2021年10月20日(水) 更新
ディべロッパーの仕事内容とは?主要企業6選と合わせて紹介
この記事の監修者
キャリアアドバイザー
赤塩 勇太大学を卒業後、新卒で採用コンサルティング会社に入社。キャリアアドバイザーとして、1,000名以上の就活生に対してキャリアセミナー、面談を実施。その後、採用コンサルタントとしてクライアントの採用課題の解決に従事。法人・求職者双方の目線から、適切なアドバイスを提供している。
目次
ディベロッパーとは不動産業界の中の土地開発を担う職種
不動産業界とひとくちにいっても、さまざまな業種があります。たとえば、不動産賃貸業や建物管理業、不動産開発業、不動産賃貸仲介業、賃貸管理業などです。
ディベロッパーは、その中でも不動産開発業にあたり、土地開発業者を指すのです。
土地取得から建物を完成させるまでが仕事
ディベロッパーの仕事は、ある一区画の土地に建物を建てることです。それは、開発する土地の調査をし、プランを立てるところから始まります。
土地には都市計画法により、建てて良い建物の条件が定められているので、そこに建てられる建物の種類や大きさ、完成した建物がいくらで売却できるのかも考えなければなりません。
その後、建物を建てる土地を購入して、建築の許認可を取り、周辺住民への説明をして近隣対策をします。そして、建設工事会社へ工事を依頼して、建物を完成させるまでが一連の業務になるのです。
ただし、マンションや一戸建てのデベロッパーなどは、企画した商品のマーケティングから建設後の販売まで携わることもあります。
ディベロッパーの仕事内容は扱う事業に応じて大きく2つに分類される
総合ディベロッパー
総合ディベロッパーは、総合施設・文化施設・商業施設などのさまざまな建物を開発するなど、大規模な街づくりを担う仕事です。
総合ディベロッパーは、地域の中心街などの再開発が活発であり、海外へも進出しています。
海外においても、地域一体開発を推進しています。総合デベロッパーは過去3期連続で最高益を更新しており、好調な状況が続いています。都心では、大型ビルの再開発が相次ぎました。一方で、業績を牽引するのは、オフィスビルの賃貸事業です。
大手の総合ディベロッパーーでは、営業利益の6割~7割を占めているところもあります。三菱地所は丸の内、三井不動産は日本橋、住友不動産は大崎や御成門ビルが完成して、いずれも満床となっています。2020年の東京オリンピックに向け、引き続き大型の再開発が進むでしょう。
専門ディベロッパー
大型施設や土地開発まで幅広い事業を展開する総合デベロッパーに対して、より専門的な領域で活躍していることが専門デベロッパーの特徴です。専門デベロッパーとひとくちにいっても種類は多く、代表的なものだと次の4つが挙げられます。
ディベロッパーの種類
- マンションデベロッパー
- 一戸建てデベロッパー
- オフィスデベロッパー
- 電鉄系デベロッパー
それぞれ得意分野が違っているため、同じデベロッパーといっても手掛けるものは全く異なると考えましょう。
もちろん、マンションデベロッパーならマンションの開発のみおこなっているとは限らず、あくまでメイン事業としてマンション開発をしているというケースもあります。
専門領域に強みがあることは確かですが、専門デベロッパーでも実際には複数分野で活躍する場合があることは覚えておきましょう。
マンションデベロッパー
マンションのデベロッパーは、主にマンションの企画、開発を行ないます。マンションデベロッパーは、土地を仕入れて、マンションの売地情報などを収集し、購入から企画、開発する仕事です。
企画担当、建築担当、販売担当など企業によって組織の中での役割は異なります。総合デベロッパーのグループの中には、マンションを扱う部門があり、その場合大手の総合デベロッパーでは、100%出資の子会社のケースがほとんどです。
一戸建てデベロッパー
一戸建てデベロッパーは、主に一戸建ての企画、開発を行ないます。大規模な宅地造成、つまり一戸建ての街の開発です。デベロッパーにより基準はありますが、開発というからには10棟以上などの基準を定めているケースが多いでしょう。
