Q.まず、Recruit Audition(リクルート・オーディション)とはどのようなサービスなのでしょうか。Recruit Auditionとは、社長と学生とのマッチングイベントです。通常のマッチングイベントと違う大きな特徴は、参加企業の登壇者はすべて社長もしくは経営者であること。働く先を決めるにあたり、その企業の事業内容や待遇などはもちろん誰しもが気にするところでしょう。しかし、そういった「見える部分」だけでなく、社風や企業としての今後のビジョン、会社が大切にする価値観など、「調べても見えづらい部分」も気持ちよく働くうえでは同じくらい重要です。そういった見えづらい部分の方向性を決めるのが社長であり、このイベントではその社長から本音ベースで話を聞くことができます。また、話を聞くだけではなく、学生と社長のお互いが「良いな」と思えた場合にはマッチングし、特別食事会へ招待。その企業の選考が一部免除されるなどの選考に関する特典もありますよ。Q.たしかに社長が登壇するイベントはあまり聞いたことがないですね。もう少し詳しくイベントの流れを教えてください。
基本的に、各回50人程度の学生と6名の社長・経営者が参加します。流れとしてはまず「企業PR」からイベントがスタートします。これは企業から学生へのアピールタイムと考えるとわかりやすいですね。そのあとは「パネルディスカッション」として、その日の参加社長・経営者によるトークタイムになります。その後、学生と社長がいくつかのグループに分かれ、座談会のようなかたちで「トークセッション」をおこないます。そのあとは学生と社長それぞれの指名タイムです。学生はその日参加している社長・経営者の中から「良いな」「働きたいな」と思った方を3名、第一希望から第三希望までを決めて選びます。企業は参加学生の中から15名を選びます。そのうえで、「学生の一位指名した社長」と「社長が選んだ学生」がマッチした場合、その社長・経営者と学生は特別食事会に行くことができます。企業が選んだ15人の学生は、マッチの有無に限らず特別選考ルートに進むことが多いですよ。Q.とてもおもしろそうなイベントですね! 参加学生はどのような学生が多いですか?やはり、社長や経営者、企業理念に意思決定の重きを置いている学生が多いです。また、就活に対して本気で向き合っている学生が多いとも感じていますね。「入社後はしっかりその企業で働きたい」と考え、社長や企業理念などその企業の根幹ともいえる部分からきちんと知ろうとしているのだと思います。実際、パネルディスカッションでは社長が少したじろぐような鋭い質問を投げかける学生もいますよ。また、社長と学生とのマッチ度も非常に高いです。学生の半分以上が誰かしらの社長から指名を受けることもよくありますよ。
思い描いていた理想と入社後に知る現実とのギャップ
Q.このRecruit Auditionで解決したい就活市場における課題は何だと考えていますか?新卒社員が入社後にギャップを感じてしまうことだと思います。入社後に「知らなかった」と悩んでしまうことをなくすため、このイベントでは相互理解を深めることを大切にしています。たとえば説明会の場では学生が興味を持ちそうな側面を多く語りがちなものです。もちろん学生はその企業を魅力的に感じますよね。しかし、裏を返せばだからこそ入社後に実際とのギャップが生まれてしまうのではないでしょうか。キラキラした物事の裏に、たとえばどれくらい残業があるのかなど、泥臭い部分もきちんと語るべきですね。そうして初めて学生はやっと入社後のビジョンが見えてき、ギャップをなくすことができるはずです。私たちは、参加する社長・経営者の方に「御社のすべてを語ってください」と伝えています。学生が気にしがちな残業や福利厚生など、本当にざっくばらんに語ってくれる社長が多いです。
Q.たしかに、会社説明会などから社会人やその企業に対してキラキラしたイメージばかりを持ってしまいがちですよね。そういったイメージを塗り替えるのには良い機会になると思います。はい、企業の実態まで知ったうえで企業選びをすることが入社後のギャップの解消につながると思います。また、最近私がもうひとつ課題として感じているのが「都心と地方の就活格差」。都心の学生と地方の学生には、もたらされる情報やイベントの量にも大きな差があり、その分学生の就活への熱意も大きく違うと感じています。それでも、地方学生の中にも「もっと就活をがんばりたい」という学生が多いはずです。そのような学生に向けて、最近はRecruit Auditionの地方での開催にも力を入れていますね。
Q.最後に、このRecruit Auditionの参加を検討している学生に向けてのメッセージをお願いいたします。就活では会社説明会やOB・OG訪問など、企業の人と出会う機会はいくつもありますよね。しかし、その企業のトップと出会い、考えを知る機会というのは非常に少ないものです。選考前に出会えることなんてほぼないと言っても過言ではないでしょう。しかし、企業のトップだからこそ持つ考え、語れるビジョンがあります。Recruit Auditionは社長・経営者と学生のマッチングイベントではありますが、必ずしも内定につなげなければならないイベントではありません。このイベントをきっかけとして、いち企業の経営者の考え方を知り、就活を考え直す・方向転換をする機会となれば良いと思っています。根幹から共感できる企業を探し求めている人はもちろんですが、それ以外の人もぜひこのRecruit Auditionを就活だけではなく、就職後の自分の人生の検討に役立ててほしいです。
Masaya Yano●大学時代は法学部で学ぶ。弁護士の道に進むか悩んでいた頃に学生時代の先輩である現社長に声をかけられ、共にプレシャスパートナーズを立ち上げる。経理や総務などの管理部門の責任者を経て、新規事業である人材紹介の立ち上げをおこなう。現在は主に新規事業の立ち上げに携わっている。