Q.ジョブトラのイベント概要を教えてください。ジョブトラは成長企業と就活を早期からおこなう学生とのマッチングイベントです。一度の開催で成長企業6社と、成長企業と出会いたい大学3年生の50人が参加します。イベントは三部構成になっています。第一部は企業のプレゼン。自社がどのようなことをしていてどのような働き甲斐があるのかなどを語ってもらい、学生が企業を評価します。その後第二部ではこのジョブトラの特徴でもあるビジネスゲームをおこない、学生のゲーム中の言動を企業が評価します。そして第三部でお互いを高く評価した企業・学生同士で座談会をおこなう、という流れになっています。大規模合説はマッチングシステムが導入されていませんから、学生にとっても企業にとってもどうしても機会損失になってしまうのですよね。そこの課題も解決できるイベントです。
Q.充実したプログラムになっていて楽しそうですね。もう少し詳しくイベントについて知りたいです。
第一部の企業プレゼンが終わると、学生が企業の人気投票をおこない、参加企業6社の興味関心度を5段階評価します。学生に評価されると考えると企業としてもドキドキのようですよ。そしてその後の第二部では学生がビジネスゲームに取り組みますが、このゲームは事前対策が一切できないものになっています。その場で初めて取り組むものに対し、どのような言動を選択するか、ここは学生の素がもっとも出るところですね。それにより学生ですら気づいていないような潜在的能力が見えることもあり、そこを企業がS~Cの4段階で評価しています。つまりジョブトラとはお互いにお互いを評価するフェアな場であるということですね。
Q.企業からだけでなく、学生も企業を評価するのですね。そのお互いの評価はどこで活かされるのでしょうか。第三部の座談会です。企業と学生、お互いの付けた評価を見て相思相愛である組み合わせを優先的に座談会の企業ブースに招待します。要は全学生が自社ブースに訪れるわけではなく、自社に興味のある学生もしくは自社が高く評価した学生しか訪れないということです。そして座談会をおこなっている横で特別選抜面談というものを同時開催しています。1企業につき4人まで、ぜひ自社に来てほしいという学生と面談ができる機会を与えています。企業はゲーム中の言動から特別選抜面談に呼ぶ学生を選んでいるのですが、呼ばれた学生はいわば選ばれし者です。プロの人事から高い評価を得たというのは学生にとっても自信につながります。
ジョブトラは企業と学生の本気のぶつかり合い! だからこそミスマッチの解消につながる
Q.鶴野さんが感じていらっしゃる「入社後のミスマッチ」。この課題はなぜジョブトラで解決できると考えているのでしょうか。ジョブトラは1回4時間で相互理解が非常に深くできます。そもそもこのミスマッチは、学生は業界・会社・仕事知識が足りていないが故に将来像を見いだせていなかったり、自分を偽らざるを得なかったりするために、そして企業は自社のポジティブなあるいは抽象的な情報しか提示せず入社後のリアルを見せられていないがために生まれていると思います。
その点ジョブトラではお互いにフラットな情報開示ができていると思います。学生は素の自分が見えやすく、その分企業側もリアルな情報を伝えなければ学生から「本気じゃないな」と思われて高い評価を得られませんから。ジョブトラは参加するすべての人が本気の場なのです。ごまかしが効かないので本音をぶつけ合う必要がある。だからこそお互いのリアルが知れて、入社後のミスマッチの解消につながると考えています。
Q.ジョブトラではフィードバックシートも導入されていますよね。企業6社からのフィードバックが得られるということでしょうか。はい、参加学生の中での順位・得点・偏差値が出るので、就職市場における自分の立ち位置を知ることができますね。4つの能力項目での評価をしているので、自分の強みや弱みなど能力面における自己理解が進みます。また参加企業の中でどこの企業が自分に高い評価をつけたのかもわかるようになっています。これもマッチング精度を上げるための仕組みのひとつですね。また近年は適性検査の「ミキワメ」も導入し始めました。こちらも受検後はすぐに結果がわかるようにしているので、従来の能力面の可視化だけでなく、性格面の可視化もできるようになったのです。
Q.全体順位がわかってしまうと、特に順位が低い学生はがっくりきてしまいそうですね。そうですね、しかし常に学生さんには「今この時期に強みだけでなく弱みに気づけてよかったね」とお伝えしています。弱みへの気づきは成長へのきっかけです。課題から学ばなければ人は成長できませんから。痛みは伴うけれども成長への第一歩だとポジティブに捉えてほしいです。そのうえで、なぜこの評価を受けたのかを考えることが重要です。その答えは必ずその日の自分の言動にあります。結果をなんとなく受け止めるのではなく思考を回して理由を考えることが成長につながると考えています。フィードバックを得てそれをもとに自分の言動を振り返り考えること。ここまでが1セットです。
Q.そう考えるとフィードバックがあることは非常にありがたいことですね。オンライン全盛の時代にジョブトラが対面コミュニケーションにこだわり続けていることもそこにあります。何らかのリアルな経験をしなければ人間の知覚は作用しないのです。知覚作用をできる限り活性化させたいためにこのイベントを開催しているところもあります。マッチング目的ではなく、フィードバックを欲しいがために参加されるのでもかまわないと私自身は思っていますし、たとえばですがこのイベントに参加したことで「私は若いうちから権限を与える会社には向いていない」という気づきを得ても良いと思います。ここで気づけてよかった、「入社後のミスマッチを減らしたい」という本来の意図に沿っていますから。
Q.最後に、ジョブトラへの参加を検討している学生へメッセージをお願いいたします。やはり就活は難しいものです。だからこそそんな難しい就活でも楽しんでほしい。ジョブトラを利用すると5つのことを大切にしながら、楽しく有意義な就活ができます。
①好奇心を持てる
②持続性が生まれる
③楽観性が生まれる
④計画外のことも楽しめるようになる
⑤視野が広がる
まずは好奇心を持てること。新しいことに対し否が応でも知ることになるので、好奇心のアンテナが張ります。そして2つ目、就活に持続性が生まれます。基本的に難しいことは続けなければ成果が出ません。学生にとって難しい自己理解・社会理解を継続してできるようになります。3つ目、楽観性も生まれます。うまくいかないことがあっても悲観する必要はないと気づけます。低い順位にショックを受ける人もいますが、この早い段階で弱みに気づけて良かったと、成長のきっかけだとポジティブに捉えることができます。また4つ目、計画のみにとらわれないことも就活では大切です。立てた計画や現状の理想像ばかりにとらわれると、想定外のチャンスが巡ってきたときに「これは自分にとっていらないものだ」とそのチャンスをみすみす逃してしまうかもしれません。ジョブトラは参加企業を事前に告知していないので、たまたまの出会いも楽しめるようになるはずです。最後に5つ目、とにかく視野が広がります。早い段階で自分と仕事と社会のリアルを理解していくと、おのずと選択肢が広がるのですよね。その分良い出会いをつかみやすくなるということ。ここで挙げた5つについて、1つでも心惹かれた人はぜひ積極的に参加してほしいです。
Takafumi Tsuruno●大学卒業後リクルートに入社、「ジョブカフェちば」初期メンバーとして、3年間で延べ3,500人を超える若者の就職支援に携わる。2010年、人事コンサルタントとして独立したのち、2012年4月、現代表である柳田と共にリアライブを設立。人と企業の『過去・現在・未来』をとことん理解し、双方にとって幸せなマッチングの追求を一生涯のテーマとしている