完成したあとの販売は、デベロッパーにより異なります。土地の取得、開発から販売まで一体となっている場合もあれば、販売は分けているケースもあります。大手デベロッパーは販売会社を分けているケースも多いです。
オフィスデベロッパー
オフィスデベロッパーは、主にオフィスビルの建設を担います。大手の総合デベロッパーが、主に駅周辺や商業施設を兼ねたオフィスビルの開発を手掛けます。
都心のオフィスは空室が少なく、大手の総合デベロッパーの収益を後押ししています。オフィスビルの賃料は、テナントごとに数年単位で交渉して決定するのが一般的でしょう。海外へのオフィスビル展開を進める企業も増えています。
電鉄系デベロッパー
電鉄系デベロッパーは、鉄道沿線の土地開発を行ないます。自社の鉄道が走る場所の開発をすることで、鉄道利用とその沿線の街の開発というメリットがあります。
電鉄系のデベロッパーの中には、いわゆる電鉄・百貨店系の合併デベロッパーも少なくありません。電鉄系のデベロッパーも海外進出を積極的に行っています。現地の企業と組み、大規模な住宅開発を進めているデベロッパーが増えています。
あなたが受けない方がいい職業を確認してください
就活では、自分が適性のある職業を選ぶことが大切です。向いていない職業に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまいます。
そんな時は、「適職診断」を活用して、志望する職業と自分の相性をチェックしてみましょう。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、ぴったりの職業を診断できます。
適職診断で強み・弱みを理解し、自分がどんな職業に適性があるのか診断してみましょう。
デベロッパーが担う一連の仕事内容
実際にデベロッパーがどのような仕事をしているのかを知るためにも、仕事の一連の流れをみていきましょう。デベロッパーの仕事は大きく考えると、次の4つのステップでおこなわれます。
ディベロッパーの仕事の流れ
- 施設運用における企画・開発
- 土地の取得
- 施設オーナーとテナント加入者との契約
- 施設繁栄のための営業活動
これは商業施設の開発における仕事の流れですが、基本的な手順はどの分野でも同じです。
企画開発から不動産の取得をおこない、そこから施設の組み立て、営業活動という手順でデベロッパーの仕事は進んでいきます。
①施設運用における企画・開発
まずはどのような施設を作るのか、いかにして運営していくのかを考える企画・開発のステップから仕事は始まります。
商業施設の開発をするとしても、どこに建てるのか、どのような客層を狙うのか、コンセプトは何なのかによって条件は大きく違ってきます。
デベロッパーはその名の通り地域を成長させることが仕事の本質であるため、ただ施設の建設ができるならよいわけではありません。適切な場所に必要な施設を開発し、そこから大きな利益を生むことが求められるため、事前の企画や開発は念入りにおこなわれます。
土地の性質や時代の流れなど、複数の観点から考え、今もっとも必要なものは何かを考えた上で、施設開発の計画を立てていきます。
②土地の取得
施設開発のプランが具体的に仕上がってきたところで、より実際的な仕事に進みます。施設を建てるには土地が必要であり、この取得を行うこともデベロッパーの仕事です。
土地の取得は計画している開発の規模によって異なりますが、個人での土地購入とは比較にならないほどの規模になることは確かです。商業施設の場合は施設自体の土地面積に加えて、駐車場のことも考慮する必要があり、広大な土地を取得しなければなりません。
また、ただ広い土地ならよいわけではなく、広さの要件を十分に満たした上で、周辺からのアクセスがよい、集客が見込める場所を選ぶことも重要です。どの土地を取得するかにあたっては、事前のリサーチが重要であり、土地選びでプロジェクトの成否が違ってくるといっても過言ではありません。
③施設オーナーとテナント加入者との契約
