上述したような事例でなくても、会社の経営不振などが理由で内定が取り消されるケースもあるでしょう。そもそも、内定の取り消しは違法とはならないのでしょうか?犯罪や経歴詐称などは別として、納得がいかない理由もあるはずです。次に、はたして内定が決まった後の内定取り消しは違法になるのかを見ていきます。
企業都合の内定取り消しは違法になる可能性が大きい
時期にもよりますが、例えば入社1週間前に企業の都合で内定取り消しをされたとします。1週間で就職先が決まる可能性はないに等しいでしょう。この場合、法律では違法となります。上記で述べた中で、内定者都合の理由は違法ではありませんし、内定承諾書に「内々定中に問題を起こした場合は取り消しとなる」というようなことが記載されているはずです。
違法として訴える際は証明できるものが必要
この内定取り消しを違法として訴える場合は、内定承諾書を必ず保管しておきましょう。大きな証拠になります。裁判は、証拠がないと証明ができません。それが原因で違法なのにも関わらず判決が覆されるケースも十分にあるので、訴える際は注意しましょう。
内定が決まった後の企業都合の内定取り消しは違法になる可能性が高い
内定が決まった後の内定取り消しは、企業都合の業績不振や、倒産は違法となる可能性が高いです。その他に考えられる、内定者問題の取り消しは違法ではありません。せっかく内定を貰ったのですから、どんな理由であれ内定取り消しは避けたいものです。就活時にしっかりと企業の業績を見ておく、内定後の派手な行動は慎んでおけば内定取り消しになるような事態は起こらないでしょう。
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