土地を取得した後は、施設のオーナーと契約をして、建物を作っていきます。建築する建物の種類によってその後の動きは違ってきますが、商業施設の開発ならこの後施設に入るテナント加入者とも契約しなければなりません。
商業施設としての箱があっても、中にお店が入っていないと集客は見込めないため、どのお店をテナントに入れるかも重要です。テナントによっても集客率が違ってくることは多く、より多くの人を集められるように目玉となるお店を探すことも重要な仕事です。
特に地域初出店や、全国的に、あるいは全世界的に有名なお店が入ると、目玉となって高い収穫率に繋がりやすいでしょう。テナントの選定や交渉、契約までデベロッパーの仕事です。
④施設繁栄のための営業活動
施設ができあがってからもデベロッパーの仕事はあり、少しでも集客率が上がるように営業活動をしなければなりません。
どれだけ魅力的な施設ができても、知られていないと集客は見込めないため、宣伝活動をおこなって多くの人に存在を知ってもらうことも、デベロッパーの重要な仕事です。
宣伝の際には自社から情報を発信するだけではなく、広告代理店に依頼することも多いでしょう。また、単に宣伝広告を出すだけではなく、商業施設なら世間から関心を惹けるようにイベントの開催を目指すことも少なくありません。
オープンに合わせてイベントを企画することはもちろん、集客率を維持するために定期的にイベントを実施したり、広告などの営業活動をしたりすることも仕事のうちです。
あなたが受けない方がいい職業をチェックしよう
就活では、自分が適性のある業界を選ぶことが大切です。向いていない業界に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまいます。
そんな時は、「適職診断」を活用して、志望する業界と自分の相性をチェックしてみましょう。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、ぴったりの業界を診断できます。
適職診断で強み・弱みを理解し、自分がどんな業界に適性があるのか診断してみましょう。
デベロッパー希望者が押さえるべき主要企業
デベロッパーとして働きたいなら、これら6つの企業の名前は頭に入れておいたほうがよでしょう。
主要企業6社
- 三菱地所
- 三井不動産
- 住友不動産
- 三菱地所レジデンス
- 京急不動産
- 森ビル
これらは日本を代表するデベロッパーであり、海外でも活躍している企業は少なくありません。それぞれで得意分野が異なるため、企業ごとの違いを知っておくことも大切です。
実績や社風などの違いを参考にしながら、自分に合った企業はどこなのかチェックしておきましょう。
三菱地所
三菱地所は100年以上の歴史を持つ老舗企業であり、日本の土地開発の分野を牽引してきたリーディングカンパニーです。総合的に活躍しているデベロッパーであり、事業範囲はオフィスビルから住宅、商業施設、ホテルなどまで幅広いです。
また、開発だけではなく運営管理にも携わっており、街づくりに大きく貢献している企業といえるでしょう。有名な事例では丸ビルや新丸ビル、横浜みなとみらいや大阪梅田のグランフロントなどが挙げられます。
国内でランドマークを多数開発しているだけではなく、ニューヨークやロンドン、アジアでも活躍しているグローバル企業です。チャレンジを大切にする社風も特徴的であり、自分での頭で考え、行動できる人材が求められています。
三井不動産
三井不動産は三井アウトレットパークで有名な企業であり、商業施設などの大規模開発に強みがあります。他にもオフィスビルや住宅、ホテルやリゾート開発、物流施設の開発などにも強く、幅広い領域で活躍する総合デベロッパーです。
有名な事例ではアウトレット以外だと東京ミッドタウン日比谷や豊洲の再開発、霞が関ビルディングや日本橋三井タワーなどが挙げられます。
特にオフィスビル事業に強みがあり、都市開発や再開発に優れたデベロッパーです。海外事業も積極的におこなうグローバルな企業であり、日本の魅力を海外に発信することを目標に事業が展開されています。パイオニアとしての精神を重要視する風土があり、チャレンジマインドが評価される環境といえるでしょう。
住友不動産
住友不動産はグループとして400年の歴史を持つ老舗の企業がバックボーンにあり、総合デベロッパーとしての高い地位を獲得しています。幅広い領域で活躍する総合デベロッパーですが、特にオフィスビルの分野で強みを持っていることが特徴です。
住友不動産は東京都で220を超えるオフィスビルを運営しており、国家戦略特区認定事業や市街地再開発事業を手掛けるなど、オフィスビルの分野で躍進しています。
代表的な事例では「泉ガーデン」や「住友不動産新宿グランドタワー」などが挙げられ、ランドマークを作る再開発事業にも強みがあります。信用を重要視する社風にあり、常に挑戦する姿勢を持って、都市開発によって新しい価値を生み出していく強い気持ちが求められているでしょう。
三菱地所レジデンス
三菱地所レジデンスは、総合デベロッパーの三菱地所を母体に持つ企業です。総合デベロッパーである三菱地所に対して、三菱地所レジデンスは住宅事業として独立した専門デベロッパーであることが特徴です。
住宅事業に特化したデベロッパーであるため、三菱という点は同じでも実際に手掛ける事例は大きく異なります。マンションと一戸建ての両方に強く、分譲住宅の開発から不動産の賃貸事業まで幅広く手掛けていることも特徴のひとつでしょう。
また、リノベーションや建て替え事業なども手掛けており、古くなったものに付加価値をつけて生まれ変わらせる再開発力の高さも魅力です。住宅分野に特化していますが、オフィスビルや市街地の再開発事業なども一部担っています。
京急不動産
京急不動産は、京急沿線を中心に不動産活動をメインに展開している企業です。土地や戸建て、マンションなどの分譲事業がデベロッパー業に該当し、地域開発も手掛けています。
また、他にも仲介や賃貸、賃貸管理などの事業も実施しており、不動産会社としての特徴も強いでしょう。また、リフォームなどの事業も手掛けており、再開発の分野で活躍していることも特徴のひとつです。
住宅供給に強みがあり、個人規模の戸建てやマンションのみならず、大規模なニュータウンの開発に成功した実績も持っています。土地の取得から住宅の建築、販売、賃貸まで全てワンストップでおこなえる点も魅力であり、自社で全て効率的に管理するからこそ、成功しているといえるでしょう。
森ビル
森ビルは社名通り、ビル開発に強みを持った企業です。代表的な事例ではアークヒルズや六本木ヒルズ、表参道ヒルズなどが挙げられ、巨大な規模の開発をおこなう総合デベロッパーといえます。
都市開発はもちろん、再開発事業にも注力しており、後世に長く残るものを作り上げる力に優れています。また、施設の運営や町全体のブランディング、営業活動などもおこなっており、開発後に街を支えることも事業の一環です。
地域に根差した活動も多く、地域内でのコミュニティづくりにも尽力しています。「都市を創り、育む」という考えを持った企業であり、東京を中心に活躍していることも特徴のひとつです。クリエイティブで挑戦的な人材が求められており、将来に目を向け無限の可能性を探れる人材が評価されるでしょう。
デベロッパーは土地開発を担う存在!仕事や企業の詳細を入念に調べよう
デベロッパーは、大きく考えると土地開発が主な事業です。しかし、実際には大型施設の建築や住宅の建設、引いてはエリア全体の開発と範囲は広がり、街づくりそのものがデベロッパーの仕事といえるでしょう。
より広い規模での開発をおこなうことがデベロッパーの特徴であり、多くの人の生活に関係する重要な仕事を任されます。
また、取り組んだ事業の成果が後世に長く残る仕事でもあり、難しい分やりがいも感じやすいでしょう。事業規模が大きいからこそ、信用があり、挑戦的で熱意を持った人材が求められます。デベロッパーとはどのような仕事か、今一度詳細まで理解を深めましょう。
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